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灯台

初期作品 2

  8 タイヤパンク事件






  1 廊下



 ピーンポーン、というインタフォーンの音が聞

こえる。やけに間延びしてきこえた。



  2 テレビ付インターフォン



 ヒロインは犬を撫でるのをやめて、画面の方を

見るようにして、そろりそろりと立ち上がる。



  3 画面には警察官



 こんにちは、という挨拶もそこそこに本題には

いる。警察官は帽子のひさしに手をあてている。

 「ここら一帯の、車がパンクさせられてまして」

 事務的な口調でつづける。

 まるで回覧板のような台詞だ。

 「おたくの車も、やっぱりやられているようで

すが。どうぞ、ご確認を」



  4 住宅街の騒乱



 「ほんとに、誰がやりやがったんだ」

 ガヤガヤとしていて、いつもの住宅街の顔とは

違う奇異な印象をうけ、なにか、殺伐としたニュ

ースそのままの世界に入り込んだ気がする。タイ

ヤをさわったりしている人は、今日、明日、運転

する予定でもあったのかも知れない。物見遊山の

ような格好の噂好きのオバさん達もいる。てめえ

の息子や娘も犯罪をおかして同じ目に遭え、とい

う気分になる。他人の不幸のどこが面白い。

 ・・・タイヤ・ショップに行くのだろうか。それ

とも、ガソリン・スタンドで交換するのだろうか?



 外はすでに

 大騒ぎになっていた

 祭りの日のように



 近所中の車が

 パンクさせられた
 
 ということで・・・・・・



  5 自家用車



 車の後輪がぶすっ、と見事に空気がぬけてゴム風船

の売り物みたいに見える。ビニールの浮き輪みたいだ

った。わざわざ確認するまでもなく、警察官がいうよ

うに何者かにやられたあとである。愉快犯なのだろうか?

 両手を窓にあてる。ぷくうっ、と手の甲がおしあてら

れて、肉がせり出してくるように見える。

 顎に手をあてながらヒロインは思う。置引からすれば

子供っぽい悪戯だが、しかし子供とは思えない姑のよう
 いんしつ
な陰濕な犯行である。



 6 警察官とのやりとり



 「どうも、やり口が怨恨のようなのですが、誰

かに怨まれたりする覚えはありませんか?」
        まわり
 と警察官は周囲に気を配りながら、

毅然とした態度でわたしに質問する。

 「疑ってるんですか?」

 「いいえ、どうか、過剰反応しないで下さい。

被害者の気持ちはわかりますが、これは皆さん

に質問していることです。で、近頃、気付いた

ことなどありませんか?」



  間(ひと呼吸おくの意)



 実は、と喉元から出そうになる。ここ最近、無

言電話や、うしろをだれかにつけられたり、つづ

けてタイヤをパンクさせられたりしていた。



  7 ガソリン・スタンド



 一度目の時

 すぐ近くの

 スタンドに行った



 おかしな事が

 起き始めたのは

 その頃から・・・・・・




 「はい、これで交換オッケー」

 「ありがとうございます」

 親切そうなオジさんだった。GSの帽子。系列

の作業服。給油、洗車、オイル交換、車の窓やミ

ラーを拭く、灰皿を捨てるといったサービスもす

る。笑顔と大きな声とテキパキ作業する姿が印象

的な職業だが、眼鏡をかけ、帽子をうしろにし、

どことなく玄人っぽいオジさんだった。危険物取

扱の資格や、整備士の免許を持っているのかもし

れない。昔、自転車がパンクした時に自転車ショ

ップへ持っていくと、五分たらずで、あっという

間に直してしまった。技術というのはすごい。実

はさっきまで数時間がんばってパンクを直してた

んですよ、あはは、とは言えないような素早さだ。

その数時間があればデパートへ行って、ファッシ

ョン雑誌を立ち読みして、友達に電話をかけても

まだ余るくらいの時間の消費。専門的なことはプ

ロ、という一場面である。あの頃のあたしって若

かったなア、と思う。



  8 ガソリン・スタンド 二



 「・・・・・・でもこりゃあ、警察へ行った方がいい

ですね。こりゃあ、マトモじゃない」

 背中を向けたまま、ぽつりと言う。

 「えっ?」

 わたしはこの時、まだ釘や、硝子片でも踏みつ

けてパンクしたのかと思っていた。なんでもかん

でも事件性に結び付けるほど、昼ドラマニアでは

ない。火サスのファンでもなかった。



  間(ふた呼吸おくの意)



 「ほら、このタイヤ・・・・・・」

 交換したタイヤを親指で差しながら言う。

 「アイスピックみたいなもので、メッタ刺しに

してあるでしょ。まるで藁人形だ」



  9 警察官とのやりとり 二



 「・・・・・・で」

 と警察官はやはり質問している。背後にはうた

がいの眼差しをおくっている近所の人達。

 ―――どうも、やり口が怨恨のようなのですが、

誰かに怨まれたりする覚えはありませんか?

