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灯台

ライン川



 川には、朝

   山から吹いてくる風がある――

   (耳に・・季節の風・・
 
     (さあ――春の産卵・・

 ふかい翳りのなかに、膨大な湿り髪・・

   水の渦が幾度となくうまれ――

   (夥しく・・金色に光る言の葉・・・

     (ふさふさと、蓬のように――


    ドイツ人は・・この川を「父なる川」と呼んでいる。・・
    ひとり行き、またひとり過去のように去ってゆく――
    すれ違いざま、淋しくて行く当てのない声が聞こ――える・・



  虚ろにはてしなく木魂した

  ヴァイオリンに

  身もとろけ

  
   ――川面に不安な影が投影り・・便りのなかった雪の手紙・・
   
   ・・・いよいよ僕を嫌うかのように、ああそしてまた――表情を隠すように・・



 それは見えざる手

    《ハイネの?・・》それとも――名も知らぬ詩人の?・・

    まだ鍬を振るいそし・・み――勤しみ・・


     「ロマンティック・ライン」と呼ばれる、
    川辺。丘陵に渓谷。ぶどう畑。ネコ城、
    ネズミ城。――中世の香り・・ローレライ。


 、、、、
 鉄と石に

    煙って くる

       煙って 来る・・


   (( 汗にまみれた苦しい姿 ))


  生のまだ覚めやらぬ・・あおい朧ろ気な・・

  燃焼の反転・・咽喉にぶつかる剃刀・・・

  膚に燃える槌、

   ――「誰かが息を切らして駆けつける・・」
 
      ・・・・口付けそれ自体が、絵のように・・

      土の色――。

           ライノタイプ
   ――冷酷な鋳込植字機・・通風孔・・
   
   ・・・呼び鈴、あるいは瓶詰の苺――あるいはシャンパン色の優雅な会話・・



 黙せよ――

    あらゆる大気をうけて・・

    (我々は、乾葡萄のようなもの・・

      (率直に、青空の朽ちたようなもの――

 肉瘤ある・・

    脈々とした山から――
     たくみ
   (名匠の小声が・・臆面もなく常套手段を・・・

     (あるいは、内側の空洞を――


    川下りの遊覧船では、
    ワインの試飲会がおこなわれ、――ローレライは一瞬で過ぎる。
    そして玩具のように水は、声の美し――い・・白鳥・・・


  
  丸太が積まれている

  背後の記憶の

  杭に


    (( フクロウの鳴き声 ))

                            ふかで 
   ――これら数々の傷痕・・うつくしい毛並みの下の深傷・・
   
   ・・・中州には木々が生え、心労を忘れたよう・・な――涼しさ・・



   「でも僕が気になるのは・・どうして案内人は――

   あんなに町並みを・・可愛らしいと言いたがるのだろう・・」


 グレーの楽器がささやく、・・日ごとに形を崩しながら――

    トランペット・・風が弱まる[広範な喚起力によって・・

 低い灰色の群れに――チャコールの腕・・グリーンの顔・・

    オレンジがかぶさってゆく――(不透明水彩絵具・・)

 この一人の哀愁・・内側に帆を張ろうとする、中指・・

    人びとよ、この一人の石段を知っているか・・

 郷愁に染まった、顔・・魚の眼と、ひきずるような足――

    ――流れてゆく・・得体の知れない感情・・


  偉大なラインの

  ドラムスは

  人を遠ざけて

  剃刀


    ――海の不安のために彼らが呼ぶ、忘却の胎児・・
    ・・揺れる質量は紙くずや枯れ葉となる・・
    彼らの熱心な顔――いかんともしがたい、暗喩



        うつむき、つぶやいた、

        [それぞれが・・茹でている・・]

        目覚まし時計

        (時間・・・・・・)

        (時間ニツイテ考エテイルト・・)

        朝の行き来が 係留され



    ――皮膚は優しい・・


      流れている

      流れ――て・・いる・・・

      (リレー競走のバトン・・)

      (溌剌とした、魔術・・)

      橋をわたる 僕を跨ぎ



        ――顕れる・・


    ただよう 水鳥

    [凍る・・心象の病・・・]

    結び目は門のように

    季節がうつりかわり

    赤く錆び



       一つのなつかしい言葉をきく――・・
       のっぴきならぬ退屈さを感じながら、身も心も投げ出したい落胆・・
       軟体動物のような古代歴史と免疫性の建築家の良心・・


     「ボート、ボートだ」

     バイオリンをケースから取り出して

     ほろびは美しい――

     と青いインクは


        地獄の騒音に焼け尽きる快感と、
        古沼のやうな沈澱の底を探りたい霊力を持つ・・



      ラムネのビンのように

      とりいなしたるビー玉・・
      トルコ  ルビイ エメラルド
      土耳古石、紅玉、緑柱石・・

      (やがてそれらは、脱殻となった――

    舟で日照りを運び出し・・
             つぶつぶ
    樹を伐採し――気泡が出てくる・・
 
    夜に降った雨で・・指先はいやに冷たく・・

    生育する――弦楽の色は・・

  
          ――酸っぱい匂いを振りまきながら・・


        チャコール色の積み荷を運んで行った

        電柱の鴉の数を

        薄明かりからこぼれてくる火の手を・・


  
          それでも魂は月の方へ・・・

      、、、、、、
      かぞえていた――真中が凹んだ

      床板を映している・・菓子の匂いをさせている――

      そこに古いバス停の古釘が見え



        驕慢なる絶対性への矛盾を明かす記憶作用――


    自転車が走る

    自、転車が走る・・ペダルが

    重くなっていた――

    軽くなっていた・・上着――



     (( でも栗鼠の縞が濃くなる ))
 

