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灯台

灯台

ひろやすさん写真+詩

【蛇と花】






夜は花に似て
・・・くゆらす煙草のけむりが眼に沁み、
あいまいな夜明けー。・・巻き貝のなかを、
うろうろさまよっていた風が
瘤の丘をつくり

  綺麗なソプラノ、-憂鬱が
 眼から脳へ・・・、版画

こそばゆくあなたの頬の先で揺れるー。
舌なめずりして、血を葡萄酒ようにまき散らして、
ほそい肩を掩う・・・、埋めるー。
群青は鮮やかに黒土をうつして
しろい絵のごとき膚え、・・・よく澄んだみなづこに
光明をおそれている

 わたしは、震えている・・、

  ( なんとも性急しい鳥のはばたき

 あなたは蛇/わたしは鳥

情熱はうすれてゆくだろう
小さな声でいること、手をつないで離した瞬間から

  たぷたぷと思い思いの波をかき分けて
 かきわけて、ちらつく燐光に

  ( 屋根の上までとどく水、雲の上まで届く水

うねうねとつづく屋根、屋根、屋根
星も魚/わざと苦しげな水の牢獄

  ・・・く ろずんで行く影 蹌踉めく
 あせりあせる心ー。

―――沈思のはてに見る
複眼を構成する女よ、

  ーふるえて、ふるえて、ふるえ て、
 言葉をなくし て、

  い つか眼をなくして・・、

その毒に溺れ て、
たとえあなたが冷たく・・、またどこか違う
穴のなかへ潜っていっ て も、

  わたしはボタンをはずしていく、空であったころ、
 まだ、“かがやき”であったころ

   ふたりは一枚の絵・・、たとえそれが
    不在の底の底まで、濡れ て いたとしても、

女は暖かみを帯び
けれど、棺桶をおろしていく穴をうがった
その眸に・・、わたしの顔はうつらなく て
 暮れてゆくのを惜しむ花ばかりが、身の奥底まで

  掘り崩してゆく、-掘り進めてゆく、
 井戸をつくるため、埋めるため・・、

   その軋み・・・、軋み・・、むごい重荷

 ―――に、時だけが過ぎてゆく

こ の終わりがない、肉体に蔓が這いまわり
蔑むべき夫の代わり、どうかしっかり抱いておくれ
、暫しの間、冠の女王よ
ぼんやりとあらわれては消えてゆく
眼が退化したメドゥサよ・・、

  身をうねらせながら
 それ自身で狂想の楽をかなで

消えていく
痛みをなぞりながら、破滅の予感に、
あなたの唇を吸う。・・

  夜は花に似て、・・・透明なひかりが
 、めざめ息づきそめる万物 に

   あべまりあ・・・、あべまりあ・・、

それでも朝がくるので、・・・まだ
、雨が降るので、
色とりどりの小石みたいに、波みたいに
打ち寄せてゆく、・・打ち上げられてゆく

  躍動感、重量・・・、ふかい層の貌 に
 触れたときの感触が

・・・・・・たえまなくしたたる
、散り行く花の、

  香の強い誘惑・・・。






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