 と警察官は周囲に気を配りながら、毅然とした

態度でわたしに質問する。

 ―――疑ってるんですか?

 ―――いいえ、どうか、過剰反応しないで下さ

い。被害者の気持ちはわかりますが、これは皆さ

んに質問していることです。で、近頃、気付いた

ことなどありませんか?

 「なにか、心あたりでも?」

 「いえ・・・・・・」

 無言電話、尾行、タイヤのパンク、そして今回

ふたたびパンクしたことなどが同一犯であるのな

ら、事件性があり、この被害を警察へと申し出る

べきかも知れない。だが、ストーカーなどで事件

が発生してからしか動かない警察組織、また近所

の人達がいる手前、こんな実態の掴みようがない

話をして、どうなるというのだろう?

 「別に、なにも」

 自宅に戻ると、ルルル、と電子音がきこえる。

電話だ。その受話器をとると、ぷつり、と電話が

切れる。ぶちぶち、と電話のコード力をこめて引

き抜いていく。電話機を床に叩き落す。ビクッ、

と犬が物音に敏感に反応する。埃が舞い上がる。

この頃、部屋の掃除もしていない。前はあんなに

きれい好きだったはずなのに。

 「・・・・・・イヒ

 ビクッとする。

 「フヒヒヒヒ

 受話器のシーンのアップ。

 「フヒヒヒヒヒ



 所かまわず

 かかってくる

 無言電話



 これから

 どうなるのかと
 
 不安でした



 と、わたしは、なにか嫌な予感がして冷や汗を

かいてしまう。全身の毛穴がひらくような、足元

から影がすうっとのぼってくるような不安に襲わ

れる。全身から血の気が引いた一瞬、気付いた。



 そういえば車に

 だれかが

 乗っていた







  9 雨上がり






あやしくていかがわしい

雨上がりの

あとだから



ルービック・

キューブの

道はうつくしい



ぼくは天使のようになりたくて

そっと濡れた

チャイルド・シートにすわる



胎児の臍までたべる

時計は

オペラーをうたいながら



プールにたくさんはいっていた

カラー・ボールのことを

忘れちゃったみたいだ



でも人間の裾を

まくりあげる

ピエローよ?



放埓三昧にぽかーンと

この雨上がりだけ

ぼくとピクニックしようよ



いいだろ? 

どうせ暇は

つくらなきゃないんだから



不思議な

テーブル・

クロスの敷物に



ありったけ

美味そうな

ものをならべて



あの世は相当

つまんない

ピクルスの脳さって・・・・・・



わけのわかんないことを話そうぜ

そうやって 

ぼくが話してやるサ



そう おしえてくれるよ!

雨上がりは

くす玉



ドでかい花火みたいなもんだから

大好きなスパゲッティーの

管をつたってる



おいしい

吸血鬼の

ライフ・パートナー!



それがきみの身体さ

たったひとつしかない人生のこと

わすれちゃ駄目さ



パッチ・ワークが

趣味の

ゴウストになろう



虹がかかるまで 

酒でも酌み交わしながら

教えてやるからさ・・・・・・



でもなぜ 

お前は跳ぶんだろう

標本箱におさめられた



原色の蝶のように

バロック

彫刻のように



なぜおまえに

翼がはえて

いないんだろう



こんじきの稲穂のように

アルプスの

夜明けのように



なぜおまえは廻らない! 

外国の辺鄙な田舎の

パーティーみたいに



田園的

叙情の

音楽と共に・・・・・・



ああ そのミュージック

とともに

不思議な



昂奮にみたされて

いくようにおもうのは

なぜかしら?



てらわらない 

何物にもさからわない

ひとつひとつの動作が



うつくしいからだろうか

うすぎぬのような

風を纏うのはなぜ



ひらめいて 

吹き下ろしてくる

たゆまぬ颪の努力はなぜ



落ち葉が舞って 

それが水の

せせらぎと共に



流動体の飽くなき

開拓の意志が

みられる何故?



無定形のたわむれが 

流動大河のいたずらが

気まぐれなそよ風のテクノロジー



それが

スロー・モーションのように

みえるのはなぜ



でもみえるだろ 

夢や

自由が?



あやしくていかがわしい

雨上がりの

あとだから



それはうつくしいステージで

小川のデザインが

あちこちにみえるガラスで



その水溜まりにはえる

夕焼けは

まちとこころを



つなぐ

ルービック・

キューブ



そう おしえてくれるよ!

