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灯台

終わりなき日


 歴史 の ある 木造校舎 に は こわい 話 が つたえられるものです。

 秘匿 ひとく ひと喰 ――そぞろに身の毛よだち、

 口承 ウ・ワ・サ 何十年後 

 ふりかえっ た と き わたし達 は すこし でも 

 その全体像に近づい て る ? 



     IT化社会 が ひね りだし た ボーイズ、あるいはガールズ

     とおい山火事のような夕暮れ に ――

   あるかなきかの昔がよぎ る・・・都会 は 言う

   「何でも望んでくれ・・・!」

   睡眠薬を飲んだ り する と 

   裏路地やふくろ小路を想いだ す ・・。



       都会は、たぶん、いつも本気で、すこしふまじめで、

       金銀、絹、ロバ ――

       米、麦、砂糖 なんでも変えてくれる

       鼻紙、ハンカチ、時計、

     で も いちばんわからないの は 

     きっ と 自分。地図や土地のデータ 

       なら びに ふるい文献 をさぐりなが ら 

       テーブルの上に積み重ね て 《こたえ》導き出したと き 

     すこし誇らしい ・・・わたし

     ミステリー作家 。



 いちばんわからないの は きっ と 自分。

 ・・・と いわなくても もくぞうこうしゃ に は 

 雰囲気 ――ギギーッ と 罪人 運ぶ あの舟みたい に

 地位、金、名誉 は いりません

   ・・・二階 の 窓から 約七十メートル 先

   ( 二重 の 過失 を 犯して は いけません)
   ようこう
   陽爻 が くまなく みち ・・・すべり台 ブランコ

   たとえば 《意識》 あの 廃校 へ いく――



     格子 なき 牢獄。ムーンタイム ・・・砂漠から の うめき声

     非常停止ボタンが欲しい
     
     蜘蛛の巣を介したまま ――

       注意事項 が 印刷されて い る ・・・ 白という

       いろのなかにねむる 底 ぶりりあんと・ぶるう

       そこに血が送られる 

   輸送機 かがみのなか は ムンムンあるいは悶々 

   ・・・チクリ として たかだか外部の条件ひとつ で

   欠損する[ でも それから もう いち ど、]

   君に会いたいなあ

   あの 無人の駅でも 祠でも よいから ・・。



       ナンセンス な ABC ・・

       《問う》エネルギー が 過去 を 呼び戻す ――

       職員室へと つづく かいだん の みどり に 黴びた絵

       たいいくかん の 幽霊

     かかってくる はず の ない 電話――

     まだ わからない ウサギのように、臆病な わたし

       なの に、 キツネ のよう に ずる賢い わたし
                  ひるさ
       でも ありふれた 午下がり

     トロイメライのように ・・・わたし

     メランコリックする ――。



 あおい 空の 《青》をさがして 

 ・・きみ の しろい ボタンが ゆれて い た 

 ちり芥 ――静寂 が にじみ出る 膀胱 のいたみ で

 「死にます。」――あればよかった の に、

   ・・・事故 謎をふきあげていく 

   ( ぎぁを! ぎぁを! ぎぁを!)
   
   同窓会 で 残念そう に 振り返る 君の名

   クラスメイトたちの 呼ぶ声 ――



     近隣 で 教師 をしている クラスメエ ト が

     「いまでも・・・」と 言う ――
     
     あんな に 可愛かった 子が ホラア の 主人公

       自転車 が いかめしいプレート を した トンネル 

       で プツッ と 通話は き れ て。

       寿命 だって きれ て 学校の電力 だっ て

       すでに供給 は 断たれている の に 

   かのじょ は 電話 を かける 

   カタツムリ や 青大将や かえる 

   ・・・チクリ ひさしく 呼吸 が 絶えた こともしら ず 

   くちびる が あお紫のいろ に なった こと もしら ず

   眼 が うつろ な ビー玉 になっ たこと しらず 

     温かいほほえみ を やにわに くりだした

     あの はかい力 は いずこ ――

     むひょうじょう で いまだ つめたい 声 で



       ペシャンコにひしゃげた 影 ・・

       え? ・・そうすると――? かつて わたし の かわいい人

       ちぎれちぎれ に 髪/ 風に吹か れ

       花になった[くりかえす昔からの音の感覚・・。]

