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灯台

火と水

          あかがね
さみしく熟れてゆく銅――ぶどう園に通りかかったわたしに
                                    
雲が、きれいな鳩たちが応える・・ギルガメシュ叙事詩、あるいは
           うたげ
 オリュンポスの大歓宴。なにげなく、囁きかける意味深な語。

 「ランブルスコ・レッジャーノ・セッコNVメディチ・エルメーテ・・。」

グラスよりこぼれそうな言葉だ、わたしは木蔭に、枝の茂みに
                               ぬか
バスストップーボタン。歎き、憤りいかに大いなりとも額をあげて
えん       ヴェール
?として輝やく面紗が昼も夜も、花園の茂みつらぬくを見る――
           くさはら
 そは風渡るやさしの草原・・・・・・。

・・・行きずりの快楽、ささやく話もとぎれとぎれに、わたしの血の燃え

 ・・・左の耳から右の耳へ――と、くつ紐が切れ・・
                    はながみ
ほのかにゆれる 真帆 片帆――花神フローラ、パレットの絵の
                      あやな      ふかみ
具の溶けた花壇の、外はうつろで、操縱す秘密に深淵なく・・
 マザーネイチャー
母なる自然が花冠状の配列のような、毛細血管のような、ふくざ

 つな回路に活き活きともたらす――
かどわか てだて
誘拐す方法・・・・・・。

されど時間は不在。「・・・誰も知らない――目覚めを知らない・・。」
                              やす
ひるの鐘! 小径のへりから遠くの方までわたしは憩んでいる
        れいはい                    おとづ  
 蛾、と!・・。禮拜の時は、空気のわざ、花の音信れ・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・

影は偉大だ! ――それにもまして風の偉大、
          とさか                   ひびき
いまや蛾の影は鶏冠となり、その翅音は神話の韻帯び・・。
  こめかみ                                ひとみ
げに顳?あたり産卵をはらむ熱気となり、蕩け出し、瞳孔のおく

 を瞑じぬまま、あっという間、ベルトコンベアー×メトロポリタン



  ―――わたしがほしいのは、無償の愛。自己犠牲。なによりも、

  自分という王国からぬけだして、相手をたのしませる気持ち。



ああ! どこからともなく聞こえくるシュプレッヒ・コール・・・!

葡萄酒の酔い―。意識が目まぐるしくめぐる、スクリーンの外で

 、タイムカードが ずぅぅぅぅぅ・ガチャン。・・・コーラスだ。
                     
 天使の喇叭ひびく・・・! 聖歌隊来たる
  
  ずぅぅぅぅぅ・ガチャン。 ずぅぅぅぅぅ・ガチャン。

 、コーラだ、、[昼カロリーを気にする、脱却。]

昼――わたしは、苦痛のなかで、熱く燃えたぎる血汐を持て余す。
いかり                                           はきけ
忿恚が咽喉元までせり上がる・・・まるで如雨露のような――嘔気



  ―――もっと強いもの、やさしいもの、暖かいものを訪ね

  ゆこうとしているのに・・。



のこぎりのような歯をして、鰐の背びれのように日常に濡れながら

 笑っている同僚、-ああ水涵し・・・なのにいぶされそうでひどく

 眠い。――腐敗。矛盾[機敏に震える、白鳥・・。]

言えない――光はまるで雪のよう・・。

手際よくなろうか、-歩けないの、飛べないの?

