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灯台

灯台

人 間 産 業 廃 棄 物 *18禁

 今から遡ること十年、女子高生が、「あんな姿になりたくない!」という姿で発見された

事件があった。穿って言えば、世代や、年齢という感受性的階級にとっての不安であったよ

うにも思う。感性の土壌や思想の独裁を誇張や極端な類型化の中で処理しようとしてしま

うマスコミにあって、ひとたび、情報が大衆という変貌と末路で沈む仕掛けになっている意

識の谷間に降りた時つながる根のない無国籍性・無実体性が生理的・本能的な加担のもと生

活感情の変動を促す。それは尖鋭的なもの、切実なものとして、測量できない、把握できな

いという大きな影響、分かり易く言って、自分は違うという現象の特異化をはかるのだが、

いやたしかに、それは根底から揺るがすほどのドレス化なのである。

 大衆層の分化、として、あるいは率直に凶悪な事件として峻拒する。そこには主観的なも

のと、客観的なものがあるが、時事的なものに、いったいどれくらいの信がおけるかはわか

らない。状況を見取るつもりで曲解してしまうのが関の山だ。何故なら自分たちは完全な情

報というのが存在しえないことを知っている。無人称の中にも真実はある。また拡がりのな

かにも真実はある。それゆえ私はそれは拒否反応によってしかつくりえない語彙が総体と

なっているという極論をせねばならない。まず第一に事件の殆どは捜査の関係上、・・公開さ

れない。第二に今回の場合で言えば、身元が特定できないので写真も公開されない。第三に

犯人がわからない。基本的な要素だが、私たちに降りてくるのは、おそらく、都会のアパー

トやマンションに住みながら、背広やネクタイをつけ、鞄を提げ、・・・女性は口紅を塗ってい

たであろう、という具合の取るに足らない情報だけだ。





 たしか15歳、何を犯し、心臓に突き刺さったのか
 『自分の人生は価値あるものなのだろうか―――?』
 戦隊物の勧善懲悪より、心理描写のおおいガンダム。LOVE&PEACEとアーティストがうたう人間賛歌より、憎悪や怨念、陰鬱な獨語≪ひとりごと≫
 『だって だって だって 人生うまく出来てない・・・』
 不平等よ、破滅を暗示するような幕の閉じ方よ、と言おうとしているのに、
  
  いいから物語の続きを読め 

 ・・・何を掴もうとしているのだろう。内股をまさぐる指の感触、それとも乳ぶさを舐めまわすミミズのような動きだろうか。それはふとした拍子に、ひっきりなしに湧いて出てくる、親に叱られた記憶。

  携帯電話のゲームアプリみたいな部屋だったらよかったのに。

 熊のぷーめ。ぷー太郎の父おや。はめ殺しの窓、こどものわたしが描いた壁のいたずら、しみや、模様。冷蔵庫の音、洗濯機のまわっている音、車が動物の死体を知らんぷりしながら通過してゆく音のなかで、中年男の裸の醜さ、内臓脂肪に弛みきった腹、けむくじゃらですこしちぢれた下肢、しみだらけの浅黒い肌のぷー。ぷーぷー。おなら最初は・・・、最初というのがもし、ねちっこくて乱暴で、ロマンティックの欠片もない、たんなる暇つぶしのことをいうのなら、その気持ち悪さに鳥肌が立って、痛かったり苦しかったりしたことをいうのなら。

  てきとうな愛想笑いと相槌で周囲にまぎれこむ

 毎朝毎夕   玄関先を横切る家族の肖像。耳に聞こえる音は選挙カーや、放課後の下校をつげるスピーカーの声のようによそよそしい。

  目があゑば、かるくゑしゃくして、立ち去る。

 どこかで怯えていた、だれかにバレたりしないか、いつまで続けられるのか、という焦り、しかし男でいたいという死に物狂いの獣性。父親と娘のこの世のものとは思われない現場に、母親がはいってきたのはいつだったか

  離婚/水商売   。上っ面の欲望に鈍感な者がうむ
   こころって、アザ

 思い出の価値   。『すみません、すみません、、すみません、、、すみません、、、、』夢中で謝り続けたうさんくさい女がいた。金では買えないものを溝≪どぶ≫に捨て、また新しい雑誌から得たプレゼントに、胡散臭い化粧をつけた女が。あの馬鹿っぽい顔が、どんな腰づかいで、どんな息づかいで、つまらなくておまえが興醒めというトラウマをつくったか

  お前があげなかったからだ
   (お前がカレンダーを奪った―――

 それは子どもの頃の話である。学校では他愛もない話題を装っていたが、やがて来る思春期、高画質のプロジェクターによってうつしだされた私は、辱められ、虐げられた少女がお伽噺のように扱われるのがたまらなかった、消化しきれない痛み、だれにも言えない隠し事のあまりの深刻さで、その少女に投影された、

