新聞（夕刊）のコラムに、大阪大教授で哲学者・鷲田清一さんが「獣医さんという存在」というタイトルで、「ケアの専門家は獣医に学べ」という内容のことを書いていた（正確には、そう書いたのは精神科医の中井久夫さんで、それに対する賛同のご意見、という感じ）ので、ちょっと抜粋。
毎度抜粋ベタな私ですが^^;
（略）獣医さんは人間を相手にするわけではないので、ふつうケア･サービスという職種には数え入れられない。
こういう見方に対してささやかに異議を唱えるのが、精神科医の中井久夫さんだ。「医療では、随分患者に無理を強いる。実は獣医学の方がずっと、相手である動物の意思を尊重している。それは、動物にがまんさせるということがむずかしいからである（略）だから獣医さんたちは徹底的に動物の方に自分を合わせる。獣医さんたちは、動物の気持ちを察するためにたいへんこまやかな心のアンテナを持っておられる方が多い」だから、ケア･サービスに従事しているひとは獣医さんからこそ多くを学ぶべきだ（略）
なにしろ、「獣医さん」という「さん付け」が嬉しいではないか。
最近冷たく「ジューイ」と呼ばれることも多いので、ちょっと気になっていたのであります。
それはともかく、ジューイとしては、肝に銘ずべき話ではないかと。
語ってくださったことは、あくまで獣医にとっても理想なのよね。
確かに動物は･･････特に猫なんかは、「ヤダ！」となったら徹底的に食わない。寝ない。触らせない。入院させると緊張が増して、却ってストレスでダメになったりもする。注射や採血を大人しくさせてくれない等々、大変なので、あの手この手で四苦八苦するのも、人ならば要らない人手が必要なこともあったりするけれど･･････それが動物に本当に添っているかどうかって言ったら冷や汗モノかもしれないなあ･･････
（略）ある病院の脳外科で看護助手をしていたことのある若い社会学者が、獣医科のあの光景はずばり脳外科の集中治療室の光景に重なると言った。物言わぬ患者さんを中心に、すべての言葉、すべての行動が組織される。その一体感、その熱気はすごいものだった、と。（略）
すごいところと比較されたもんである。
なんか嬉しいようなくすぐったい感じがする（笑）
物言わぬ相手に対し集中するあまり、無言のやり取りが通じず下っ端が粗相をしたりすると蹴られたりするわけである（マテ）
え？ だって手を使って殴ったら、手を滅菌してる意味がなくなるでしょ？
それでヒザ蹴りになるわけだ（爆）
（あまりにも粗相ッぷりがひどい場合ですよちなみに。蹴られようが相手がよくなればそれでヨシ。徒弟制に近い点もありますが、意思疎通をうまくできないとなったら、それは下っ端の経験不足が悪いんです･･････こういうとき、文句よりも自分の未熟さを痛感する。私はといえば、上の人も遠慮するほどビビリだったせいか、蹴られるまでいったことはさすがに無い･･････）
獣医さんの多くはこよなく動物好きだろうが、同時に、こうした構造を持つ場を仕切る司祭者のごとくにふるまってもいる（略）誰がペイするのかという計算も常に頭をよぎることだろう。「愛らしい」ものを愛でる獣医は、そんな「専門職」としてのクールな顔を背後に隠してもいるはずだ。そして、他方で、飼い主に棄てられたペット、ショップで売れ残ったペットがどのようなプロセスで「処分」」されるかを、熟知し、憂えてもいるはずだ（略）
私がこんなテイタラクになってる理由の1/3は「他方」の部分に強く反応したってことでもあったりして。
なんかね。浮わっついたペットブームの片棒を担ぐのがイヤになっちゃったりしてたんだね。
「理由」の一番大きい部分は自分の未熟さと将来の伸びシロに限界を感じたことなんですけどね･･････。あとは、獣医の世間知らずさというか、内輪ウケ部分とか、派閥とか、意外に視野の狭いところとか･･･いや、いやいやいやいや
今この職業にいないくせに、何エラソウに語ってるんだろうとも思うけれど^^;
こんな風に語られる存在でありたいなと思ったのでした。
*****
と思ったら、同じ紙面の別のページに、私の元職場の院長がコラムを書いていた。
道内の動物病院長が何人かが週に一回、ローテーションでエッセイをつづっているのである。今週は院長の当番だったよう。
比較的淡々とした筆致にも関わらず、大袈裟ではない感動をおいていってくれる感じ。ホント、いい先生のところに修行に行ったんだよねえ、私･･････
･･･ちなみに、別に人がイヤで辞めたわけではないが、一癖二癖もある方でも、あるにはあるのよ^^; はっはっはっ。 |
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