ほら、黄昏のさなかに口笛を吹くみたいに、皮をむいてゆく蒼空へ

 ・・・ある者は多孔質と言う。別のものは、谺と言うー。それも、

 まったくこの部屋から出られないと知ったかぶり・・・。
 オベリスク
 方尖塔のむなしい影のフォルム。



                ――フィルム



   氷り付いた――蒼白い灰色のラヴェンダー・・・

   その瞬間から、泉を枯らし、

   その泉を褥とした花をも枯らせた。金色の林檎から

   ビイズいろの水分が剥がれ、

     「ああ、虹だったわ・・・!」と君は風に口を開け、

     鼻孔をひらき、おそらく、耳孔をひらき、――
         おとづれ
     この冬の訪問に、・・・君は身顫いしていたのだ・・。


                         くびき
  (その時に浮かんだ粟肌は名付け難い軛をすりぬけ・・・斑点――

   次の瞬間にはじけて tiaraのようにかがやいた・・・そして見事

   だった、あれほど、黄色く見えた夏の間から茶色くなり・・死を

   連想させる赤、緋、と毒々しく変わっていき、すべての花を絶
                               さんかくとう
   やして君は白くなった。――きみはいま、水晶の三角塔のいた

   だき・・・その人工的な、生きたまま死を閉じこめるという、操作

   をなすまでに、睦言は至福のうちに、微妙な縫い目を潜っていっ

   た「うしなわれる言葉が嫌なの・・・」そうして、――君は在った、
           つらら
   きれいな髪を氷柱にかえるまでに、潔癖に、脳味噌の養分をも介

   さないで、氷のように、輪郭を明晰に沈めた―――。)



でも恋人よ、たまにエロティックでだらしない妄想に耽るわたしを

 わかってください・・・変身願望が、-欲望こそが足枷を、時間とい

 う雹を、・・そしてまったくのところいくら努力しても空虚しか生

 まない、顔が引き攣るという絶望に慈悲を――。



   君は しばらく口籠っていたように思う

   ――あなたらしくない?――でも本当のわたしはもっと卑近で

   怯懦なもの――《先へ進め!》と突き動かされたわたしの歪曲

    ・・・プラカードをもって行進しそうな我に祝福あれ!




         ねえ、あなた――どうしてなの、どうして・・

         そんなに気が弱くなってしまったの。神のよ

         うに放縦に振る舞って見せた、あの日のあな

         たは何処へ行ってしまったの・・・。



  (階段が始まるのを見た時、それが上へ行くのか、それとも下へ

   行くのかわからなかったけれど、わたしは、平衡のない、螺旋

   状の生きもののような場所で・・・あなたに幻惑されました。次に、

   稲妻が落ちた――。恋だと思った。生きる道だと思った・・。)



  ● 二階のアパートの一室

    テーブルに一人の男が座っている。

    一人の女がエプロンをつけて男を見ている。




 あなたは知らない・・。

 そうよ、知らない――私は何も知らない・・・。



    男が眼を瞑ると、毛細血管から淋巴腺の隅々にまでいきわ

    たらせる、蒸気の波、・・・夕方のけだるい靄が、廊下をわた

    っていく――町から町をわたっていく、記憶を照射するひ

    らめきのように、あるいは、ウィルスのように、霧のよう

    に、・・・巨大なドームのように、




 ねえ、詩というのはね、もう醜い争いごとのように思えるんだよ。・・・

   手垢がついて、――こんな時代だっていうのに、いまだに団栗の背

   比べ。・・・挙げ句が足の引っ張り合い。知識欲の肥大。かと思えば、

   行動力の乏しさ。詩は生きる人のものだよ。もっと美しいものだよ。

   情熱だよ。それがなくなったら、人は変わらなきゃいけない。賢くな

   るってことだ。嘘をつくっていうことだ。そいつらのように、ただ無様に、

   詩を書くだけだ。――念仏のようにね・・。

 あなたは革命がしたいと言った。

 いや、革命するに値しない・・・! ただ自分のことだけ考える豚に、伝

   統を語る詩人どもに、似而非出版社に、――立派すぎて涙が出る。

 でもあなたは変わろうとした・・、変わることが大切だと言った。

 僕等は流転する! ゆえに魂の問題を語る――

 変わらなくてもいいこともあるわ・・・

 でも君は知らない、この国の賞制度のこと。そしてこの国の判断基準の

   まずさ。流通のまずさ。・・・いや、そんなのはどうだっていいことなのさ。

   そんなのはね。問題は、そこに使命感や責任感を持ってくれる人がい

   ない。――努力もしない。・・自分の非も認めない。だから毎日平気だ。

   平気で詩を貶める。奴等に死を! 奴等に死を!