     遠い国で 誰 か が 名づけた 女の子 。
                                 シーン
     記憶 が よみがえる と いっそう謎めい た 場面 

     父親 と 一緒に 歩いてた 少女/母親 と 買い物

     を していた よくできた 同級生 ・・

       《恋》むていこうで 事件を 凝視 する

       きょうしつ の 黒板 に にっちょく の 名前 が かかれたまま

       蜂の翅音 の リズム で ・・・酔っ た

       不安 は 猫 のよう に 襲いかか る

     ほうち さ れ 花壇 や 樹木 に  

     ネーム・プレート が ぶすり と 地面 に 

     つきささった ま ま ――。



 そして その 門 は あかく 錆びて。くさび 打ち込まれた ように。

 秘匿 ひとく ひと喰 ――フフフ アハハ フフ

 さびしいよ! それ にしたっ て あんまりだよ

 おさない声 は 欄干 の ぎぼし のよう に つきでて
                         へや
 でも 事務室 の かび臭い つうンとする室 で ・・・ 

   わたし に は いえない。だから  山の中まで 来た

   わたし に は いえない。だから  草を掻き分けて 来た



     長 - い 廊下 の 突き当たりの 事務室 で

     バイパス手術で も する よう に ――

   なにか 車酔いに 似た・・・めまい を 覚えながら

   「何でも望んでくれ・・・!」―― 望んだ の は

   かのじょ と の 対話  

   電話 を ひたすら待ちつづけ た ! りりりりりン と 

   電話 が なった の は 夜 も 

   更けた ころ ではなかった ろうか。



       とどめようもな い 饒舌 の 胸 の いま。

       モルヒネがまわる ――

       受話器 に ふれる と 腕 に かみの毛 が

       ああ ワカメ や コンブ のよう だった きみ

     ち っとも 衰え て いな い

     でも からまっ た! 身の毛がよだつよ う な 

       濡れ た感触[わすれな い。まっていた のよ]

       とり澄ましてい う。

       ふン とぼくは わら う。淋しがり屋 め。

     まぶしがり屋 め。 ・・・待たせ屋め

     泣きそうな ぼく が 変 さ ――

 

 いちばんわからないの は きっ と 自分。

 ・・・後悔がうす い 夜 の紗を剥ぎ取 る。
 えな
 胞衣 ――かろうじてある 生の かたち

 でもだから見なかったことにして通り過ぎ る。

   ――だか ら 記憶は途切れ る。

   男の子 は 男になってい た。女の子 は まだ 男の子 

   だった! ・・・恋人がキーホルダーみたいに 欲しくて

   鍵をじゃらじゃら つ け る ことも知らない で

   やさしさは 光 のよう に たわむれる 月の光 ・・。
                     マン
   はや 十数年 ――男の子は 男

   元気 か ? はりさけ る 心 イライラ



     隙間を埋める よう に わがまま 。/男の子 に

     なってやっ た
     
     蜘蛛の巣を介したまま ――

       それ は 蔦/思念 の 取り巻き・・見解の相違、

       こぼされた、こぼれたという言い間違い、
       
       あなた は やさしく不器用 に 

       「髪のなかでただよっている・・」と言った

   ながい くろい かみの毛 は 鍵 だ。

   水中の手のよう に うねうね と し て

   ――空間 は もっ と 超越したいとねがっている、

   湾曲したい、できうるなら異次元にまで、

   だか ら 見えざる者を望 む。底知れない敵を望 む

     ・・・心の奥底 に 刻まれた印象を探る よう に

     覗きこまれ た い くちびるは

     ひとりでにしゃべりだす、総体をしらせる断片――
           かみ
   メドゥーサの頭髪 ――まる で ジュジュツ

   ・・・シュジュツ 麻痺・痛覚遮断 を ひっそり と

   みつめている虫 のよう に。

   欠損する[ ふしぎ と こわ く なかっ た、]