臥せりがちだった

子供時代にみた ぼくの胸を



あの片言の日本語を

たぐるようだった

喋り方を



そしてドキドキしながら

虹をみていた 

ぼくの小鳥のような感性を 



その時にだけ

ぬけおちたように

窓にへばりついたことを



だから

セイロン・

ティーでものんで



その終わりに

ひっそりとのもう

正露丸を



くすんでいる

ぼくの肉体を

AHっとね・・・・・・



こまったことに

悪魔の泣きぼくろみたいに

弁慶の泣き所みたいに



突然にもよおしたっていう

尾籠な話みたいに

変なことを考えだした!



そうできないかしら

そんなふうに

なれないかしらって?



だってぼくは夜を知ってる

だからこの雨上がりの

うつくしさも



だから真面目に

なりすぎちゃだめだ

夜明けをみよう・・・・・・



それだけで

いま それだけで

ぼくはみたされてゆける



あやしくていかがわしい

雨上がりの

あとだから



ルービック・

キューブの

道はうつくしい







  10 間奏曲






恋が人を裸にするのだとしたら

すなおな乞食のように

いまは祈らずにはいられぬ心地がする

おお そのこいねがう瞳で・・・・・・



瞳に鋳型があり共感をうながすなら

ふめつの歌はつくれる

それが破滅へとわたしたちを誘うにしても

いまは 君の愛をうたう・・・・・・



  ※



脂肪のあとに恐怖のおおくの匂いが、

もうもくのふしぎな星の家をつくり

ヨーグルトのような夏の香りをさせる。

こはよもすがら心のおくにやどりて



我をいたく苦しましめしもの。

たとえば蜜蜂がこわいようといっています。

面長で、いろ白で、

あの聖なる玻璃の接吻がこわいよう、と。



  ※



それはまだはっきりとしない、息で、

ねむっているのです。それがいちばん大事なこと。

額が発疹し、さけびはくちびるの上。

階段上昇、また下降・・・・・・



走りてやまぬわが魂はいまだ生きて過ぎし
    みち
人なき路をみんと、天使のうしろに、

また馬のせなに、ノイズを閉じ込め、
     ねむり
国境なき睡眠の成層圏をきく。



  ※



おお、にんげんのかなしき智慧よ、

ゆきやなぎよ。おお、こころのひまわりの音楽よ
         なげ
ぽろんぽろろん歎くのだ。
               くらし
むごたらしくも醜い浮世の生活は・・・・・・



曼荼羅のように、鋳型のように、

すべてが手遅れのまま、

いまも神をわすれしことつねけく。
             めぐ
しかしそれでも大気は繞る・・・・・・

・・・・・・おお、坂にさしかかれば!



  ※



恋が人を裸にするのだとしたら

すなおな乞食のように

いまは祈らずにはいられぬ心地がする

おお そのこいねがう瞳で・・・・・・



瞳に鋳型があり共感をうながすなら

ふめつの歌はつくれる

それが破滅へとわたしたちを誘うにしても

いまは 君の愛をうたう・・・・・・






  11 夢






ああ うつくしい人のいた季節よ

芽に根があったことを教えてくれた

あのひととの恋には

しかも泉があったのだ


          わかれ
ああ さようなら別離の曲

洋琴のメロディーが心にしみるよ

すすり歔き うめき

いまもうなだれて・・・・・・



  ※



どのように説得するのかに触れた沿いの

たかくて あたたかな壁にいたみをあたふる

いじの悪い英雄さながら死に劣らじ

ああ、靄たちこむる霧の影よ、


         
さてもかしこに享けし

さいはひをあげつらはんため、ものみな、

すすり歔き うめき

いまもうなだれて・・・・・・



  ※



ああ 僕は知っていました

むじゃきな天使だって 鶯だって あのかよわい
ナイチンゲール
夜啼鶯だって

百合だって 鳩だって 陽のひかりだって



やさしい光をこめた瞳にいっぱいためた
なみだ
涕ほど美しくはないって

提琴だって 舞踊のひびきだって

ああ 遠い国の夜会のようだって・・・・・・



  ※



ああ どれだけ優しく浄らかな花を咲かせて

おまえのために未練の涙をこぼしたろう

それを指でなめとって

そっと口に吸い取ったろう



焔の吐息にはふとした睡りが必要だったのだ

すっぽりとこの僕をおおって ああ!

