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灯台

灯台

死神ミラージュ

  1 賽は投げられた



      ――あなたはまるで懐中電灯をふりまわすような手、探照灯・・・灯台をさぐる手

      ――あなたはまるで腫れものに触るような手、碾臼で碾こうとする手

      ――戸を開けて、息をひそめる手、深い緑の葉の上からこぼれたい手



  * * *



 男になる、と思って銃をとった。鬚に白い物が混じりはじめ、ジッポのライターで火をつ

けたかった、――あの日のことを忘れない。白い靄のなかに雷光がある。陸橋がある。軋ま

せているのは車だ。闇にくらみそうな地平にもたれるようにシートは、表皮直下に5mmの

スポンジ。奇妙に捩れていく心の奥に潜む情念。海流の影響で強い風が吹く。頑丈で高い石

垣をこしらえられた港町。三味線のようにびいんと耳に突き刺さって来るような嫌な音がす

る。肩と腰でリズムをとる踊りのように、・・・海沿いで風に吹かれている少年を見た。小窓に

うつった焔のように、谷間にまで届く雨のように、けだるいピアノが聴こえてくる・・。

 砂浜があった。風が、目に当たる。――赤い炎の勢いのように。空は物欲というマグネ

シュームをたいたように閃光し、表面が口紅のようにヌラリと光っている。

 溶ろけるようなカタルシス、あたらしい戦い――戦場・・・硝煙のにほひ・・。

 目が血走った男がいる。口元をなめれば、鉄の味がする。――塩

 俺は流氷のように鈍く光る男のもとへと歩みよる。近づけば、危険な香りがする男・・。

 「これをやろう・・」

 無造作に俺の胸へ小箱を押しやる。ずしりと重い。――銃・・。

 戦争をしっている車椅子の老人。・・・夕刻の光は、蛍のように、魂のように紫いろから緑色
                           きめ
の妖光に染まる。そして突如着物から覗く白い肌のようにぬっと月が鱗の色をして出る。

 「皆、わしが漁師だと思ってる」

 ぽつりと唇を湿らしてから、嗄れた声で言った。

 「でも、わしは戦場が好きだ。宗教による法、自然の法、人の法・・・わしは、靴の踵を踏ま

れるだけで大声で喚く。もう、黙ってはおれなくなる。わしは哄笑しながら機関銃を乱射し
                                  ふたつ
たい。街の平和とは何だ? この退屈な幸福に浮かぶ、二個の影は何だ」

 鴎――どれくらいの世紀ためこんできたのかわからない悲しみ。白い砂の上で、バナナの

樹やゴムの樹を想像するのは草臥れる。前世紀の建造物にたちこめた毒ガス。そしてそれを

知った者たちに忌まわしい考えがどっと流れ込み、後悔で胸がうずく。世界の風景は、彼に

とってぎくしゃくとして感じられ、気持ちの読めない、永遠に呪われた侮蔑の対象だったの

だろう。人は目を閉じる、と俺は思った。

 ――変なことに気をとられていて聞きそびれるようなことはない男の言葉。

 原始的なほど純然たる男らしさをかかえ、その胸の中には、地下街がある。刑法違反すな

わち、無法都市が。生は常に死と隣り合わせでなければならない。・・・その時、俺にはその為

の時間がたらふく蛇の血のように残されているのだと思った。

 「男になれ・・・」

 それははかりしれない沈黙と屍臭を孕み、・・・いま、斜めに見えるパンフレットから抜け出

したホテルが電子レンジのように見える。白亜の灯台が固形石鹸に思える。・・・水面が、すう

と煌めき、人生がモノポリーゲームのように思えてくる。無性にカフェイン抜きの珈琲が飲

みたかった。――さあやれ、と彼が手招きをする。

 俺はその箱の中から、黒いジーンズへと一旦その翡翠いろをしまい、次の瞬間、大波が砕

け散ったように彼の咽喉からかすかな悲鳴。老人には鎮魂歌がきこえていたのだろうか、・・・

その発砲とともに、俺がどんな表情をするのかを。

 まるでドルネシア姫に忠誠を尽くすドンキーホーテ。でなければ、砂漠に棲むことしか考
                                          どうじゃく
えられない蠍のようなものか。口元はひきしまっているが、それでも俺は瞠若する。

