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カテゴリ:日々のだいじ
わたしが18歳の頃「札幌の原宿」といわれた円山裏参道のおしゃれな隠れ家カフェ「トマトムーン」に行った日のことは今でも忘れません。
当時私は東区に住んでいたので、円山の喫茶店に行くこと事態すごく大人になった気持ちがしたものです。 残念なことにその何年かあと「トマトムーン」はなくなり、同じ経営者が南6条通りのはずれ、桜の木が庭にある邸宅で、カフェレストランをオープンさせたことを聞きました。 たぶん平成になったばかりの頃だと記憶しています。 わたしはすっかりそのお店のとりこになってしまい、自ら運転する車で何度も通いました。 そのお店の名前は「桜月サクラムーン」。 北大初の女性教授・桂田芳枝先生の邸宅(1954年建築)をお店に改築。 「桜月サクラムーン」は本当に美しく魅力的な建物でした。 桜の季節だけではなく、どの季節に行ってもそこにいることで幸せを感じられる、そんなやさしく包み込むような雰囲気を持っていました。 それはただ古いというだけではなく、長い時間大切に使われてきた建物だけが持つ「不思議な力」のなせるわざでしょうか。 そんな愛すべき建物が、4月7日札幌のまちから消えました。 2012年の暮れに老朽化のために閉店してからというもの、勝手な思いかもしれませんが、どこかの資産家がまた手を加えてこの建物を存続させてくれないだろうかと願っていました。 しかし当然のことながら、そんな夢みたいな話はおとずれることはありませんでした。 この桜の下でお食事をするという贅沢な時間は、もう二度と来ないのですね・・・。 「桜の木はどうなったのだろうか・・・。見てみたいようで見たくない、でも見ておかないといけないのでは。」そんな葛藤と戦いながら「桜月サクラムーン」へ足を運びました。 瓦礫の中に残る桜の木・・・。 建物があった周り全体が立ち退きを終え、すでに更地となっていました。 主人がこの写真を見て言った一言「これは解体なんかじゃない、破壊行為だ」 その言葉は、まさにシャッターを切りながら私が感じた思いそのものでした。 この木を囲むようにマンションが建つのでしょうか。 30分ほどこの場に立っている間に何人もの人が足を止め、その無惨な状態に眉をひそめ、友人同士残念がり、いたたまれずに去っていきました。 ここ数年で札幌のまちは大きく変わろうとしています。 かって若者の心を躍らせた円山裏参道もすっかりマンション通りと化し、たくさんの喫茶店も姿を消し、趣のある建物は老朽化と相続のすっつたもんだの末解体を余儀なくされ、無味乾燥の街に変貌しています。 寂しいと嘆いているだけではダメなのだと、失ってから気づくなんて情けない。 【逍遙館はただいま、第二期入居者を募集しています。詳しくはこちらをクリックしてください】 |逍遙館倶楽部代表| ←応援クリックお願いします お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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閉店・・・
全く知りませんでした(-_-) 残念でなりません!!! 素敵な空間でした ブログを読んで同じような気持ちになったのでコメントさせていただきました またおじゃまします (2016年11月10日 21時39分00秒)
PENCOさんへ
はじめまして。 いまだに南6条通りを円山に向かうとその先に あの素晴らしい建物があるような気がいたします。 すでにマンションが建っていて、サクラムーンが あったことが嘘のような風景に変わってしまいましたが、美しい建物の記憶は心の中にいつまでも生きています。 同じ気持ちの方が、こうしてメッセージを残して 下さってとても嬉しいです。 歴史のある建物が好きで、時々ブログに書いています。 【逍遙館】も100年残る建物にしたいと考えて造りました。 また見に来てくださいね。 【逍遙館代表】 (2016年11月14日 22時05分29秒)
はじめまして。
札幌市厚別区在住のものです。 以前「トマトムーン」「サクラムーン」に よく友人達と通っていました。 ふと懐かしく思い検索しておりましたら、 貴ブログにたどり着きました。 「桜月」の懐かしい佇まいをアップしていただき 懐かしく拝見いたしました。 実は、両店舗の経営者は私の古くからの友人です。 名前は差し控えますが、 友人仲間では「ゴルゴ」と呼んでおりました。 経営者でもありますが、本業はイラストレーター。 当時広告代理店にいた私は、 彼とよく一緒に仕事をさせていただきました。 店を閉めたあとはイラストを中心に HTBさんとよく仕事をされていました。 あるとき私の勤め先の会社を訪れてくれて 懐かしい話をしました。 その後八丈島に移住、いまも島で暮らしているようです。 貴ブログとの出会いで 友人に思いを馳せる事ができました。 ありがとうございます! (2020年12月06日 17時55分17秒)
SUNNYSIDE1128さんへ
コメントありがとうございます。 6年前のブログですが、よく読んでいただいているようで、「トマトムーン」「サクラムーン」を懐かしく想う方が、今でも多くいらっしゃることがわかります。 本当に素敵な建物でしたね・・・。 ここ数年は、オリンピックに向けて、恐ろしい勢いで街が変貌しています。 札幌市は、新しいものばかりに目を向けることなく、古いものが持つ価値に気付いてほしいと思います。 お店のオーナーさんとお知り合いだったのですね! Kさんは有名な方でしたね。 八丈島にいらっしゃるとは初耳でした。 Kさんの御妹さまは、いまも「ZAZI」を経営されているのでしょうか? 「ZAZI」は、どこか「トマトムーン」を彷彿させる懐かしい雰囲気の素敵な隠れ家喫茶店ですよね。 この先もいまのままの姿で残ってほしいですね。 「逍遥館」はおかげさまでようやく10歳になりました。 古き良き建物だけが持つ言い知れぬ魅力を放つようになるのは、いつになることやら・・・ 100年残る集合住宅を目指して引き続き頑張りますので、 またブログ覗きに来ていただけたら嬉しいです。 逍遥館代表 (2020年12月07日 09時34分51秒) |