すすり歔き うめき

いまもうなだれて・・・・・・






  12 Come back to me!






あまい夢に溺れられたら、
     さかずき
この冷たい杯にみちた、

まぶしい朝陽の誘惑は、

黄泉への陶酔は、
オー
OH もう、たたかいはしない、

あらそいも、
        ウー
いさかいもと、WOO

このO字通路へとつづく、



 ふしぎな引力で・・・・・・


   しあわせ
人よ、幸福をもとめて、
   さまよ
君は漂泊ひつづけるのか、

わからない、人間の本性を、
       かお
善人そうな表情を、

ただの化け物だっていうことを。
          パズル
この断ち切れないpuzzle
           ルート
ヴェランダにみえるroute

でらり魚の尾鰭の一小節が、



 ひらりひるがえる・・・・・・



さがしていたあおぞらに、

とおくはばたいていくむね、

もう、まよいもなく、

そしてかなしみもなく、

それは、ぼくをよんでいる、

かぜ! あまれていく、

ぼくのおもい。きみへと、

つづいていく、あいのひびき。



 降り積もる雪のやうに・・・・・・



石炭を、

ダイヤモンドにかえるため、

長い夢をみていた! かたくなに。

そうして僕は気付いたんだよ、

矢が鳴り響いたってことに、

その前にあったろう!
つる
弦の張り詰めたおとがあんなに、
はや
迅く、心臓をうばったってことに。



 ああ、おろかにも・・・・・・



さがしていたのは、

いわくアリストテレスの錯覚、

どこまでも続いていくような、

非日常のずれた世界―――

かぐわしき夕まぐれまで、 
くろ  こけ
黝き蘚苔がはえそむ、

沼のようにみえるまで、

裸になればいいの素肌に!



 日がすべてしずむまで・・・・・・



けどかんじてるよ、

そう、目覚めてるよ、だから、

きこえたでしょう―――
       いかずち
それは神の胃蚊鎚でした。
        いなずま
そう、それは稲吊魔でした。

誰もがほのかなすがたで、

みました雷鳴は・・・・・・

僕の誇りだったのです、



 ふしぎな引力で・・・・・・






  13 雨に打たれて






君はいつも
     とざ
その扉を鎖してしまった

右手をいつも伸ばしながら

しなやかな髪は左にゆれて



愛しさが歩み寄ってきたのに

また 曲がりくねった道が

僕の脳裏にひらめいたのに

どこまで追い掛けても



振り返ろうとしない君が
         てがみ
ただ終わらない尺牘のように

そう巻尺を切断したように

君はさようならを繰り返す



どんな豪雨のなかでも
こゆき
粉雪まじりの雨はなかったよ
     むな
君という空虚しさを知るまで

やさしさに唾を吐くような雨を



もう屋根も廂も

なくしてしまった

段ボールで死んでいた犬も

ねずみがころされていた台所も



ショー・ウィンドーにはいつも

きらきらした希望があったよ

でもこころに鍵をかけわすれてね

こころまでずぶ濡れになっちゃった



いまも豪雨はつづいてるよ
      ダ ム
決壊した大堰堤のような水量で

水洗トイレのようなデリケートさで

こころだけがすさんでいったよ



それは死の清潔な匂いだよ

くさった水でもあるよ なまぬるい

どぶのような水でもあるよ よどんだ 

愛されたいと 張り裂けそうなむねの



さみしいあめにうたれるたびに・・・・・・

このそくどのむなしさをおもう



そこでねつがおちていく・・・・・・

あぶらとりがみも しだいにひえていく



君はいつも
     とざ
その扉を鎖してしまった

右手をいつも伸ばしながら

しなやかな髪は左にゆれて



はいきがすがこうすいにとけていく 

あかや つめとともに



それがこえをからすともしらずに 

たてられた きば くいこむ きば



誰もが幸せを知らないことに

僕は本当に胸を傷めている

ふるえている! おびえている!

このたとえようもない気持ちで!



そうして あめがふりだしたとき・・・・・・

ふみつぶされた すいがらがのこった



そのくろいてん そのくろいしみは 

ちのようにてんてんとつづいていくんだ

ほんとうに どこまでも・・・・・・






  14 動物園






ドラゴンさんがいた
             イン ザ スカイ
西洋らしく ぱたぱた in the sky して 

東洋風に水中で まきまき幽居する

このふしぎ動物園に 天井があるのは 
           わけ
えてしてこのような理由



ユニコーンちゃんがいた
めおと
夫婦のあかしのつつきあいで 

つんつん かたつむり

夫婦喧嘩になると犬も食わないので 

人嫌いの異名つく



孔雀明王さまもいた

うまいぜへび うまいぜへびをして 

かなりあばれてた

なんまんだぶして呪われないよう祈り 

宮沢賢治のふりして ツクツクボオシ



ティラノザウルスもいた
       はや
むちゃくちゃ?い! 
            よだれ
あっと言う間に 頭は涎べとべと!

