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「漫喫漫玉日記 深夜便」桜玉吉

GREE・漫喫漫玉日記・深夜便.jpg

新刊単行本としてはいつ以来になるのだろうか?
2012年4月号のコミックビームで久々に発表された短編以降、
不定期掲載されていた作品をまとめた一冊。

鬱病疾患以後、心身の不健康さに比例していくかのように、
完成されていく随筆漫画。

達観なのか諦念なのかネガティブで茫洋とした日常に、
ズッコケと脱力が交錯する作風は、太宰治の筆を思わせる。
いや、これは太宰のひとつ向こう側の境地なのではないだろうか?

常に読み手がヒタヒヤする自棄をテーマとしつつ、
それでも必ず笑いを見失わない桜玉吉の随筆漫画には、
芸人として少なからず影響を受けている。

・震災当日の自分の状況。

・離婚の2年後にホテトルを呼んだ話。

・深夜のファーストフードで遭遇した、
 不思議なんだか、どうなんだかよくわからない、
 得体の知れないエピソードをつづった表題作。

・漫画喫茶での原稿作業生活の中にある些細な憤り。

と、この本に収録されている、
まるで昭和のプロレスのように虚実ないまぜの、
桜玉吉フィルターを通した日常の数々には、
いついかなる状況をもネタにする、
表現者としての業への覚悟が見える。

そしてそういう意識が、
様々な問題を生じてしまったこともまた事実。
次の書き溜めをのんびりと待ちたい。

「あわてないあわてない、ひとやすみひとやすみ」
書き手と読み手に同時に贈りたい言葉である。





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最終更新日  2013.11.23 06:02:58


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