   体液 に あてなくうろたえている の はニンゲン

   酒をの む/煙草をの む/ のも ニンゲン ・・。



       ふしぎ と こわく なかっ た !  ・・

       伝達は いつだっ てこんな風に ゆらゆ ら もんしろちょう 

       が 飛んで 太陽/切り絵 のように おおいかぶさ っ て――

       まる で 電信柱に は 鴉 が とまっ て る

       逢魔が時。ぶちゅっ と いやな感覚 で 

       バッタ の足が だらんとし て

     かかってくる はず の ない 電話――

     まだ わからない[心臓の 鼓動、]

       そのぶんだけ軽くなって、もっと、はや くかわ っ て

       黄緑いろの草 が あたり にひろがっ て。

     笹のうえを蜘蛛があるい て

     きみ、なにかに希薄でつれなく て ――。

 
 
 いま 願う もの 祈る もの ひび くも の ・・・

 流れ星 が 一刻の猶予もまたず に 感情をけば立た せ

 あ れ から ぼく等 は 何処へ向かったんだろう。 

 「降りしきって。」――空に張りつめて い る いま!

   ・・・ただ優しくなんていうことは な い。

   ( ぎぁを! ぎぁを! ぎぁを!)
   
   光景をたわませ た のは ま だ 

   出逢ったことのない あなた が  ――

   懐かしい気持ちを思い出させてくれたか ら



     大気圏を突入するコックピット で

     「いまでも・・・」と 言う ――
     
     ふとしも空を見上げれば、爆発した 星の 破片

       君は浮き足だつ。ぼんやり公園のベンチで待っている間。

       きみ を 待っているあいだ

       すうっと 蛍 が ―― 迷い込んだ 夜 に

   音のない夜 を 色あざやかに す る 魔法

   充ちて いた! ここ に あ る。

   ・・・チクリ ここに あっ て ここにひろがっ て 

   ここ に しか ない ひときわつめたい唇 に

   あの日の寒さがすりかえられ る。/その間隔こ そ 

     飛躍、連続性 を 保証 す る不幸な停止・・・波

     間に浮かぶ帽子 ――ねえ あれから ぼく等は

     何処 へ 行ったの か なあ

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     行き先 も わから な い夢



       まちがい電話 や 暇つぶし の でんわ! 

       わいせつ な ことば たち ・・

       くぐもった声 で 日々は さみし い

       空き缶のようにひしゃげて く

       ちぎれちぎれ に 髪/ 風に吹か れ

       種子になった[くりかえす昔からの音の感覚・・。]

     あなたが欲しかったのは甲冑・・・それとも伽藍堂の部屋?
     
     記憶 が よみがえれ ば 聳え立つ塔のプライドもない さ

     けむりの唄もないさ!/権威 は 炎上してしま う よ。

     ――無垢なたましいはどこ へ かえ る の ・・・?