監視員が来なかったら、

と、思うと、考えたくない・・・・・・



宇宙人さんもピースしていた

我々ヲ観察シテイルトノ事ニテ候。

成程ト立去リテ候。

催眠術師みたいな凄腕で 

あやとりが得意そうだった



幽霊さんまでちゃっかりいた

天国御一行さま 地獄特急便さま 

宇宙形骸星雲さまなど

引張っていかれそう! 

とりたてて興味ないふりして逃げた



吸血鬼さんもコマしていた

大抵が既婚者のありさまで 

旦那の方は吸血女をさがしている

恋人はつれてこない! 

取り込んでいるようなので後にした



そして最後は美空ひばり!

すてきな動物園というより 

コンサート場と化して万歳三唱

みんなみんな この場所が好きです! 

お婆ちゃんも きっと・・・・・・


             ヒ ト
神様あなたはいけない人!

どうしてこんな西瓜あたまの詩人に

ほっぺたおちるほど甘くて 

塩をかけさせて くりぬいていく

すぷうんをお与えになったのです



そしていつか僕は思うのです

どうしてスイカ屋さんはないのだろうと

こんなによく冷えて 熟れて 
はらいた
腹痛をおこすような食べすぎ くうらあ

吾輩は西瓜であると言わせ・・・・・・



それはたちどころに

こんなくるおしい嘘吐きの詩を書かせ

ありもしない そんな動物園では
                 おう
いつのまにか僕はホームラン王になる

なくてはならない西瓜屋のカウンターに
                たずさ
あの殿堂入り選手のバット携えながら






  15 防空壕の夏






整備された道路の曲り角 なだらか山の中腹

U字型上り坂の先には保養地

でもそっちじゃない、こっち! 

砂利を敷き詰めた道

手招きする工事中の文字に 胸をどぎまぎさせ
  また   ひんしゅく
紐を跨げば顰蹙の眉根を寄せる
        とかげ
砲弾跡 蛇や蜥蜴や蟹がうようよする

だれかの胃袋のような印象の森 

・・・進んだ。-足元には一面落葉

そして無防備な僕には 方位磁石も腕時計もない 

静かに歩を進めていると 樹影に人の顔

かさかさ さやさや しゅるる

ひとりで歩いていく 昼でも街燈がほしい道

悪夢のように追いまくられる気配もたえて

自分がさみしいことを知りました



言葉のない空に出てみなよ

僕を待つ空に出てみなよ

いずれ分け合う 人生の停車駅へと向かって

今 言葉のない空に出てみなよ・・・・・・



沢山知ってきたね?

ねぇ解るだろうか?

僕も君も・・・・・・

なのに 何も変わらない毎日

でも普通じゃない毎日が変貌して

異常すぎる毎日のスィッチが入ったら

きっと 悠長なことはいってられないね

その時 僕らはどうするんだろう?

その時がきたら また笑えるのかな

昔にだけ そっと

許されていた魔法みたいに

僕も、君も・・・・・・



気が付けば 僕ら 言葉のない空

彷徨っている

言葉から始まる物語じゃないけど

ストーリーの主人公として生きている

もしかしたら あなたのために

もしかしたら 自分自身のために

やっぱり僕も君も・・・・・・



まだ見ぬ夢 movie

果たせないだろう in the sky

いつかはこの夢も movie

それじゃあ いつから in the sky

今なんだよ、今・・・・・・



委ねられた心音は穏やかではいられない

しめやかな葬式のように移りげで

色の海で落とした麦藁帽子おもいだすように

今取り返す movie

忘れていた 花弁を返して in the sky



記憶にはいつも海がある

回帰地点 たとえば帰納法や消去法から

だから取り返さなきゃ 取り返さなくちゃ

でも僕はそこに留まっているみたい・・・・・・



ズキリと胸を軋ました磯の香りに

漂い続けている僕を想った

踏み板のみちをぬけて 固い砂利の地表

やがて落ち葉でふっさりとするヘアスタイル

スキー板ですべるようにシュプールは

のこってはくれないけど息を呑む景観!