  当時の私そっくり、に―――

 テレビを点ける   血シブキ。でもそれは悪魔や、鮫ではない。吸血鬼でも、フランケンシュタイン博士の怪物でもない。 絵空事   絵空事  。それを見て泣いたり笑ったり すれば、(こころの中がひイんやり (ひとりきりの晩御飯   (貧相な食事をしながら、胸のあたりが冷たくなった。肝が冷え、腹に死神のような雷鳴がひびき、(私は下痢になる。

 親や先生が、ことのほか激怒して、
  (これから殴られそうな感じ。

 キモい上、いきなり出てくる違う顔に脅かされるよ。ウザい上、狡猾で、あらあらしい飢えをいつも感じているゾンビ。・・・これは恐怖の感覚であろう。実際自分に危険が、具体的に迫った時に感じる恐怖でしょう。シャーペンの先がこまやかにゆれる。チョークが揺れる。わたしのふれている箸が、きみょうな、きみょうな

  このテーブルに広がる   終わらない、きのうの続き
   (栄養失調   食生活の偏り

 埒のあかない、貧弱な魂は死に瀕している(目を閉じて見る夢に―――現実 (みんな武装していた、バリケートのような高い壁で堰きとめた (忘れようと思った。あたしの心の世界から隔離してくれる呪文は、あの熊のぷーが言った。
 『一切口をきくな(お人形さんなんでしょ―――?』
 『声も絶対に出すな(だから恥しらずなんでしょ―――?』

  大人になる嫌悪感が、募ったから言った 
   (神様はなんで、こんな世界をつくったんだろう?

 しかし女の子は、お菓子のような人生を夢見ることで   蘇生。下層から仮想し、火葬。(わたしの小さな自慢話 (奇抜な服装で登校―――ゴシックロリータ

  ほんとうのことのような   うそっぱち
   (お前が出さなかった答え

 アルファベット順に殺したい奴の名前が浮かぶ。丁度サーカスの、球状の檻の中を走るバイクのショー 特撮ヒーローみたいに青春している奴が 学校にいる生徒・教師全部    あんな奴には二度と会いたくない(つねに軽蔑。粘液質な笑い声 (ひとりで見つけたのだ、神様、新品ではなく着古したもの (お前が教えなかった神はコンビニにあった、

  わたしを見るな、ずっと目を瞑っていろ―――
   (我慢しなくちゃいけない   まだ人間デス

 精神崩壊   コワレタ。コワレタ。コワレタ。人間というよりオモチャ 意識的に「死」を連想することは避けたのである。でもいまならわかる   いまならもっと考えることができる わたしの余命はあと何年? それともあと、何か月?
 ふっと、ゲームプレイ中のフリーズした画面のように
 『もしかして自分が殺されたのかも知れない』

  良心/両親
   いつのまにか麻痺している鏡の機能

     ほんとうに簡単な筆記試験
      「いいえ」で全部こたえる帰納

 血が出てしまう淋しさ   終ワッタハズジャナカッタノ...? いち度も報われたことがない。なにげなく、ぬう、と宙に放り出された 手首にはいたいたしい傷をおおいかくす絆創膏 (指先はもう震えない (べつに死ぬのなんてこわくない

  母親は何度も何度も言ったんです
   “バカ”“バカ”“バカ”と・・・

 昔はやったゲーム   安っぽいラブホでみた夢  クスリを売ってる人の話も もうちょっと向こう側までの連鎖―――家で一人でいることになれすぎて、携帯でいじっていても、マニキュアを塗っていても、   宿題をしていても、飲みかけの湯飲みや、半開きの食器棚が気になることがあった。じっと見てるとなんか不思議な気がしてくる。だんだん、ここには自分以外の誰かがいるような気がする

  だれが開けたのだろう。
   (ウソで誤魔化し続けていた、ひとりの時が

    ケータイにはメビウスの輪のように
     さまざまな友達がいる

   呪文/優先順位は頻度で決まる
  想像力のなかでのた打ち回る

 途中でテレビを消した 寝転がった   萎びた妄想 むしゃくしゃした   わたし 誰でもいいから(誰かに背中から抱きしめられたかった (その心臓の鼓動はおそろしく速いに違いない (だって彼はとても優しい人だから ときどきサルのしっぽが、

 パンパンに膨れ上がっているような気がする
  (湧き出るウジ   どす黒い血

 彼―――それが唯一の救いであった。たとえイルカのような鰭をもっていても、じぶんは光の当たらない人間。どうしようもなく戸惑っているわたしに身を寄せ、肩に腕をまわして、わたしのおさない胸にふれた時 