       《恋》あの時 と たぶ ん なん に も変わらな い夢

       なだれうっ て くずおれ て ――めまいするゆめ

       漂流をくりかえ す。まる で ロビンソンみたい に。

     問うことを 忘れ て―――

     すぐ近くに感じる体温 へ と ぼく等 を

     運んだ/波の飛沫ひと つ 星に も 帆に も

     かえられないような、あなたの手が ――。


 
 濃厚なまでに不純な生命を貯めこむ温室のように、

 その髪 を ぎこちな く 撫で た。――そぞろに身の毛よだち、

 いまや木靴 に 泥をつけることもなく、時間の帯 も なく、

 絶えず流れてゆく均質な光と闇を――プレート や 札、

 たとえそこ に 真珠 や 青玉 や 縞瑪瑙 や ダイヤモンドが

 あるひとつの鉱山を未来永劫、合理的な形で展開せしめるとしても、

   ひと滴。こぼ れ おちた涙 は うつくし い
 
   うつくしすぎ る よ/瞼を閉じ る 透明 な 信頼が

   音もなく崩 れ 青ざめた夜に凍えて もかまわな い。



     墓前 にすわり固唾をのん で見守る時間は 終わった

     そろそ ろ はか石 を あ ばかせてく れ ――

   しんで ゆ く ひと は うつくしい・・・・・・

   「何でも望んでくれ・・・!」――では、鳥 を

   わたしの分身の鳥は、声をうしなうまでに必死に啼いて、

   血を吐き、夜をすべて染めようとした。――それ は 

   せせらぎであり続けたはずなのに、

   いまは悲しみにあふれ、死のように、

   禍いにみちた日蝕のよう に 鳥 ・・・



       そうして ロマンチシズム のおちいりやすい感傷 の 

       地獄のため に ――

       あさまし い 生 を きみ は かたっ た。

       いつか きみ は いったね ・・

     転嫁さ れ 反故 にされ 売買さ れ

     無数の視線 が 交錯 す る せめぎのなか 

       夢 の 記録装置 の スウィッチ 

       精神医学 と 電子テクノロジイ が ゆうごう し て 

     途方もなく 遠い はるか ・・・シルク・スクリーン

     費やされた壮絶な光[音と共に、]曙にきたるべき馬車

     馥りがむくんで景色が霊的に ――抽象化され、昇華され

 

 いちばんわからないの は きっ と 自分。

 ・・・その こ え は おそろしく 震 え て。ちょうど めのまえ が 

 真っ暗 な と き のよう に 涙 ぐんで/

 咀嚼し て/嗚咽がきこえ て。

 ――立って い る。かなし く ひたむき  な 恋

 “ストッ プ・モーショ ン”

   ・・・さまざま な 舞台装置 や 道具 のひとつひと つ が 

   背景 が ドラマ をつとめ

   ( 光にいざなわ れ どろっと歪む 洞穴 の 視座)
   
   井戸の中 の 理解 は ひんやりと濡れ て

   たとえば 《意識》 しん で ゆ く――



     しんで ゆ くの は つくしく ない。

     うつくしい の は ――いつも 思い出 

     「あれほど、・・・花や葉や茎を見知っていたはずなのに、

     枯れている、・・・」 ――

       はがゆいけ れ ど こうふく な みずいろ の 

       あの 朝 は いつまでも 砂金 として のこ る。

       たと え 窒息して も。たとえ そこ が 無重力 で も。

       貝という肉が抽き出られてしまったように

   だれ も 完璧なん て 求めていな い 

   循環を つづけるしかな い思考だとして も

   ・・・チクリ と 嘘しながら ぼく等 は しずか に

   佇む [木枯らし の 呻き 鳴 き狂っ てた 屋上 で、]

   知りたかった よ 視ている世界 の空白 ・・。



       現実と架空の中程 に ・・

       こびりついていた ぼく等 の 血を洗お う ――

       疾走感 を。/朝露のしずくは振るい落とさ れ、

       神秘的に、・・・鈴のように鳴った。

       あの、壮麗な影――!

     緊張した運動の中でたえず忘れられていくもの は

     まだ わからない まだ、ひびきをためらうよう に・・。

       感じている もの が 破れて いっ て 

       音もな くいつもすりかえられ た。
                  ひるさ
       でも ありふれた 午下がり

     屋上 で/感情 の 波間。光速 の 伝達。

     きみ は おどけた ようす で 

     とび降りる よう な 真似 をして ――。

 