 恋を知らないのよ、愛を、ね・・・生きてるって、そういうことだわ。

 僕でもたまに自信がなくなるよ。横を見てもライバルがいない。食べて

   糞して死のうとしてない。目的がない。無戦派だ! 無神論者だ! そし

   てついに僕等は無痛派にまでなりはてた!



   君は 毛布や枕を指差す これは、と!

   ――ここにはそれぞれの力――それ自身の力が寝かされることで

   ――《宿となり、衣食となり、生きた色となる・・》

    ・・・でも、万病にきくという妙薬はあなたが探さなくてはいけないわ。


                         フィルム
               ――フィルム・・・映画



   彼女は――苦労の最大の報酬・・・

   彼女の中に息づく永遠性、

   ・・・あるいは切ないまでに研ぎ澄まされた、刹那は、

   おごそかになおもほのかに光る手のぬくみ、

     「(うっすらとした蒸気・・・。)」そして――思い出した・・

     雲がさわやかな裸の群れや、羊の群れに思えていた頃、

     あまたに燃える銀の雫のなか、――まだ故しらぬ

     遠い時刻の鐘の音が鳴り響いていたこと・・・。

    ・・・仮にため息をこぼすとしても、それは暗い淵や、

    長い間の疲れ・・。また、美を否定するものではなかった――



      間 30秒ほど



  (あなたは若く・・、思い上がっていて、愚かで、傷つきやすく、

   ――鏡の中にうつった香水瓶のような、無垢な果実・・・。虎の

   毛皮、アキレウスの鎧、ガラハッドの楯・・・いままで聞いたこと

   もない言葉を織り交ぜながら、・・離れることも、近づくこともでき

   ずに、可視と不可視のなかに沈んだ――あなたはいつも、詩が

   書けなくなることを恐れた・・。壁など何処にもないのに、あなた

   が見る壁のなかで、「いつか閉じる」と言った・・・。)



 われわれの銀河は、現代の望遠鏡で見ることのできる数かぎりなく

   ある銀河のひとつに過ぎない。

 ホーキング教授。

 河原よもぎの草むらのように、わたしたちは怠惰のうちに不実なことば

   をつらねているけれど、誠実になれば、そこに身元が、あるいは歴史

   が、旅を漁っている救世主や、信心、また目ざめといったものがあるの

   ではないでしょうか・・・?

 それ僕の台詞だ・・。

      
          えくぼ
   君は きれいな陥没をつくって ・・・ああ、いいなあとおもう
                   クヴァシル
   ――知ってるかい?――醸した飲み物

   手を伸ばせば月が段々とふくらんでゆく。あたらしい入口を、

   うっすら望むほどに・・その血を――その期待は、・・・消える白波

   素裸かな欲望。ーたとえばそれが言葉の意味を時間の経過と共に

    ・・・曖昧にするダーウィニズム――



  ● ひとりきりの部屋


                                   やいば
でも東からの冷気をあび、耳鳴り、・・・雨を呼ぶような美しい薄刃な

 どを見ていると迷います。滾る。-駆り立てられる、釈放! わ

 たしの背柱骨は土台と化す。たとえそれが在りし日の、・・・ギロチ

 ンであろうとも、――それはうつくしい柱 あたらしい歌
                  がま
でもなんて狂気にみちみちて蝦蟇のようにうすのろ、・・・鏡にうつった

 眼の奥底に・・・砂。-ざらつく・・・・砂嵐のような迷彩色の視界に

堅固なバリケードが立ちはだかる。わたしは迂回したい

 、できるなら、穴の中に逃げ込みたい――だが、回転こそが常態

 、巡礼者よ・・・あの女に襲いかかれ・・・!