長い海へとつづく階段のまえぶれに

防空壕や砲台跡がある

やがて汽笛を鳴らす白いお船

それを僕はわらった 君も笑うだろう
  いなな              おんれつ
夏が嘶いている いたずらな音列に



やがて時がいくらかすぎて・・・・・・
         やまあい
古色蒼然とした山間がぼやけ

夕凪がおさまる茜色のゆうやけに

釣り人たちは帰り支度をはじめ
    ふぐ  ちょうせき
小さな河豚は潮汐のぐあいで取り残され

すいすいと雲をおよいでいる たわむれに

太鼓みたいに聴こえてしまう潮騒のおとに
                  さじょうのろうかく
水嵩はすこしずつふえていった 砂上楼閣

その拍子に砂の城は消えてしまった
       きびす
僕はくるりと踵をかえす

戻らなければいけない! こころははだけて

ゆっくりと指を濡らした
       
雨を期待せず飴を待たずして



まだ見ぬ夢 movie

果たせないだろう in the sky

いつかはこの夢も movie

それじゃあ いつから in the sky

時を超えて・・・・・・

君を超えて・・・・・・

本当に僕は何処かへいなくなる いつかは

 この身体も崩れ去るんだ

そしていつかは跡形もなく 紙一重の

 愛情の法則でもあるかのように

Shadows and light 僕の夏

Shadows and light 君の夏

まるで秘密基地みたいな僕らの夏

Shadows and light

繰り返し言おうよ 僕らの夏を・・・・・・

Shadows and light  Shadows and light






  16 あやとりあやめ





          と  たけむら
みえますか窓の外に竹群むらがりて

弾くべかりけりムウンチヤイルド



つきのありかは みえながら みえながら

うるしのかぶれか あやとりあやめ



天井裏ごによごによと五目ならべ
    ご はだ
をさな児の膚やくやうな闇



さへづりさけて ひびながら ひびながら

うろくづたべるか あやとりあやめ 


    なづ  きょうざめ え  け
かひな撫れば興鮫を獲も悔はのこりて
かなけ
金気浮くべし八日夜の朝




まつげにやどる うゑならば うゑならば

あるかなきかのみ あやとりあやめ


ほ  ぼ         とこ    ばく
恍け惚けるむねを牀にせし魘は目覚めぬ

逝きどものあきら熟すころに



よむもよまぬも うたならば うたならば

やせてもかれても あやとりあやめ


            か        ことはり
事は針ゆゑあゆみ花の散りぬる理法は
たかひくこひあはひ  ほの
高 低 濃 淡に仄ぬれに 



つきもひもえも こいならば こいならば

そのままころせよ あやとりあやめ


ゆきあし  さかのぼ
雪跫あと 溯つてゐくさるの芝居! 