 男になるための銃はむしろ戦利品――

 再び静寂の戻った土地で、俺は身を乗り出すように海を覗きこんでいる。

 ああ、老体が浮かぶ。・・・車椅子が浮かぶ――薔薇が浮かぶ・・。

 しかし楕円形の鏡は何も映さない。野獣の懶うい涙を――



  2 男は男になるために


 
エネルギー  たんぱく質。エネルギー 脂質

エネルギー  ビタミン。エネルギー A,D,E,K,B1

エネルギー ナトリウム。エネルギー カルシウム。

エネルギー 炭水化物。エネルギー 



烏龍茶ポリフェノール エネルギー。ウーロン茶生クリーム エネルギー。

烏龍茶食パン トマトスライス 胡瓜 マヨネエズ エネルギ! 



  * * *



 メーターの針が振り切れている。きれいごとは何も生まない・・・。

 夜の間、俺は戸外でパトカーがけたたましく走り回っているのを知っていた。だが、それ

に怯えない。だから、それに抵抗しない。そのくらみのなかで、デジタルの蛍光塗料。格子

模様のように雲が通過する、月を歪曲させる、夜の底・・・。

 しかし蛋白質、あの肉体の別の名よ・・・!

 良質の蛋白質は、老化現象を遅らせる効果がある。

 ――大丈夫、心配ない・・。

 夜の間、豊かさを求めるエネルギーが停滞し、それでもそれが錯綜し、また別の地点へ降

りていくような気配を感じた。別のものへと流れ込んでいくのを感じる熱帯夜。

 Sexは本質的に生物機能だろう、と俺は思った。

 タバコは? ドラッグは? ・・・これまで不遜や困憊を告げてきた、人それぞれの価値観と

定義づけ、殺伐とした生活を送った俺に一縷の望みがともった。芋づる式に、諸行無常、

生々流転――やがてハレーションを起こしたような窓、初夏の日差しを・・、感じた。

 俺は豊潤な酒のように、――飲まれたがっている。それも、無頼に。

 たちの悪い探偵まがいのストーカー行為の撃退。レディーキラーの撃退。チンピラの撃退

。――人目もはばからず、女にキスもした。肉と肉のぶつかりあう血を孕んだ暴力。俺はや

みくもに血の匂いを求めた。ブラッドソーセージ――蛇・・。

 「掛かって来い――おい、来い・・・」

 自暴自棄ではない、弱い俺を追いだす為の儀式だ。

 そのピンクがかった赤の戒めから、何か所も漿液が滲む・・。

 ネオンライトが路に照りつづけている。まるで融けた鉄の雫のように――

 俺は酒場をうろついては、喧嘩をふっかけ、次から次にのしていった。家に帰れば筋トレ

をする。パンチンググローブでサンドバッグを殴打する。そして海沿いのダッシュを何十本

もこなす。身体が事切れるまで、鳩尾からいやな汗が流れるまで。・・・やがて六角形の瘤のよ

うなものが浮かび上がり、すきまなく、スパルタの筋肉をかぶせられた。善悪を超えた信念

を透かして、俺は街へ出る。そしてその夏、俺は酒場で見かけられるだけで勘定を置いて逃

げ出される危ない男になった。腕自慢に、ナイフ使いに、複数。

 ――手を変え、品替え・・。

 「ちょっと顔を貸してもらおうか・・」

 そのたびに、脛に傷をつくったが、俺はやられなかった。そうして俺は女に言い寄られ、

男からは尊敬された。ヤクザからは一目おかれた。

 うずくまった顔が地面に当たる。灼けた砂に折れた指。
          まぶた
 亀の産卵――眼瞼が痛くなるほど目を見開く。



  3 銃をことりと取り出して



 木漏れ陽は芝生のうえにまだらをえがき、

      スプリンクラー、地を這う橙いろの光

 そんな、ある日――RRRR・・・・・・

