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買書とつんどくの日々

2021年05月02日
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カテゴリ:読書
女性にとっては慰めになる言葉も書いてあった。自然の摂理とは不思議なもので、不誠実なメッセージを送ったり雌を渡り歩いたりする雄には、たいてい最後は相手がいなくなってしまう。
ほかに、自然界における精子競争を扱った記事もあった。大半の生物は、雌との生殖行為をめぐって雄同士が競い合うのだという。雄ライオンは時に一方が死ぬまで戦いつづける。雄ゾウは牙を絡めて足元の地面を踏み荒らし、互いの肉を切り裂くほどに激しくぶつかり合う。かなり儀式化された行動ではあるが、それでも体の一部を失ってしまうことがあるそうだ。
そうした負傷を避けるため、より暴力性の低い、独創的な方法で受精を競う種もいる。とくに虫は創意に富んでいる。たとえばイトトンボは、雄の副生殖器に鉤状の付属器がついていて、ライバルの雄が残していった精子をそれでかき出してから自分の精子を注入するという。
カイアは雑誌を膝に置き、雲を眺めながら思いを巡らせた。ある昆虫の雌は交尾の相手を食べてしまうし、過度のストレスにさらされた哺乳類の母親は子どもを捨ててしまう。多くの雄たちは、危険な方法やずる賢い手で精子競争に勝とうとする。けれど、命の時計の針が動き続けている限り、そこには醜いものなど何ひとつないように思えた。これは自然界の暗い側面などではなく、何としても困難を乗り越えるために編み出された方策なのだ。それが人間となれば、もっとたくさんの策を講じたとしても不思議はないだろう。
(ディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」P254)








Last updated  2021年05月02日 11時57分54秒
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