金魚はあるゐていく道化なり



へちまきゃべつ うなぎかも うなぎかも

ここにもさきます あやとりあやめ



けざやかなチャイナドレスの牡丹見ゆ
             どあ  さ
嗚呼おろかにも古りし扉を閉鎖して



ざくろまるぼり まなこかも まなこかも

こんなむちゃでも あやとりあやめ



夕焼けるポテトチップス牛の乳むかひて
そら          いひ
天空いつぱひの飯かも



あきつばみれば やいばかも やいばかも

くるえるうたかも あやとりあやめ


        しこへび
にゆるにゆる醜蛇ならびてステイシヨン
             ランプ
あまねくふくらみにけり心臓



しみじみかたる さけのみも さけのみも

こんなときもある あやとりあやめ


                     はてな
うらなひの花 しがらみの花 此の際涯より
     よびな さもに
おちくらむ呼稱に彷彿て・・・・・・



とまどいつのる よるもあり よるもあり

ばかですあほです あやとりあやめ



がらんとしたトンネルのなかで咆哮が

こだまうつろに響く、反響く―――



ほんにかなしい きみだから きみだから

こころあかします あやとりあやめ



っつヒュゥばたん! なぜかきこえる

なぜかきこえるドアをしめるような音






  17 矢印






手なんてものがなければよかった

感情をいれなければ

もっと美しく語ることができたのに

涙をぬぐうためのものではないのだと

いまさらながら身に沁みて

なにか心おだやかなのがふしぎだ

物蔭からじいっと手をみていると

インパクトがふしぎとあって

ぞくぞくするような未知へ分け入る

道具をほうりだしながら

腰に手をおくあの手が

いまはかぎりない慈しみのひとつだ



われわれの顔はどんどん狐になってゆくだろう

夙うに腐った死人の

ほそながく蒼白い顔をみるだろう

それは なんと みじめな蛙なんだろう

その印象は薪のもえさかる
   ダンス
炎の舞踏に似ている

神々しい美のちらばりは

悪魔のようなかげろう



わたしたちは何百 何千にもおよぶ

失敗の特定に急いていますが

じっさい その特性を理解するひとは稀です

わたしたちはそんなとき変な顔になっていて



足がへんな方向にまがっているような

感じをいだくものです

燈台のうつろです ぷすりぷすりつぶす
としゃぶつ いかり
吐瀉物の錨です

愛執のむれたつ曙の色をばしるなり―――



煙草をふかしながら

ひと目をさけていると

認知症の老人になったような気がする

きちんと挨拶ができない人や

ひとつの考え方にとらわれた人 漾ひゆく

ただえとどまっているみすぼらしい服



宝石は風のなかにもあるのに

その虹の橋もみないで

ただごうごうとゆきすぎてゆく巡礼

さとっているほどかしこくはない

きどるほど鶏は飼っていない
                     たね
あくまで優しい不幸にくるまっている胤

煙草をすいおわると



みんな仕事へともどってゆく

ここにはいつもルールがある

あれほど破れとみずから教えてきた

胡散臭いものに 血はながれない

それどころか魔法の杖のひとふりで・・・・・・

ひとの心の空気をあけしめする

よろい戸がみえる



おお わたし自身よ

きみは柵のはずされた梢をみている

沖合いに延びた突堤をみている
                     ねむり
それは蜻蛉の飛行のごとくあやしき睡眠

それは夏を焦がしたあをぐろい手です
                     うみ
手の甲にはなるほど立派な月夜の湖がひたっています
ダイアモンド
聖母像の石

それは毒のうわずみをすくう―――



おお わたし自身よ

きみは柵のはずされた梢をみている

沖合いに延びた突堤をみている

黄金の花のしぼみをしる
                   まどわし
むつきを洗ったことのない無垢な魅惑

それは神聖であるために唇のようにわななきます
           いましめ
ひびわれます また戒律のもとに

心がおどり身をふるわせます

かくして彼さきに入り

かくして我をみちびきぬ―――






  18 塩と蛞蝓






くらい時代の家庭を無意識に想起したのか
        ふる  いえ
夢の中で僕は旧い自宅にいた

まだ冷蔵庫が、モスグリーン・・・・・・

一階のキッチンに集う 家族の静物画

しかし父親は不在

おそらく模糊として硝子を張った真実

冷蔵庫にでも入るように全身の毛穴がひらく

拍子にハリネズミになった

テレビは点いていなかった

ミュージックも流れていない

それでも音もなく軽るく行き過ぎる

キャッチボールのような会話
    はっきり そび
電灯は判然と聳えているように思えた

だがライト・アップは束の間のこと

水を打つ音のきこえるような静寂が
         
部屋のあかりを奪ってしまった

僕はプラスチックの容器にはいった
     いだ
塩を取り出す



自己弁護 だから確かな事は言えません

 渦巻いているリフレイン ワカラナイ

ワカラナイ ワカラナイ ワカラナイ

 ワカラナイ ワカラナイ・・・・・・



僕はその塩を家族に配っていった
    ごうすと
これから幽霊がくる
                
そして僕は二階へとつづく階段前の
      
Doorに佇立つ

二呼吸くらいあとだろうか

そこに亡くなったお祖母ちゃんが・・・ 

連続写真のなせるわざかテレポーテーション

横顔がみえ 歩るく足がみえ 廊下 玄関

そしてトイレの方へと向かっていった

やがて入れ違いのように少年がおりてくる
              ドア
そして躊躇う様子もなく扉をひらき

「水が欲しい」と哀願する

たしか少年帽をかぶっていたと思う

ラフな出で立ちという印象もあった

おそらく活発な少年だったのだろう

だが僕は彼に塩を投げ付ける!

相撲力士のようではなく 消えろ

とでも とでもいうようにフェェド・アウッ



でも精神分析 確かな事はいえません

 渦巻いているリフレイン イタイ

イタイ イタイ イタイ イタイ

 イタイ イタイ イタイ・・・・・・



それから道端で草ッ原を眺めている人を見た

電信柱にどこか寄添いながら、

咽喉に引っかかった言葉をさがすように

いま用心深く日常を手繰り寄せている

魚がかかった時みたいに! ルアーはゆくり
                      むねのく
どうしてだろう その人を眺めていると胸奥
こころ  みどり  あかね  なゆき
空き缶 野原 夕陽 名残雪