                  RRRR・・・・・・

          木の間がくれの隙間から

                 赤ん坊の泣き声、

      RRRR・・・・・・

              RRRR・・・・・・


      何千年、何万年

              呼び続けるかわからない声・・。



  * * *



 受話器をとった時、ハンカチで口元をおおっている、と俺は思った。くもぐった声。おそ

らく変声期も、まだだろう。これから火脹れして、嘔吐して、呻吟して大人の男になる少年

の声。――こいつは言った、頼みたいことがある。そして男はしずかにナマ唾をのみなが

ら、・・・こ、殺して欲しい奴がいる、と俺に言う。謝礼はする。――俺は数十万くらいだろう

と思ったが、数百万と聞いて、――遺産か、と俺は思う。もちろんそんな金などさらさら受

け取るつもりはない。今出せる金は、と聞く。――五万。それで、成立した。庭を見ると、

岩が見えた。――そこに孤高な鳥・・・あの鴎が止まっている。



  * * *



 心底、歓迎されているとは思わなかった

      五〇〇〇〇はあてつけ、曲芸をしこまれた猫のようなものだ

 反逆と呼べるか――RRRR・・・・・・

                  RRRR・・・・・・

          そんなに華麗か、優雅か

                 露骨な嫌がらせ

      RRRR・・・・・・

              RRRR・・・・・・


      十分だ――その響きは悲しかった

              死神ミラージュ、あなたの声が・・。



  4 少年が話すふしぎなミラージュ



 ぼくはそれまでふつうの少年でした。周りがトランクスや、ボクサーパンツでも、ぼくは

ブリーフでも平気な子供でした。たぶん、褌だったら、すこし恥ずかしいなという少年でし

た。でもいまは怯えます、圧倒的な人生経験の差が毒花のように、いままでの自分の服装、

あるいは考え方、容姿、スタイルなどの一切が他人に主観を押しつけるもの、逆に無意識に

脅迫されていた、と気付くほどに――ぼくの魂は穀物袋より軽い・・。

 身体の自由が効かない。・・・胸が痛い。まるで、夜の沈む街並みの景色がワインレッドで、
                          キュー
・・・そこにはビリヤードテーブルがあった。突き棒があった。ギラギラした蛍光灯のあかりが

版画のように縁取って、何処かで聴いたことのある音楽、そして散乱したピーナッツの殻と

、ビールのポスターと、ポーカーに興じる犬たちの声と・・・。

 まるで、シャンプーや石鹸のかおり、ミルク! ミルク! 

 その余剰エネルギーの前では、クリスチャン同然の自分・・。



  * * *
 


 ミラージュ 機械教師という静止衛星軌道上のことではありません。

 成功と失敗、背徳音楽、無慈悲文学、生物的宇宙港の絵画・・・。

 でもそれなりに、醜怪な趣味などに走りながら、生きてきました。

   でもしろい雪のなかで、いまでも生々しく思い起こす光景があります。

   記憶は、人格にとってとても致命的です・・・神経細胞を殺します

   憎悪――歪んだ教育、・・・黒々桐たるトンネルをくぐれば

  可愛そうな動物の気持ちがよくわかります。・・ミラージュ、

  あの瞬間、ぼくの愛した、あの馴染み深い世界はガラガラと崩壊し

  破綻したのです。[まるで黒い髪が・・・茶色に――金色に・・]