 絡まる。残響――「是認」と「否認」
 
 「すうっと ね からだ が すいこまれたの・・・・・・」

 いっしゅん は こわかった けど 鳥 みたい に

 秘匿 ひとく ひと喰 ――フフフ アハハ フフ

 両手 を ひろげたの よ。はばたいた の よ。

 足早に行 き 交 う 時刻 の 逡巡。
 
   よく決心がつきましたね と か もったいないことし た ね

   ――なんてききたくな い。生 の 不安定 な 露出。

     そう。・・ききたくな い 無遠慮に侵入して く る 影など



     長 - い 廊下 の 突き当たりの 事務室 で

     バイパス手術で も する よう に ――

   ぼく も じつ は きみ が そうなった 場面 を 

   おもいえがく た び に―― 見える形 で

   無限の印象 を 残そうとするもの

     ウキウキ した。スキップしたく なっ た。秋 の 黄昏が

     きれい で/君 が ふわっ と うかんだ ように
 
     みえたか ら・・・み え たか ら――



       とどめようもな い 饒舌 の 胸 の いま。

       モルヒネがまわる ――

       で も もう、ピアノの音・・・オルガンの音は聞こえない

       「だってそこは音のない部屋だから・・・!」

     ――うすもも色や、くりいむ色の万年の記憶のなかに

     血がよみがえり/・・・あの あと ぼく は

     逃げ た。下 を 見下ろす と 血が じわじわ ひろがって。

       極彩色の[まる で 表紙 の いろ]

       たまらなかった から。でも あの時 に ぼく はみた よ

       かぎ爪を折り曲げて とぶ鳥のような もの

       おおきなしっこく の 翼をひろげ しもの。

     眼がつぶれ てしまう ような 笑み

     足もと に。足もと に。 ――銀いろの十字架



 on/off 足元にまとわり つ く 冬の朝

 鳩があいらしい眼をつむっ て 孔雀のような株価やニュース

 そしてリュウマチのような人達をあざ笑 う、けたけた笑 う・・

 かがみ込むと/政治家がミニカーに乗って走っている。

   煎餅みたいな日の丸の旗 ――頓馬も河馬も一緒くた 

   嫌味も南も眼やにも一緒くた

   そしてぼくは! ビル の 屋上 に のぼ って 

   

     施錠され た 出入り口[IT化社会 が ひね りだし た ポオズ]

     ポルノグラフィックな音をたてて、墓場の蓋ども に、

   ・・・餌ですよ、 ――酸で抜けた穴のよう に、

   わたしの脳がとろ け る、視界もどろりととける、

   「何でも望んでくれ・・・!」――監視カメラ や 赤外線センサー

   な ん か を 切っ て 飛び降り自殺 を 

   し よ う と した こと が ある。 ・・。



       都会は、たぶん、いつも本気で、すこしふまじめで、
                なやみ
       痛み もな い 苦患(なやみ)ひと つ な いそこ へ

       行きたかっ た。/でも肩透かしを食ら うよ 

       十字架を握りしめなが ら はっと 我にかえって 

     足がすくんだ ときは。

     網膜 にこびりついて い る 残像・・・/

     で も いちばんわからないの は 

     きっ と 自分。ねえ 飛び降り る 高さ が 

       高 いい ほ ど に地面へ の 衝突 する 速度 が 

       高くなるっ て 本当 かな。
 
     ぼく は 白い闇 の中に

     消えるだけじゃないか な 。・・



 いちばんわからないの は きっ と 自分。

 ・・・ ね え 落下中 に バランス を くずし 

 回転 するって本当 か な。/

 それ で 死ぬの か な ――ギギーッ と 斷頭臺

 ぼくの視界 か ら すべての景物がうしなわれ る

   ・・・キー・ロック。ああ たま に 植え込み や

   ( 雪 が つもって いることなんか を 想像す る。・・)

   全身打撲・骨折・内臓破裂 する っ て 本当 か な

   脳挫傷 って どんな風か な。――



     第三者 の 巻き込まれ事故ってどんな風 か な ・・・

     これ は 夜なのか昼なのか、男なのか女なのか、

     どちら で あったらよいのか、どちらでなかった ら 駄目なのか

       ・・えいえんにえんちょうをつづけ る

       瞳孔は極限 にま でひらくのかな

       鼻腔 か ら 鼻汁はでてくるのかな

       ああ 死ぬって なんなんだろ う ――恐怖心 が 

   いま 麻痺してい て/足下 の 手まねきなんて見ない

   献花なん て 見ない 

   ・・・チクリ ただ そうすりゃ楽 に なる !