でも、冷凍させねばならない、ぴきぴきとうすい氷が張るまで、そ
             まどわし
 の内側に色とりどりの魅惑をたたえ、粘土のような自分が壺とな

 るかー化石となるか・・ああ! 発酵するまで・・・まで―。


                       フォルム
                ――フィルム、形



   それが真っ当だ、――でなければ嘘吐きだ。・・・

   いまもどこかでわれわれの分身は、

   愛すべき兄弟は泣いている。歳月の磨きなどなく、

   快楽というつみ深き壷をかき抱いた敵手のまえで。

   おお、あいすべき姉妹はひそかに、ひとの心を語りなむ。

     まっくらな夜、時差、そして環境、・・・さまざまな人びとに

     ある思想や宗教によって、みだりに他人を支配する、――
                      はらから
     獣のような感情を呪って――同胞は泣いている・・。



ここにシベリアのような疼きがある、――白樺の影・・・魂の鋳型など

 がある―――そこに塔や城、廃墟、日干し煉瓦、先史の集落など

 がある―――紋章、小銭や金貨・・・。さまざまな造形物――

わたしは真実、-誘惑される、相次ぐ太古の喜びと悲しみに・・。

わたしはぶどう酒いろの花を愛でる。たとえば泉のなかの影を。
                              よみじ
かぐわしい謎、己の影――心に流れる甘く激しい冥界路・・。



         ねえ、あなた――あなたが好きだわ・・光の夢

         想にひたっている時に、眼をつむるあなたが・・。

         自らの裂け目のなかに浸ってゆく、・・・ぐしゃり

         と崩れそうなあやうい一瞬が・・。



  (そしてあなたは思い出を語る。・・世界が終わったと。――でも

   あなたの眼にはまだ、世界が始まっている、そして夢のように

   未来がただよえば、明るくすこやかに、第三の眼があなたの無限、
                                      そら
   ・・響き渡る有機的大音声がきこえてくる――さびしく澄んだ穹に、
         いしゆみ      ぼ
   すこし似た、弩のような、蕩うっとした顔をして・・・)



そして今度は、声をひそめてあなたを誘惑しよう、――その身振り、

 わたしの声、・・・まるでキラキラと輝く純情可憐な蝶

あの蛾は薔薇のように逝き、・・・灰となり、――蝶となる。

さあフローラ、わたしの腕の中で噎せかえるといい

こわばった月のようだったおまえ、-薊、あるいはおののき

 の猫だったおまえがささやく、「愛している!」・・。

罌粟こそが眠り、麝香こそが深緋・・。
                        ロンド
どんなみだらなことにも首輪をつけようー輪舞曲のように

 、それは花の名、・・・なじみのそよ風ー夜の闇

蛇の頭がどのようにして接吻して、この味を授けてくれたか
                      くう
 ああ・・・! こうこつ、自在な真昼の空を蹴る dolphin

おまえは知っていた、みずからが水の精であると・・

そして嫉妬深いわたしは、・・火の化身であると――ひとつ
                                もも
 の腕が芳香に酔い、ほのかに光る産毛に接吻する蜜桃

でもまだクリスタル・・非難のせんこく――コバエごときの夢

しかし伸ばす腕は突き進んだ 埋もれ火の最大のご馳走「水!」

 を、過激な行為――蒸気のヴェール、とおい雲間を、あの顔を、

おまえは忘れない、この世のものとは思えぬ血の重さ
                               ふる
おまえは忘れない、一人ぼっちでは裸になれぬ風の慄え

手首が痛い、やけつく陽射し、・・・心臓はもはやおまえの手と足

 誰もお前を解き放てない・・・天に昇るほどの雪の白さを知って

 なお、それをとかす炎の幻に陶酔したから

さあ、青い鳥よ・・蝶でも――いまや蛾でもない、いんとうな鳥よ

 魔力のように餌を、水を・・・この鳥籠で得るがいい・・

おまえは極寒のさなかでじんわりとしみこむ肌のぬくもりを知る

冷酷な青い烙印をおされてもいい、ヘラクレス

バベルの塔・・そのまぐわいのなか――。



 



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