菊田俊介ブルース日記 ＜Shun Kikuta's Blues Diary>

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• オーティス・ラッシュのオフィシャル・ウェブが完成！

  ファンは必見、そして嬉しいニュースが飛び込んで来た。我らがオーティス・ラッシュのオフィシャル・ホームページがいよいよ完成したよ。マサキ夫人自ら指揮をとって、デザインにも力を入れたと言うだけあって、黒を貴重にしたシンプルかつ渋～い作りのサイトだ。これは絶対に見逃せないね。2004年のジャパン・ブルースカーニヴァルを最後に一時休養しているオーティスだけれど、シカゴのワイズ・フールズ・パブで録音されたライブ盤「ALL YOUR LOVE I MISS LOVING/ LIVE AT THE WISE FOOLS PUB CHICAGO』や、モンタレー・ジャズ・フェスティヴァルのライブを収めたDVD『OTIS RUSH AND FRIENDS/ LIVE AT MONTREUX 1986』など未発表作品がどんどん発表されている。しかも近々オーティスのベスト・アルバムも出す計画だとか。これからもオーティスの動向には目が離せないね！そして、西宮在住のブルース・ハープマンこと968さんが130枚にも及ぶ小生の写真を収めたフォト・ギャラリーを作ってくれた。2004年の3月16日～17日、苦楽園のイエロー・ジャケット(今はもうないんだなぁ～)でのライブとジャム・セッションやら、その間の滞在中でのさくらＦＭの出演風景やら、ライブのリハーサルの模様などこれでもかってくらいにアップしてくれたね。サンキュー968！こちらもぜひチェック・アウトよろしくです！

  2006.09.21

• ルイジアナからスプリングフィールドへ

  ルイジアナ州ヴィントン市。テキサスとの州境に近いこの町にある、Delta Downsカジノでギグだ。カジノでのライブは年に数回行われるね。カジノと同じ建物にホテルとコンサートホールがあって便利な上に、100種類くらいのメニューが楽しめるビュッフェもあって、まさに美味しいギグでもあるんだね。またこの辺りは、コールデン・トライアングル（黄金の三角地帯）と呼ばれていて、才能あるミュージシャンを多く輩出してきたのだ。詳しくは、今年発売になった「ホーム・オブ・ブルース～アントンズ』（コロムビア・エンターテインメント）に紹介されているね。翌朝は4時前に起きて、テキサス州ビューモント空港から飛び、ヒューストン経由でシカゴへ帰る。一旦ウチに帰りすぐに着替えてスプリングフィールドへ。イリノイ州の首都をシカゴと勘違いしている人が多いようだけど、実はスプリングフィールドが首都なんだ。アメリカでは大都市が必ずしも首都ではない好例といえるね。3時間のドライブを経て、スプリングフィールド市内のフェイス・ルゼラン教会に到着。教会の中庭に作られた野外ステージで演奏だ。この日共演してくれたのは、地元のローダウン・ブルース・バンドだ。どの街に行っても必ず実力のあるブルースバンドがあるのを経験で知っている小生は、彼らのエネルギッシュで熟練のプレーにも驚かなかった。1時間彼らとプレーして、CDサイン会を行う。お客さん、ミュージシャンみなさんが小生を心からもてなしてくれるのが嬉しかったね。こういう暖かい経験はお金では絶対に代えられないものだ。サイン会の後は、市内の楽器屋”ルシアー・ショップ”へ。同店でギター・クリニックを（写真）。1時間ブルースの奏法を解説して、最後はシンガーのローリー・エデン、ギターのトム・ルイス、さらにギターのマイク・レイピアー各氏が一緒にジャムってくれ、アットホームな雰囲気でクリニックが終わった。こうして、アメリカ国内のフェスティヴァル・シーズンが終わった。今年はココの調子もよかったし、ジェイムス・コットンとのツアーもあったんで、例年の2倍くらいロードに出ていたような感覚がある。今後は、10月末の短い帰国と11月初旬の台湾ツアーまでは少しシカゴで英気を養えそうだ。今回のルイジアナ、及びスプリングフィールドさらに前週のインディアナ・ツアーのより詳しい様子は、次号『ブルース＆ソウル・レコーズ』のコラムに記す事にしよう。

