庵功雄先生の『やさしい日本語 多文化共生社会へ』(岩波新書)を読了。
日本語教師養成講座の「日本語教育事情」で、やさしい日本語を取り上げる際の参考に購入しましたが、より幅広い範囲で勉強になりました。
居場所作りのための〈やさしい日本語〉
”移民を受け入れると主張するためには、その前提として、その人が日本社会の中に、日本社会の一員としての「居場所」を見出すことができ、その人が努力すれば、日本人と対等な立場で競争できる基盤が日本社会の中に用意されている、ということでなければならない”
3つの条件
1.初期日本語教育の公的保障のための〈やさしい日本語〉
2.地域社会の共通言語としての〈やさしい日本語〉
3.地域型初級としての〈やさしい日本語〉
第5章では「障害をもつ人と〈やさしい日本語〉ということで、ろう児と「日本手話」について取り上げられています。
”ろう者にとって「日本語」(特に、口頭日本語)は「母語」ではない”(p139)
”自分を「普通」と考え、自分と異なるものを「特殊」と見なす考え方を改めない限り、決して「多文化共生社会」は実現しません。それ以前に、成熟した市民社会も実現できないと思います”(p145)
最後に「あとがき」より。
"〈やさしい日本語〉の「やさしい」には「易しい」と「優しい」という2つの意味が含まれています"(p224)
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