・・・・・・・・・・・・
            はいきょ
ゆさぶられて ぼくは廢墟

閉じ込められて ああ ぼくは硝子の前
   なぐ
そして撲られ ――ガラクタに囲繞

いつになく息苦しくて鯉になったよう・・・

心見透かされ! ああ 僕は丸裸



 (寂しそうな奴

僕は思った 汚れずにはいられない世界で

 (寂しそうな奴

口には出来ず 時のながれていくこの街で

 (寂しそうな奴

忘れたい過去 覗き穴でもあるこの夜を

 (寂しそうな奴

そんな言葉で 彼を見ていた



・・・・・・・・・・・・

ソッチニハナニカアッタカ

アッタラキテナイヨ

サビシクナイカ

サビシクナイヨ、サビシクナイサ




 (寂しそうな奴

僕のようなそいつが いたたまれなくて

 (寂しそうな奴

優しい言葉 かけてあげたかったけれど

 (寂しそうな奴
            もが
そいつなりに何かに?いてる、「生きろよ!」

 (寂しそうな奴

汚れちまった悲しみなど忘れて



どうせ過剰防衛 確かな事はいえません

 渦巻いているリフレイン ゴメン

ゴメン ゴメン ゴメン ゴメン

 ゴメン ゴメン ゴメン・・・・・・



たった一杯の水を何故くれてやらなかった?
                      なめくじ
機転を利かせれば出来たはずだ! 蛞蝓に

でもあいつの皮膚はふやけていっただろうか

違う! もう、古靴で踏みつけられたあと、
   まぶか        かお
あの目深にかぶった帽子の表情は

おとなしく眼を伏せて おどおどをかくし
       すくい
懸命に僕に救済をもとめていた小羊

なんてことだ! ああ なんてことだ

僕は自己嫌悪・・・!

本当はなんて冷たい人間・・・・・・

なんてことだ! ああ なんてことだ

金属バットをかかげて軽自動車に振下ろす

フロント・ガラスが徐々にこわれてった

 カラカラからからなりやがるんだ

まわりだす映写機のフィルムってやつは
             ドア
そしていまさら触れた扉を蹴破ってみても
                       あかし
断片的可視領域しか残らない 放熱の証明

カラカラからからなりやがるんだ
                   うた
だから空ッ風にうたうんだ この詩を
 たま               ぱら
ド頭かちわるくらい ドテッ腹めがけ

閉じ込められた 愛をもとめるんだ

でなきゃ でなきゃおかしくなる
いのり       そら
祈?のはてに蒼穹をみて! おもうんだ

もしも突然に さらにふたたびに

曖昧に生きていけるとしたら万死に値する

だからもうこんなうそぶきはうたえない



          ↓



 ジグソーパズルみたいな言葉を 繋ぎ合せて

上手くはめこんでいけば 一枚の絵になって 

どんなに長く感じられた夜も いつかは救われ

ると僕は信じた 思い出すのさえ辛かった夜さえ 

乗り越えていけば 思い出すような日が いつか

はやってくると僕は信じた そう信じていれば傷

ついても良かった 朝陽が見せる喜びは 誰にも

奪えない 誰にも捕まえきれないのだと思えたか

ら だから虫けらのような孤独を けして汚さな

いように 抱きしめていたかった 奪われたくな

かった 虫けらのような孤独だけは――






  19 椰子の実 島崎藤村より





                                さと
名も知らぬ遠き島より          名も知らぬ遠き郷より
      やし                            もも
流れ寄る椰子の実一つ         零れ落つ蜜桃の実一つ


                           たけ
故郷の岸を離れて            黄河の岳を離れて
なれ                          みち        ぺるしあ
汝はそも波に幾月             路しろき絹の波斯


もと                            もも
旧の樹は生ひや茂れる         百の実は冷やり蔽はる
                            どあ
枝はなほ影をやなせる         枝はなほ闥をふやしむ


      なぎさ                        はだへ かをり
われもまた渚を枕            なつかしき膚に馥
                       たきみづ      くん
孤身の浮寝の旅ぞ            飛潭の野山の薫ぞ

 
                               
実をとりて 胸にあつれば        実をわりて 枝だれゆけば
                          ぼっこん つかさ
新なり流離の憂             葬れよ墨痕の師



海の日の沈むを見れば          水の毛の柔きを知れば
たぎ                                       アニマ
激り落つ異郷の涙            春の宵ひ放浪の魂


                                 とりいれ
思ひやる八重の汐々           我おもふ蜜桃の収穫

いづれの日にか国に帰らん        ひがしの風にか筋を辿らん






  20 短詩化について






手がふれると

 がきえる


足にふれても

 がきえる




―――手法しりません

    構造しりません

    説明できません



これを手足の意識

 だとするの

 ならば




髪にふれると

 がきえ紙

 もきえ加味




―――先輩しりません

    勉強やりません

    ツブシきかない



目にふれれば

 がきえる


口にふれよが

 がきえる




―――描写あきまへん

    画一しりまへん

    興味ないんです



これを目口の構造

 だとするの

 ならば




恋にふれると

 がきえ濃

 もきえ故意




―――後輩うまいなあ

    詩壇すごいなあ

    コワレてしまえ



腹にふれると

はないぞ!


頭にふれると

もないぞ!




―――英語ならべます

    批評とくいです

    肝心かなめです



涙がきえると

がきえ涕

もきえ慟哭



―――時代うごかされ
   まわり
    周囲きにしてッ

    ナクシたこせい





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