  2006.09.20

• お知らせ＆雑談

  シカゴは朝晩の気温がグっと下がり、一気に秋に突入。このところ、食生活も含めた生活のリズムが不規則だったせいか、風邪をひいてしまったよ。先週末は、インディアナ州タリホー市のブルース・フェスに、サックス奏者のジェイムス”パパ”テイラーと出演。さらに、その後に出た沖縄在住のデヴィッド・ラルストンのバンドには3曲で飛び入り出演させてもらった。写真が手に入り次第改めてアップしようと思う。先週はギタリスト／シンガーのジョニー・ダラーが、今週に入って”ブルース界のスウィート・ハート”こと女性シンガーのボニー・リーが相次いで亡くなった。小生がシカゴに来た90年代の初頭、ブルースとソウルがいい感じでミックスしたジョニーのスタイルが大好きだったなあ。ボニーは昨年亡くなったウィリー・ケントと長年一緒に活動。彼女の暖かい人柄にもう接する事ができないのは寂しいの一言。合掌。11月4（土曜）、5（日曜）両日は、台北で行われるTAIWAN BLUES BASH3に出演が決まったよ。昨年に続き2度目の出演だね。さらに10月28日（土曜）は、宇都宮のBEAT CLUBにてJamsbeeとの共演ライブが実現しそう。これらのライブのインフォは、日を改めてまたアップすることにしよう。

  2006.09.13

• 30代最後の夜は・・・ギターに浸る

  シカゴのダウンタウンのど真ん中にミレニアム・パーク(Millennium Park)が出来たのは一昨年のこと。関係者を集めたオープニング・セレモニーで小生が最初のミュージシャンとして演奏したのは、以前この日記でも書いたような記憶がある。夕べは同パークの野外コンサート・ホール“Jay Pritzker Pavilion”でココとのコンサートがあったんだ。すぐ隣には毎年ブルース・フェスティヴァルが行われるグラント・パークがあるね。でもステージのクオリティではこっちの“Jay Pritzker Pavilion”のほうが遥かに上。ステージの広さ、音響、照明どれをとってもすばらしく、しかも前の方の椅子席の上には小型スピーカーが何十個と取り付けられていて、どこで聞いてもしっかりしたクオリティの音を楽しめるよう設計されている。もちろんステージからの見晴らしも最高だよ。後ろの方に、ライトアップされたビル群が色っぽく映し出され、客席のきれいな女性達もバッチリ見える。あまりそっちに気を取られるとココに睨まれるので、さりげなく眺めたりして。もし夏場にシカゴに来る人は、ぜひここでのコンサート・シリーズを体験しよう。もちろん音楽を聞くたねにね。夜の8時半から1時間のステージをプレーして、荷物をすぐに片付け、駐車場へダッシュ。車をすっ飛ばして“B.L.U.E.S”に向かった。毎月第一木曜はJWウィリアムスとのギグだ。同店に到着したのはステージが始まって45分が過ぎたころ。ギターをケースから取り出して即ステージに上がってプレーを始める。目をつぶって歌に入り込んでいたJWはいきなり小生のギターが耳に入って驚きながらも「よしよし来たか」と言う感じで頷いていた。もちろん遅れる事は伝えていたし、前夜にアンプはセッティングしておいたので、ここまでは予定通りなのだ。結局夜中の2時近くまでプレーして、大汗をかいて長い夜が終わった。　実は昨夜は30代最後の日だったんだ。そんな夜に思い切りプレーしまくれるなんて、音楽漬けの人生らしいかな、と思う。次の10年も、こんな感じでガンガンギターを弾きまくりたいものだ。