   欠損する[ きみに あえる って おもったんだ、・・]

   君に会いたかっ た 

   あの クロスワード・パズルにいま も 夢中 ・・。



       ナンセンス な ABC ・・

       ありえ な い 無痛ばか り のぞん で―――

       職員室へと つづく かいだん の みどり に 黴びた絵

       花 を いける 水盤 に くろい 紗 が か か って

     かかってくる はず の ない 電話――

     きみ という やみ の 眼が そこに は あって

       なの に、 琥珀色 で。けれ ど途端 に 

       銀いろの十字架をにぎりしめ て。

     ぼんやり と 直観す る ・・・それ は

     半覚醒 の 夢 の 部屋 ――。



 あおい 空の 《青》をさがして 

 ・・ね え いま謝った ら 許してくれ る?

 ちり芥 ――静寂 が にじみ出る 膀胱 のいたみ で

 「来月に結婚する。」――きみの方 がずっ と可愛い。

   ・・・事故 革命チックにブルドーザーがトマト を 

   つぶしたような顔! 二目 とみれな いブス 

   ( ぎぁを! ぎぁを! ぎぁを!)
   
   とろーりと寝入るときなん てお岩さん

   眉毛そる し。白菜みたい な髪型だ し ――



     近隣 で 教師 をしている クラスメエ ト 

     で も 気に入った ――
     
     正直 い ま なら きみ に 殺 さ れて も いい

       たぶん うらめしそうなアイツの顔 も 浮かぶけど 

       ・・・それだけ ひどい 仕打ち を き み に し た

       君 には その資格が あ る !

       で も まる で 革命前夜みた い――

   うっすら と 汗だか涙だかわからないものを滲ま せ

   海藻になった り、藻屑になった り 喪 ちがう 藻

   ・・・チクリ ああ! ――これ以上なく愚かでごザル

   ごめん よ もっ と前 に 伝えたかった

   そして きみに ! もっ と 前 に 伝えたかったことが あ る

     ああ 風 は まだ いっこう に お さ ま ら ない

     ひゅるひゅる と 電線 が ゆ れ て ――



       そのと き おそろしい ほど の 月あかり が 

       豁然 ・・あの男 よ と 

       きみ は電光に打たれたような衝撃――

       粉になった[くりかえす昔からの音の感覚・・。]

     かげってゆ く、うつろってゆ く もの――懈怠、
     
     記憶 が よみがえる 「今度は あなた を 殺 すつも り」

     逃げ て/影を切るよう に 空気を払 う かのじょの 涙

     がきン なにかが壊れる音 ・・

       おそろしく重たい鉄の扉。――なにも見えない 暗やみ

       のなか に ぼくは い る。だが 目が慣れてくるにしたが 

       っ て 中の様子 がおぼろげながら見え て く る!

     きみ は床に這いつくば っ て/ 片膝 を たて

     なんと か 立ち上がろうとしてい る ! 

     そこに は 男がいる。 ――。

 

 ぼく は その時 頭に直接ひび いて く る声をきい た。

 秘匿 ひとく ひと喰 ――そぞろに身の毛よだち、

 ためらいや憐憫ひとつな い 冷酷 な 声。

 あの時死んでおけ ば よかっ たもの を

 その全体像に近づ く・・・



     蔑むよう な 巨き な 琥珀 いろの眼 が 空中にうかんでい た

     それ は はげ落ちた 漆喰の壁のおくから

   でてきた骨格標本 に つながって い る――

   あるかなきかの昔がよぎ る・・・都会 は 言う

   「何でも望んでくれ・・・!」――悪魔の魂を宿し た 

   不完全な肉体/逃げ て と 彼女 は 言う

   裏路地やふくろ小路を想いだ す ・・。



       だが その時 あの 銀いろの十字架 を 手に握っ てい た !
           チェーン
       十字架に鎖をがむしゃらに巻き付 け ――とま れ

       ちからまかせ に 骨格標本へ と投げつけ た !