    ぼくのお母さんが米兵におかされました。ああ、いままで、誰にも、

    誰にも言えなかったことです。ああでも、――息ぐるしくなります、

    何人ものごつくて、でかい米兵がいました。・・・股間に顔を埋めさせられ、

   一糸まとわぬ裸身に、湯あたりしたような赤い肌が襲いかかり、

   四つん這いにさせられ、尻を向けさせられ、・・・肉体は揺れ、悶え、

   羞恥心とか貞操とか――ああそれまで、良い子、悪い子でもあったぼくは、

     一気に頂点から奈落へと落ちたのです。この世は夢幻、・・・

     非現実も現実も、おもわぬ流れ弾の前では、ゆめまぼろし――

     お母さんは死にました[すこし、湿り気のある風が吹き抜けた]

    ミラージュ、ぼくは怒りよりも恐怖の方が強いのです。許したくないのに、

    全身に冷や水を浴びせかけられたように怯えているのです。

    捨て鉢になってみたけれど、気が狂えないのです・・。

      たまにデザインが好みじゃないマンションの夢を見ます――

      正面は煉瓦。観葉植物がある、エレベーター。そして4階フロア

      防犯カメラはありません。そこで、やっぱりお母さんが犯されています。

     次の瞬間、小型のモニターテレビが並ぶ監視室のような所にいます。

     どの画面にもお母さんがいて、どの画面でも、やっぱり犯されています。

     だんだん画面に色がついてきて、緑、赤、オレンジ、青、黄・・・。

    ミラージュ、――やがてぼくは屋上にいます。高層ビル群、繁華街、

    でもそれは都市という家財道具にしか見えません。不信感があります。

    そこに雪が降ってきます。まるで雪はしろい蝶の粉のように、きよらかです。

      でもそれは、だんだんと、死の粉、燃え尽きたあとの灰に思えます。

      ぼくは夢の中で、その粉をあつめています、角砂糖にたかる蟻のように

      ――ぼくは生きています。ミラージュ。・・。

    時計がことりことりと過ぎてゆく。

    まるでサブリミナルのように、無意識下に、紺色にうねる泡。

    雪だ――白く彩られた地面に、確定的な刺激が視界に入ってくる。

     偽善、成功報酬・・・憤懣やるかたないといった少年の復讐の代行・・。

     ある者は日本に帰化し、またある者はアメリカに帰国していた・・。

     殺すのは簡単だった。時間はおどろくほどたっぷりある。

   また、必要経費の供給源もある。命乞いをするもの、

   あるいはみじめったらしく小便をもらす者――軍人が、だ!・・。

   だが、最後のひとり。しかし俺はそいつの家族をみてしまった。

    迷いがうまれる、――何が正しいのかが家族の眼に押し返される。



  5 死神ミラージュ


   おまえはどうして殺されるかわかるか?