  2006.09.09

• モータウンでシカゴ・ブルース全開

  モータウン（デトロイト市）の郊外にある野外音楽堂Meadowbrookで行われたMusic Festivalに出演。屋根付きの椅子席とその後ろに広がる芝生席を持つ4000～5000人規模の立派な野外音楽堂がアメリカのメジャーな街にはよくある。クラシックを中心に、時にはジャズやブルースやカントリー、あるいはソフト・ロックなど夏の間週に2、3回のペースでブック。市民の文化生活に貢献しているって訳だね。ジェイムス・ハンター、我々ココ・テイラー＆ブルース・マシーン、そしてバディ・ガイの３つのバンドが出演。ブルース・マシーンのショウは８時半から始まった。今シーズン（フェスティヴァル・シーズンはだいたい4月くらいから始まる）はココの調子がずっと良くて、特に喉に関しては小生がバンドに入ってから一番のコンディションではないかな。前振りなしで、開演と共にココをステージに呼んだにもかかわらず、45分の短いステージはアっと言う間に終わってしまった。もう2、3曲はジックリプレーしたかったけど、これもフェスの宿命仕方が無いね。トリのバディ・ガイ（写真）とはこの1ヶ月ですでに3回も同じフェスで顔を合わせている。バディのステージ前に、バディがステージで愛飲するヘネシーXOのボトルが目に入った。小生があまりに物欲しそうな顔をしていたのだろうか？店で飲んだら一杯30ドル（3600円）はするXOを「飲んでいいぞ」と気前よくコップに注いでくれた。ク～太っ腹ですな、親分。XOをチビチビやりながらバディのステージに食い入る。バディはシカゴ・ブルース・ボックスを2台併用。ほとんどフル10にして思い切り鳴らしていたね。バディのために作ったと言う50台限定生産の同アンプは、なんと1台5600ドル（約65万円）！！。弾かせてもらったが、確かに音はすごい。ヴォリュームが2くらいでも音がバカでかい上に、かなりのドライブがかかっていた。59年のBassmanアンプを再現したらしい。それにしてもこの値段。ミュージシャン価格で半分にしてもらったって、2800ドルっすよ。いったい誰がこんなアンプ買うんだあ？

  2006.09.02

• 秋風が吹く季節に

  シカゴはこの３日間ほど雨が降り続いている。庭の芝生に水をやらなくていいので夏の雨は大歓迎なのだが、雨が一緒に秋の空気も運んできたようだね。先週まで日中は30度を超えていたのに、ここ数日は朝夕はジャケットがないと寒いくらい。シカゴの季節の移り変わりは早い。先週は、ワイオミングでフェスに出演、シカゴのダウンタウンでショウ、レコーディングもあったし、週末はウィスコンシンでさらにフェスに出演。そして日曜は早朝に起きて車を4時間強飛ばしてゲイリーへ。モライア教会の日曜礼拝でプレーした。さすがに礼拝が終わるとグッタリなり、昼飯を食べてウチに帰ったらほぼ抜け殻状態。旅慣れているとはいえ、キツイものはキツイよな。そして明日からデトロイト郊外のMeadowbrook Music Festに出演。さらに週末はフロリダに飛ぶことになっている。9月に入ると、フェス出演が２、３個あって、ほぼシーズンが終わりだね。今年はジェイムス・コットンのバンドでもプレーしたから例年の２倍くらいロードに出ていたような印象があるなあ。ウチで夕飯を食ったのなんて数えるほどだったんじゃないかな。ということで、デトロイト行ってきます。デトロイトの楽しみはなんつっても”まっちゃんラーメン”。デトロイト郊外カントン市にある鹿児島出身のご夫婦がやっている、それはそれは旨いラーメン屋なのだ。

  2006.08.30

• 

  ココ・テイラーの新作レコーディング始まる

  いよいよココのレコーディングが始まった。午後からノースサイドにある『レックス・トラックス』スタジオに入る。小生がココのバンドに入ったのが2000年。その直前に前作『Royal Blue』(Alligator Records)が発売されたから、ココにとっては６年ぶりのアルバム制作だね。そして小生にとっては’96年のセカンド・ソロ・アルバム『Chicago Midnight」に2曲でゲスト参加してくれた時以来、実に10年ぶりのココとのレコーディングになる。今日はココのオリジナル「Young Fashion Ways」を1曲だけ録音。30年間ココと苦楽を共にしてきたアリゲーター・レコードのブルース・イグロア社長（左の写真の左側の人物）と、やはり20年以上ココの作品でアレンジャー兼ギタリストとして携わって来たクリス・ジョンソン（同じ写真の右側の人物＝彼はココの従兄弟でもある）が中心になり、この1曲のためにリハーサルを2回やり、しかもスタジオに7時間こもる。今回のレコーディングのテーマは「ヴィンテージ・ブルース・サウンド』。ブルース本来の姿に帰ろう、というイグロア社長の強い要望で、レコーディング前から個々のミュージシャンにかなり細かい指示が出ていたんだ。小生には、「ウィーリー・ジョンソンのサウンドを参考にしてくれ。古いギターで15ワットくらいの小さなアンプをフルに鳴らして、ナチュラルなオーバードライブ・サウンドを出して欲しい。ソロは、メロディックなコードを入れながら組み立てて弾いて欲しい」と宿題も。ちなみにウィーリー・ジョンソンは、ハウリン・ウルフの50年代初期のメンフィス・レコーディングに参加しているギタリスト。コードワーク、ソロ共に抜群のセンスを持った職人ギタリストだね。ということで、スタジオには写真右のように、72年製のストラト、67年製のテレキャス、そして53年製（54年という説も）のレスポールの3本を持ち込んだ。結局使ったのは1本だけだったけど（どのギターを使ったかはご想像にお任せしよう）。アンプはイグロア社長が借りて来たヴィクトリアのたぶん15ワットのもの（ヴォリューム・コントロールしかついてないアンプだよ！）をフルの12（10ではなくて12ってのが可笑しいよね）にしてかなり歪ませた音で弾く。ソロはほぼ一発録りで終え、リズムは細切れに何度か録り直す。ギターの音色、ソロの弾き方など小生的にはまったく新しいアプローチだった。正直戸惑いもあったけど、「僕が欲しい音を出してくれたよ」とイグロア社長が言ってくれたので、まずは良しとしよう。ココのアルバムは確か前作７枚のうち６枚がグラミー賞にノミネートされていたと記憶している。もちろん今回もグラミーを狙っているのはイグロア社長の熱の入れようと、音へのこだわりぶりからも十分伝わって来たね。サウンドの要とも言えるクリス・ジョンソン（彼はココのバンドに入った事は一度もない。レコーディングのみでココと仕事をしている）がいるから、自分がアルバムに参加する可能性はかなり低いだろうと、半分あきらめていたんだ。そんなところに参加のチャンスをいただいたので、とにかく1曲だけでも与えられたチャンスにかじりついていこう、という気持ちだったね。ちなみに、本作の発売は来年3月頃を予定しているそうだ。詳細は追ってご報告を！