  こめたはずの力が するりと抜けて 
   ―――足りない 足りない 

 おまえは誰だって問われても『ニンゲン。』 真面目に答えたくない、なぜか妙に張り詰めて、作り物でいる。駅前。バスターミナル。出会い系サイトで知り合った男   ―――プチ家出。でもこれでようやく抜け出せると思えた。
 『母親の顔を見たくないの―――?』
 上目づかいに、不安そうにいるわたしの顔を見て微笑む。でも知っていた、最初は甘い言葉でいること、携帯電話を耳に当てて佇む姿、あたらしいゲームの始まり。ぼくのところにおいでよと言う。焦点が合わないまま   ドン・キホーテ  というか犬

  ぐぎゅる、と音が鳴る わたしは桃太郎   命令デス
   (私を幸せにしなさい   愛して見せなよ

 しかし一か月後   帰りたいと漏らすや否や豹変する。ゴツ、視界は回る  調子にのってるガキに食らわせたと自慢げな鉄パイプのような痛み。 怒りのあまり咽喉が痺れているのだが、ぶはっ、と鼻血がいきおいよくでて 舐めるフローリングの床
 『天国と地獄は混在している―――」
 うしろめたさから、熊のぷーが、カッコつけて言った言葉がよぎる。胸を張っているオカマ、卑劣な男のくせに、そんなえらそうなことをいえる身分だと思っているのか。(灰皿がわりに太股にたばこの先端を押しつけられる やめて! ・・・やられる
 バッグから携帯を取り出し
 「それだけは・・・」
 もちろんバチッ、と破壊。ぐにょぐにょとした感触。まるで覚せい剤をうたれたような 注射器がわたしの腕に打ち込まれる 恐怖でわたしの意識はとぎれ、熊のプーがあらわれた。なぜか手招きをしている。笑いもせず、いや笑ってたかもしれない。遠くて怖くて、よくわからなかった。

  監視カメラが部屋のどこかに付いている
   廊下を歩く音/窓のない部屋 南京錠をはずす音

     ―――合図だ

 髪の毛をつかんで腹に蹴りをいれられる。わざと手をはなして、逃げさせる。   逃げる場所なんてないと知っているからだ。『出て来いよ』とラリったように、髪の毛をふたたびつかみ、むりやりシンナーを嗅がせられる

  お前が見過ごしたからだ
   (母親! 父親!
     男、女、ぜんいん死ねばいい

 ベランダで裸踊り(色気がない、というだけで首を絞められる (きったねえ身体といいながら犯す (風呂にむりやりいれられ、みず責めされる (そのあとは、ロウソクを垂らして   顔面を臘まみれに。両目に火のついたままのロウソクをたてる

  それは写真のようにかなりの大きさで
   (わたしの瞳にメリこんできた

 性器に石をつっこむ   血が出る  泣く。喚く。気絶する ロケット花火   肛門にさしこむ。髪にはさみを入れ   スキンヘッドにする。そんなことまでしておいて、  まだ汚物のようにわたしを蔑んでいる。   しかし切り捨てない、  彼にはまだ性欲があり、 そして隠しきれない淋しさがあるからだ。鬱陶しがってじゃけんにしながらも、結局この男はこんな愛し方しかできないのだ。とじこめられた部屋で、わたしも常軌を逸していたのか、  
 それともいままでが異常で、いま、まさしく正常になろうとしていたのか
 『ロマンティックでしょ―――?』

  排尿・のみもの 排便・たべもの
   (ゴキブリ、たべもの...?

   生ってなに? 死ってなに?
    カリカリカリカリ、と爪で床を引っ掻く
     (不幸のどん底におとせば気が済むしあわせ

 ドライアイスで腐敗をふせぎ   ピンセットでわいたウジを取り除き 殺虫剤で 蠅を殺す。やがてそれにも飽きた頃   公園に捨てられる。かわいくてしかたないおもちゃだったので、泣いたりもする。ガムテープで顔面をぐるぐる巻き   ―――腐臭≪プシュ
ウッ≫   わたしは孤独ではない、暖かい空気を感じている

  でもわたしは目覚める―――目覚めたと思うのだ
   (記憶はそれだけである。

 どうやって帰ったか憶えていない。しかしどうやら何事もなく、無事に家に帰りついたはずである。でないと今、こうしておれるわけはない。だから大丈夫なのだとおもう、多分。これからも、おそらく、―――これまでもあのようなことはなかったのだ。でもどうしてだろう、女子高生、15歳の乙女、想像を絶するような痛み、皮膚感覚、濃厚にただよう絶望、しかし孤独、
 死、夕暮れ誰も助けてはくれない静けさのなかで
 ただ一言つぶやいてみた、熊のプーからの逃避のように
 『わたしを・・・殺して・・・―――』
 身動きできなくなった恐怖、
  が、わたしの身体に刻まれる明らかにおかしな考えを、一人でずっと考えてると、どう考えてもありえないことに、整合性がついてしまうような、おどろおどろしい不気味なBGM、血しぶきをモチーフにして書き殴ったようなタイトルでこれからゲームが始まろうとしている。扱い慣れたはずの『わたし』というキャラクター、15歳の女子高生


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