2011/05/24(火)14:30
『差別と日本人』
司法書士試験を今年は受けないことにしたので、
久し振りに、テキスト以外の本を読もうということで、
昨年買って、そのままにしていた、こちらを読んでみました。
↓↓↓↓↓
形式的には野中広務氏と辛淑玉氏の対談ですが、
実質的には辛淑玉氏の著作です。
対談よりも、その間に挿入された
辛淑玉氏による「解説」がメインになっていて、
「解説」と言いながら、辛淑玉氏の自説が展開されています。
94年に仮釈放された狭山事件の被告、石川さんへの対応について
「野中氏の行動様式は、ここでも『もめごとの処理』である」として、
「ひょっとしたらそこに差別があったのではないか、
という視点を決して口にすることがない。
それはなぜなのだろうか」と疑問を投げかけ、
「おそらく、青年団活動と長い間の政治闘争が、
彼のものの見方の優先順位を決めたせいではないか」
と結論付けているのだけど、
「解説」として自分の考えを書くのではなく、
対談の中で本人にぶつけていれば、
もっと面白い対談になったと思うので残念。
他にもいくつかそういう箇所がありました。
あと、「美しい被害者なんていない」というのは、
その通りだと思うだけど、
逆に、皆が「闘う被害者」「美しい闘争者」に
なれるわけではないのも当然で、
「裏切り」によって差別から脱しようとする「弱さ」にも
もう少し優しい視線を向けてくれたらと思います。