  2006.08.26

• ブルース少女との出会い

  ワイオミング州パインデールへロードに出る。シカゴ、デンヴァー、ロック・スプリングと乗り継いで、さらに車で２時間。やっと現地に着いたのは夜中の１１時。２００キロの車での道中は信号が一つもなし、ガソリンスタンドは一つだけ。丘陵と砂漠だけが延々と続く。アメリカの田舎パワーにはいつも驚かされるけど、この日も人口数百人のこの街に5000人ものブルースファンが訪れた。ココの他にビリー・ブランチ、ケニー・ニールも出演。大都市フェスも顔負けの盛り上がりだ。さらに夜は地元のクラブでジャムセッション大会だ。この田舎町の小さなクラブしかも日曜の夜に、ビリー、ケニーが地元のミュージシャンとジャムり、小生も参加させていただき、ビリーのバンドの有吉さん（ピアノ）、丸山君（ギター）のジャパニーズ・ブラザーズ達も姿を見せブルース度満点。そのブルース度を200％にしてくれたのが、写真のマケイラちゃん。11歳のブルースギター少女だ。誰風でもなく、淡々と自分の中のブルースを弾く。指のタッチ、フレージング、こういったセンスは教えられるものじゃない。彼女がすでに持っているものなのだ。こんな少女を目にすると、前世はすごいブルースマンだったんじゃないか、とか前世論を信じたくなってくるよなあ。一番ブルースから離れているような田舎町で、深くブルースを感じたこの夜。ブルースで繋がった不思議かつ嬉しい出会いに感謝なのだ。

  2006.08.22

• 最も近くて遠い国

  ヴァンクーヴァーへ。シカゴ・オヘア空港は思ったほどの混雑もなく、結果的には早めに行きすぎた。とはいえ、やはりセキュリティは厳しく、特に水入りの容器御法度のアナウンスが盛んに流れていたね。約5時間のフライトでヴァンクーヴァーに到着。さっそくイミグレーションでメンバー全員別室に呼ばれる。フェスティヴァルの契約書を見せろだの、ギャラはどこから支払われるのかなど1時間以上に渡ってかなり細かく聞かれる。毎回カナダに来る度にこうした取り調べを受けて、ココも辟易の様子。ヨーロッパや日本ツアーの時には全くないのにね。隣国の人間に厳しいのは万国共通なのかな。悲しいけど。ヴァンクーヴァー郊外で行われたバーナビー・ブルース＆ルーツ・フェスに出演。我々ココのバンドはじめ、バディ・ガイ（バディとは最近毎週会っている）、スーザン・テデッシ、ホームズ・ブラザーズ、ブッカーT＆MG’sなどが出演。スーザンのバンドでは、大好きなトム・ブレックラインがドラムを叩いていて、釘付けになったね。ロベン・フォードのバンドで初めて彼を見たのが17年前。あの日のライブの興奮が蘇って、思わず終演後にまだステージでスティックを片付けている彼の元に駆け寄って、ミーハーしてしまった（笑い）。人当たりのいいナイスガイで、今週にはチック・コリアのバンドで日本ツアーに出るそうだ。ぜひ多くの人に見て欲しいね。休憩中には、第二ステージから聞き慣れたオルガンの音が響いて来た。そうブッカーTの「Green Onions」のイントロのリフだ。もうレコードそのものの音で、生ブッカーT初体験に興奮したね。最後のバディのステージまでしっかり見て、かなりテンションを上げてホテルに戻って来た。すばらしいミュージシャン達や音楽との出会いに感謝しつつ、部屋でジャック・ダニエルをチビチビやりながらギターを弾きまくるのだ。