   ・・・答えない

   タバコが吸いたい


         もうぜんぶ、こわしたあとだった

         もう、ぜんぶ、つかいものにならない

         ・・・路地裏

         ゴミの匂いがする


   死はやさしい

   そしてそれに釣られて雪が降る   

   雪はあおい瞼をおしひろげる

   
         タイヤに巻きついたチェーンの音、

         そして雪・雪・雪だ――

         空から美しい生き物が、

         次々と生まれては死んでゆく再生



  
  * * *


 鬚に白い物が混じりはじめて

 たったひとつ/

 謝礼でつながる

 それって新手のナンパ/デジタルカメラでうつす

 サンタ/身体中の血液がさがる

 さがる/胃の底を撫でられる

 耳がびりびりとする

 次の瞬間/サイレンサー付きの銃を懐から取り出し

 撃った/そしてえいえんに ほほえんだ

 やがて俺は見る/露骨に非難がましく俺を見る偽善者どもを

 警戒の色を/押し寄せる喪失と悲壮を

 そしてこの天井のない世界に張り巡らされた壁を

 地雷を/卑怯な罪人を裁くために

 俺は呑み込まれる闇であり、孤独へ、

 ――絶望の瞬間へ

 サンタ/粗大ゴミ

 ふんわりと髪をゆらす在りし日の母親たち

 そこに数多くの円盤が回っている/

    雪――少年よ

    ささやきながら死んでいくことは出来ない

    ほのかな青など残るまい、ため息しか残るまい

    巨額の富も、復讐劇も、
    カリキュラム
    教科過程にはならない

    おまえは殺される最適な効率の名の下に

    銀河で一番きな臭い、疑似重力のために

    されど切れ長の目で、口元に終始芸術的な冷笑を浮かべた男よ

    見えない闇を撃った男よ

    ――そこに唐突に浮かぶ一糸まとわぬ母親

    俺が手にかけた米兵・・・そして車椅子の老人

    そして血縁を分離させるような義務感のなかで
                    コンクリート
    俺は仮面をかぶる――指も見えない混凝土を


      RRRR・・・・・・

              RRRR・・・・・・



  6 写真を撮りたいのですが、いいですか?



 ファッション雑誌に載せたいんですけど、写真いいですか、

 いいんですか? ・・・いやあ、お兄さん、

 あんまりにもシブいんでまいっちゃいました。

 服なんかけっしてブランドじゃないし、

 じっさい、ファッション・センスなんて言葉まったく思いつかない

 けれど、お兄さんの雰囲気がすごくいいです。

 すごく、すごく、いいです。

 なんていうんだろう、背中に亡霊をせおっていて、

 しろいみぞれのようなものがどっと降るっていうのか。

 砂がジャリジャリするっていうのか。


  * * *


 寝ている人達を起こさないようにするのは

 死神の特権ではあるまい

 そしてこの一覧表には、気が進まないほど人畜無害な生活が

 書き記されている・・・。


  * * *


 その夜、カメラマンは男の腕に抱かれながら、

 頭痛・嘔気・めまいとも違う何かにどんどん侵食されていた

 しかし女が眠りに就いた時、

 ようやくわかった――波の音だ!

 でも夢の中では、それが雪の音のようにも思える

 そして血まみれの男たちが、

 雪を赤く染めて追い掛けてくる悪夢をみた。

 ばっと目覚めると、・・・わたしのカメラが消え

 そしてピンクのネオンのホテルには、

 彼がいたという一切の痕跡がなくなっている


  * * *


 臓器が損傷している

 深い憂鬱に沈みながら、

 何を探しているのだろう、勝利・敗北よ

 それはとても遠い所にあったような気がする

 高い壁、高い門

 無意識のうちに想像を絶するような寒さ

 辟易する競争化社会
 
 現代の利器にギクシャクする会話

 一種自分たちの鏡。・・・月の麗貌

 月の残ったままの夜明けの中を生きる

 愚直な玉砕主義にはなれない

 粛清もできない、しかし心拍数はあがる

 単独行動もできない、因果応報も知らない

 愛情をつかさどる器官に嫉妬も憎悪もしない

 ただ無力に生きる

 地団駄を踏んで醜悪な光景をつくる

 神もいない

 夢もない。――ましてや生きる理由もない

 でも暁星は必要だった、市民統制も
   イリュージョン
 ・・・心の迷い も

   無関係な続き合いや、かかわり合い、上辺だ

   別に根拠もない、応急処置な電波受信する無機質

   カルシウム、燐、水、鉄凡

   イデーもない! 単色写真のような秩序

   ここにあるのは独り寝のさびしい寝室だけだ

   夜明け前の街は閑散としている、

   みな、職をやめて故郷へと帰ったみたいだ

   でも、それはほんの束の間のうちに棄却される

   回想話はいつも氷雨に煙る町

   でも大焦熱! 悲劇的な結末のつぎは、氷るだけだ

   誰も生きていないというのは難しすぎる

   ただ、冷たい風の中に人の声が聞こえる

   月の残ったままの夜明けの中を生きる

   「俺」はNOT OR ONE/NOT OR All




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