   拡がつているTime・・・遮へぎるものもない・・
   永遠の昆虫感覚――モニタースピーカー・・
   倚りかかって眼を閉じれば――幼いころ・・
   二つの目をキラキラと光らせながら、カオティックに、
   見た月――僕はこころをあきらめて・・
   帰ろうとする右にゆれては左にもどされ・・
   あらゆる世代のただならぬ哀愁とやりきれなさと切なさ――
   でも後をついてくるしわくちゃの泣きがお・・メロウに・・
   月の破片、まつくらな四生を能化する――
   プラスティック・・ソウル――

   
 
 冬が来ていた――寒い――ズボンのポケットにあった――

    音がない」つぶし合う」吸い合う」

    心臓!心臓!心臓!」

 まわりの空気という模様・・全身のエネルギーを使いきった・・
 ツエーテケークスドーツエケ
 可愛い蜂蜜菓子罐――飛んで行った――

        出血は赤、の滴・・印象派の描く風景画・・・
        この花束とリボン、・・スパッと切り取られるメランコリック・・
        悪魔を憐れむ鐘の音――ウォーターフロント・・


 あわてて――自分勝手でワガママなくせに・・

 皺をのばす・・残響・・夜の迎撃――

 通りかかる人は重厚な枠縁に・・腐る、波・・

 もぎ取られる羽根――君は風をもてあそぶ・・

 気がかりなメトォノオム・・ドア・クロオォズ――

     何日もかけて道は――岩の固さに逆らって・・いた・・

     何もかもが静まり返って・・ときどき崩れ落ちた――

   人の声や車の音は――遠のいていった――暗闇に――
   少しずつ・・模型セットにとどまる・・恋や妄想に演奏されながら・・
   ゆっくりと――裸電球の太陽――安易なバイオレンスカーヴ・・

     
 鶯が鳴いていた・・山々が裸に削られ――

 谷川の水は――排水溝の暗闇にしずんだ


    (( 狭い畑で 独楽のように回る 僕のフォト ))


 工事が続いている――砂嚢を積み――

 公園・・[ロングから、クローズアップへ。]

 そしてもう一本――突如いれかわる 蝋燭へ・・

 やわらかに増している――古い便所が匂う――釘を刺す――

 鮎・・暴風雨・・排水管が漏る・・だいぶ昔のトンネルのように・・

 
       薄暗い、」暗い、、」それは、黒い」

       喰らい」昏い」冥い」


 、、、、
 鉄と石に

    煙って くる

       煙って 来る・・


   (( 汗にまみれた苦しい姿 ))


 壁に書かれた! 《奴隷》という文字――

 画用紙の上に・・波紋する・・絵筆落としてしまった・・

 夏の視界――誰か死んだのかい?・・焦げた 草の匂い・・

    が、いまも、するぜ――。

        が、いまも、するぜ――。
 

    (( 暗闇よりももっと深い闇が映っている 記憶 ))


 蛍は――堰きとめられ――速度をおとし――

 押し寄せていたのはひまわり・・鶺鴒のいる場所(に、)・・

 鮎は――もう誰にも――悟られないまま――

    時間の継ぎ目から・・花片が散った――

    秋が来た――あたらしい花が・・


      さざ波の立っている川の中、
     
      自分自身をさわがしく言い募りながら――


 咲いていた――蝶のとおっている――見えない毛細血管の

 秋の空気を吸いながら・・あぜ道・・電柱・・鉄塔・・

      を透かして――

        を透かして――



    泡がうまれ空気が砂底にうつり――

    自分がいる淵は背びれのように乾いていく・・



       ...汚泥の中に食い、飲み、又溺れる...

       ...オボレル...

       ...オボレ...


 近寄った薄、狐のように――夏の影が山の向うにかくれる――

 紅葉、季節はずれの花火のにおい・・ドラム缶の、焚火・・


    (( 墓地の、壁の、蕭然たるからっぽ、心性の聖衣 ))


 どこまでも――濁ったような――影が続いている――

 野生は・・飼われている・・それでも・・目を凝らしている・・

 ふたつの景色の間に――そこから抜け出すように――

 沈みかけた・・蟻地獄・・覆水盆・・睫毛の影・・


   赤い肌が、いまはもう「嘘」の――脱皮・・
   全身を――藍色に染める・・芸術・・・
   消えた光を探して――ふたたび、冬・・



      飛行機は雲間に――雲は、霊・・この凍て付き・・

    この凍てつく声のなかで幾何学は・・いま残らず切り刻まれ・・

    星へと散らした――抒情詩・・


    (( 暗く力づける悩みよ! ))


 星は小さな窓・・むろん、ずっと後のことだが

 小さな窓をいくつも開けて――多くの影がくらい炎のうちに

 影から暖炉・・砂をすくいとれないまま放り出され ・・・


    グラフィックするヴェランダ――ノスタルジィのフレイィバアァ・・
    風にからまるように毛糸の玉と猫・・アンビヴァレントなエンディンン――



    「色」がある。独特の「匂い」がある。

    「色」がある。独特の「匂い」がある。


    ・・・・・・はずである

      ・・・・・・はずである



 大人は――その鳴き声の――鋭角の中に――

 扉をあけている・・こわれやすい時間に・・旅人が冬から春を・・

 歩いてる――足取りを重くして――苗を植える――

       踏みこむ服を脱ぐ額の汗をぬぐう

       応答しない・・応答セヨ、応答セヨ・・

   彼の唇が薄い・・むらさきの――夜明けへと・・

   風が水面を揺するとき・・世界は深い奥底で――
     
   あたらしい・・真綿の悲しみをくれる――


     ライン川は流れる――フランツ・・リスト・・・

     クララ・・・・・・シューマン・・

     流れる――甘やかな愁いを含みながら――



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