  2006.08.15

• エアポート・ブルー

  一昨日の日記に記した「ブルースギター・ジャムセッション第三弾」の選曲について、多くの人たちからアイディアをいただいたので、まずはお礼を！シカゴの現場でプレーしている小生と、日本のブルース及びロック・ブルース・ファンのみなさんの”スタンダード”が微妙に違っていたりして、大いに参考になったよ。みなさんの声をしっかり反映させて充実した作りにしたいと気合いを入れたのだ。選曲の最終発表は、リットーと話し合った上で決めるのでもうしばらくのお待ちを。さてさて、イギリスで摘発された旅客機爆破テロ計画が、アメリカにも大きく波及。特にエアポートでのセキュリティーが同時テロの時なみに厳しくなった。報道にもあるように、水分を含んだ容器の機内持ち込みは全面禁止。ギター・ポリッシュもマウス・ワッシュも洗顔液も全部ダメ。今日これからカナダのヴァンクーヴァーに旅立つけど、ギターだけでなく、スーツケースもチェックインしなければいけないだろう（普段は、両方とも持ち込んでしまう）。国際線は２時間前と言われるけど、今日に限っては３時間前には空港へ行くつもりだ。個人的な恨みなんてないけどさ、まったくブッシュが大統領になってから散々だ。テロ問題はじめ、最近のガソリンの高騰は止まるところを知らず、イスラエルによる空爆を全面的に支援するなんて狂気の沙汰。アメリカも住みにくくなったものだ。

  2006.08.12

• ギタリストのみなさんへ！

  ギタリストのみなさん、ぜひ智恵をお貸しくだされ。 近々、リットー・ミュージックより『ブルースギター・ジャム・セッション第三弾』を制作することになり、そこで使うブルース・スタンダード曲を6曲ほど選ばねばいけなくなりました。 １曲につき５～６分はタップリとジャムできるような作りにする予定。よって、ギタリストのみなさんが ”この曲で思い切りジャムりたい” という希望曲をぜひ教えて欲しいっす。 ちなみに過去２作で使った以下の曲は使用不可です。 Dust My Broom Cross Cut Saw Big Boss Man Stormy Monday Everyday I have the blues Mojo Working Messin' with the kid Pride and joy Cold cold Felling Woke up this morning Mustang Sally Thrill is gone Killing floor I'm tore down Leave my girl alone Real mother for ya Ain't nobody's business Baby I love you(Aretha Franklin) Hideaway 　できればロック・ミュージシャン達もカバーしている、知名度の高い曲、というのが希望かな。メイルでもOK。よろしくです。

  2006.08.10

• ポコノ・ブルース・フェスを写真で楽しもう

  Photo by Dusty一昨日の日記にも書いた東部最大のブルース・フェス、ポコノ・ブルース・フェスの写真が、カメラマンのDusty氏から送られて来たので、アップしたよ。これは土曜に出演した時のもので、右はもちろんジェイムス・コットンだね。他にもヒューバート・サムリンとのグッド・ショットもあって、それは次号ギター・マガジンのコラムで使わせていただくことにしよう。全国のブルース・イヴェントを訪れてはコレクションを増やしているDusty氏のウェブdustyblues.comもぜひ訪れて欲しい。ポコノ・ブルース・フェスのスライド・ショウは出演者を目で楽しむ事ができるよ。