       その瞬間 あらゆる音が止まった[崩壊の前触れ、]

     木造校舎か ら すさまじい光があふれ た!

     死者たちのたましいが舞っているよう な 雪 

       天をも焦がす巨大 な 火柱/断末魔の悲鳴

       地獄の蓋 が ひらい た ような 《こたえ》導き出したと き 

     耳を覆って突っ伏し 眼を堅くつむ り

     身体をちぢめ なが ら 全身をがくがく震わせ。あの時の僕
 


 いちばんわからないの は きっ と 自分。

 ・・・ 眼をあける と 涙がとめどもな く溢れてい る

 ぱらぱら ――がらがら と いう音を契機 に 

 ぼく は天井を見上げ る「崩れる――!」

 かすか な きしみ音 を たて て 旧校舎 は

   ・・・こっち よ はやく さあ き て という 声

   ( 二重 の 過失 を 犯して は いけません)
   
   くずれ る。 がきこえ る。その声 を たより に

   たとえば 《意識》 の 闇を 抜け る。――

  なおも歩いた。なまあたたかい風をあび、雪のない道を



     格子 なき 牢獄。グラウンド ・・・二宮金次郎の像

     きみが 大嫌いだっ た朝礼台。・・
     
     蜘蛛の巣を介したまま ――

       背中 の あたり が むン と しめって く る

       そこ に きみ の 手 が あたって る。
 
       そこに血が送られ る 

   なにもか も がすでにおわって い て。

   それでも きみ は ぼくを連れて行こう とはしなく て。

   ・・・チクリ ぶどうの房だ。そしてそれは、・・いつも、

   暗い想念をまとい、――ただ同時に、それが飛び去るのに似 て

   じじつ、見られまいとする意味で明るい生の望み

   欠損する[ ちゃんと はな し た かった の]

   ほくそえんで い る 君をみた時 に

   ながい呪縛 か ら とけ る ・・。



       ナンセンス な ABC ・・

       《問う》エネルギー が 過去 を 呼び戻す ――

       愛らしい ほ ど の かんだか い 声。未成熟なから だ。

       記憶の淵 に 葬り去ろうとし て い た 制服。

     かかってくる はず の ない 電話――

     そ う/はちみつ色のからだ はどんどん 透けて

       心電図・心拍数の低下。やが てすべて が零にな るから だ。

       死という もの の 訪ひ。空 には うつくしい満月

     畏敬 の 念 ・・・

     結婚おめでと う ――。



 歴史 の ある 木造校舎 をふりかえ り 眉間 に 皺 を よせて

 秘匿 ひとく ひと喰 ――きえて し ま っ た ゆうれい
                   
 月の はな ・・・ぼく は あの娘 をさがし た !

 花/やが て朝焼け が フロント・ウィンドウいっぱ いに ひろがる

 その全体像に近づい て る ? 



     IT化社会 が ひね りだし た ボーイズ、あるいはガールズ

     きいろい花 だ ――

   やが て のこされた わたし は しずか につぶやく。

   それ は 少年期 を 生きた 者にしか きこえ な い

   甘酸っぱ いメロディー/教科書の隅 の 殴り書き

   黒板にかかれた相合傘 ・・・ハートマーク

   両手 をハンドルに かけたまま うごけ ない 車

   願いごとが叶ったよう な その表情 の 意味。・・・

    で も 彼はこれから探 す フロント・ウィンドウ

    身動きでき ず にい る 理由――

    きいろ い花 を。・・



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