  2006.08.09

• イーストコーストからアラバマへ

  忘れて来たカメラがまだ届かないので、写真抜きでツアーの模様をアップしよう。まず、先週のイーストコースト・ツアーから。マサチューセッツ州スプリングフィールド市とコネチカット州ブリッジポート市でストリート・フェスティヴァルに出演して、週末はペンシルヴァニア州のポコノ・スキー・リゾートへ。東部最大のブルースフェス、ポコノ・ブルース・フェスティヴァルに出演だ。偶然にも、今年のポコノは土曜のトリがジェイムス・コットンで、日曜のトリがココ・テイラー。光栄にも小生は、両方のバンドで2日続けて出演させていただいたんだ。スキー場のふもとに3つの大きなステージが作られ、連日数万人のブルース・ファンが訪れた超ど級の同フェス、東部に在住するカメラマンやマネージメント関係者、レコード会社、ラジオ局のスタッフなどブルース関係者もずいぶん来ていた。土曜は、ジェイムスのバンドに元マディ・ウォーターズ・バンドのモジョ・ビュフォードが歌で加わり、ギターにはヒューバート・サムリンも参加。クラッシック・シカゴ・ブルース・サウンドがスキー場に響き渡ったのだ。それにしても、ヒューバートはある曲ではキーも知らずに弾いていた？というか弾く真似をしていたという方が正しいか。ニコニコしながら指はギターのネックを駆け巡る。しかし・・・音は出てないぞ。それでもソロの時だけは適当に合いそうな音を探って形にしてしまう。弾き終わってみれば拍手喝采。まさに千両役者ってのはこういう人の事を言うのだろうなあ。そして一昨日は、アラバマ州バーミンガム市でサザン・ヘリテッジ・フェスに出演だ。こちらもココの他に、バディ・ガイ、ボビー”ブルー”ブランド、クラレンス・カーターが出演した大きなフェスティヴァルだったね。ダウンタウンの大きな公園に集まった1万人ほどのお客さんの90％は黒人。出店も”チキン・ウィング”とか”キャット・フィッシュ”とか涎を誘う看板があちこちに。バディのプレーを聞きながらチキンを頬ばる小生であった。

  2006.08.06

• レジェンズでジャムった

  （Photo by Kenji Oda）７月から８月にかけて１ヶ月間、小生のレッスンをとるためにシカゴにやって来た鈴木浩二さんの話は、以前お伝えした。そしていよいよその成果を試す日がやってきたのだ。一昨日（７／３１）は、毎週月曜日恒例のマンデー・ナイト・ジャム・セッションがダウンタウンにあるBuddy Guy's Legendsにて行われた。カウンターにはバディ・ガイ本人も座っていて、ジャムの様子をちゃんとチェックしていたね。ちなみにバディは先日行われたFUJI ROCK FESTIVALに出演するため来日したばかり。「出演時間が早かったから、ベックやサンタナに会う事ができなかったよ」とバディ。明日は７０歳の誕生日を迎える。さて、鈴木さんと小生、さらに小生の生徒さんでもあるベースの宮林さんの３人がステージに上がったのは夜が更けた1時ころだった。小生が「Little By Little」と「Baby Please」の２曲を歌い、鈴木さんにどんどんソロを回す。始まる前は緊張気味だった鈴木さんも、プレーが始まってからはなかなか堂々したプレーぶりだったね。リズムではスモールコードを中心にビートをはずすことなく弾いていたし、ソロでは指弾きならではのパキパキした音でブルージーなフレーズを連発していた。それでも本人は、練習した事の半分も出せなかったと反省の様子。でも最初であれだけ弾ければ大したものだよ。基本的なことはほぼ押さえているから、これからはジャムにたくさん参加して人前でどんどん弾いて欲しい。楽しみながら時には失敗も経験してうまくなっていくものだからね。宮林さんのベースはさらに安定感が増し、こちらも安心してプレーに集中できたのだ。さらに小生の生徒さんの綿貫さんがサポートに駆けつけてくれ、ギタリストの藤田君、長岡君もジャムに参加。日本人ミュージシャンが一堂に会したジャムとなったのだ。お疲れさんでした！！

  2006.08.02

• イーストコースト・ツアーから戻って

  いやあ、１０日間も日記をサボってはいけませんね。毎日チェックしてくださるみなさん、ゴメンね。夕べロードから戻り、さっそくこれを書いているんだ。まずは、先々週にKirk Joseph's Backyard Grooveでシカゴにツアーで来られたニューオーリンズ在住のギタリスト、ヒロナリさん。今では山岸潤史さんと並ぶニューオーリンズにおける日本人ミュージシャンの”顔”ともいえるギタリスト。残念ながらライブは見れなかったけれど、夜は一緒に中華を食って、Buddy Guy's LegendsやKingstone Minesへ繰り出す。Kingstonでは朝の４時まで一緒にジャムってしまった。ファンキーなニューオーリンズの熱い音を運んで来てくれたのだ。お疲れさまでした。写真は、数日中にアップする予定。なんとカメラをコネチカットに置いて来てしまったのだ。たまたま知り合いの車の中に忘れたので、すぐに送ってくれることになったのは、ラッキーだったけど。まったく物無くしの天才とは小生のことだよなあ（反省）。

  2006.08.01

• ブルースギター１ヶ月間集中講座

  　写真の鈴木浩二さんは、横須賀出身のギタリスト。１ヶ月間に渡る小生のギター・レッスンを受ける為にわざわざシカゴまでやって来たんだ。　学生時代にバンド活動をしていた鈴木さんが、１５年ぶりにギターを手にしたのは１年半前の事。以下、鈴木さんの談話から。”昨年の3月頃、これといって趣味の無い私は、何か趣味を！といろいろ探していました。ふと地元の楽器屋に足を運びギターを見ました。私はギターは15年前に少しかじった程度で練習しましたが、あまりにも難しく途中で挫折しました。その時はもう一度ギターを始めようとは思いませんでしたが、ふと本のコーナーを見ると「ブルースギター・ジャムセッション」という本を見つけました。本をパラパラと見ていると、ＢＢキング、マディ、ウォータースといった私にとって懐かしい名前がありました。実は15年前ギターを練習している時ブルースは少し聞いていたので、大御所の名前は知っていました。最後のページに作者の名前がありシカゴで活躍する日本人ブルースギタープレイヤーである事を知りました。へぇ！日本人でもこんな凄い人いるんだなぁ！と思いこの本に興味を持ち、買ってしまいました。家に帰りＣＤを聞くと最初のエルモア・ジェームスのリフから本当、感動しまいた。ぶっ飛んだって感じでした。こんなに解りやすい解説とＣＤがあれば僕にも出来るかも！と思い、さっそく次の日ギターとアンプを買い練習に励みました。そして練習してるうちに、いつか私にもシカゴへ行ってジャムセッションに参加出来るかも、という希望を持ち始めていました。”　そんな鈴木さんは、昨年長年勤めていた米軍基地での仕事を辞め、シカゴに１週間の旅行に来たそうだ。”菊田さんのＤＶＤ「シカゴ・ブルース」を見て、シカゴに行っていろいろなブルース・バーで菊田さんに会えればと思い、キングストン・マインズ、ローザス・ラウンジ、バディ・ガイス・レジェンド、ブルースと有名なブルースバーを回り菊田さんの事を聞きましたが、どの店も、最近は来てないよ、今はココ・テイラーの専属ギタリストだからとの答えでした。日本に帰った後もシカゴにまた行きたいという思いは強く、留学先をいろいろ探してる時、菊田さん本人がシカゴでクラスを開いているという事を知り、これはぜひ！と思いリットーミュージックさんの方に問い合わせたしだいです。”　ということで、リットーを通して小生のレッスンを受ける事が可能か調べ始めたのが２ヶ月くらい前の事だった。そしてついに先々週からレッスンを受ける為にシカゴに上陸。週に３回のペースで始めたというわけなんだ。　ギターを再開して１年半とはいえ、鈴木さんのソロは、ブルースの気持ちいい部分をしっかり感じているのが聞いていてよくわかる。つまりブルースの美味しいところはしっかりつかんでいる。あとは、いろんなキーで対応できるようにすることと、ベーシックなリズム・ギターをやはり各キーで弾けるようにすること。今回のレッスンの最終ゴールは、バディ・ガイズ・レジェンズのマンデー・ジャム・セッションに参加することに決めた。その日は7/31。それに向けてレッスンの熱は４５度のベクトルを描いて急上昇中なのだ。　ということで、ジャムセッションの模様は、またこの日記でアップしよう。

  2006.07.20

• 久々にギグ・スケジュールなど更新

  ウェブ・ホストの会社が知らない間につぶれていて、気がついたら更新できなくなっていた。これ、小生のウェブのこと。2001年に続いて2度目だ。知らせの一つでもよこせよな、と憤るが、つぶれる方にしたらそんな余裕はねえんだろうなあ。とりあえずメイルのサーバーでもあるアースリンクにウェブ・ホストも任せて、一からデーターを入れ直し。ついでにいくつかアップデイトしてみた。ほんと、ウェブはきちっと更新しなきゃだめだよな、と反省モードの菊田。とりあえず今日はライブスケジュール、日本語プロフィール、英語プロフィールをアップデイトしたので、みなさんチェックよろしくです！　新進気鋭デザイナーの阿部ちゃんが、近々ウェブを全面デザインしてくれることになっている。まずはインデックスのページが夏中にはアップできそうだ。こちらもぜひ楽しみにしていてね。

  2006.07.18

• ソルトレイク・シティへ

  ユタ州ソルトレイク・シティ。2002年冬期オリンピックが記憶に新しい。普段はノンビリした大自然に囲まれたおおらかな街だ。モルモン教の中心都市とは言っても、バーや酒屋をけっこう見かけた。オリンピックを境に開放的に？なったのかな。ライブ前にはココがポスターにサインペンを走らせる。ジェイムスとのギグはエキサイティングだけど、小生にとってのアメリカの母親でもあるココとのギグは、ファミリー・イベントにも似た安心感があるね。足の調子が相変わらず良くないけれど、元気にこうして活動しているだけで嬉しくなるビッグ・ママなのだ。今日は、オリンピック・スタジアムのすぐ先にあるアンピ・シアターでのギグ。モニターの返し音が良く、小生的にはかなり気持ちよく弾けたライブだったね。自分の音の聞こえ方でプレー内容が変わってきたりするのが、ライブの摩訶不思議な部分でもある。ライブの後は、ホテルに帰ってシャワーを浴びた後は、数独に講じる。最近アメリカではSUDOKUとして相当な人気で、数独本がどこでも手に入るんだ。ダイエット中と言う事もあって、酒は控えて頭の体操ということで。

  2006.07.18

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  カナダのトレンブラントへ

  土曜は、カナダへ。モントリオールに飛び、さらに車に揺られること1時間半。トレンブラントに到着した。ここは大自然が広がるデュモント・トレンブラント国立公園の入り口の街で、スキー・リゾート地でもあるんだ。夏場には１ヶ月に渡る音楽祭が行われているんだね。モントリオールやトレンブラントがあるケベック州はフランス語圏で、写真の様に町並みも実にヨーロッパなのだ。ホテルのフロントでは、肌の白い金髪美女が迎えてくれた。「ボンジュール、ムッシュー」と言われるとドキっとくる。フランス語には官能をくすぐる響きがあるようだ。日本で言うペンション風のスイートルームは木に囲まれ、窓を開けると乾いた高地の風に乗って鳥のさえずりが流れ込んでくる。日暮れと共に、中央広場に作られたステージで演奏する。今日はジェイムス・コットンとのギグ。あっという間に2000人くらいが集まり、え？こんなに人がいたの？と驚いてしまった。　もう数日こんな街でノンビリできたら最高だけど、これもミュージシャン稼業の宿命だ。翌朝４時には起きてモントリオールに向かい、朝一の飛行機でシカゴに帰ってきた。すぐにスーツに着替えてインディアナ州ゲイリー市へ向けて車を飛ばす。モライア教会の最初の礼拝が終わるころにはさすがに睡魔が襲って来たね。帰り間際、ジョンソン牧師から、「午後の礼拝でもプレーできるかい？」と言われ、帰って眠るつもりでいた小生だが、OKと一言。結局夜の7時過ぎまで教会でプレーすることになった。ゲスト・シンガーが来たりして最高の盛り上がりだったのはよかったけど、さすがに眠い。なんとか１時間のドライブをして、帰るなりメシも食わずベッドになだれ込んだのだった。

  2006.07.11

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  東部から中西部への怒濤のロード

  　ニューヨーク州ハンティントンに飛び、ココとのショウ。翌日シカゴに一旦帰り、ジェイムスのヴァンでニューヨーク州シーラキュースへ14時間のドライブ。さらにミシガン州に行った後で、再びシカゴに戻って今度は自分の車でインディアナ州ゲイリーへ走り、モライア教会でゴスペルをプレーしてそのままアイオワ州ダヴェンポートへ3時間のドライブだ。この1週間は寝ている以外はほとんど車に乗っていた感じがするよ。　毎年そうだけれど、フェスティヴァルではいろんなミュージシャンとの出会いがある。シラキュースでは、ソウル・サヴァイヴァーズがよかったね。ギターのコーネル・デュプリーとキーボードのレス・マッキャンを中心としたソウル・ジャズのグル－プだ（写真上）。ライブの前には、「このフ○ッキン・アンプは使えねえぞ。違うのねえのか？」とプロモーターが用意したフェンダーのアンプを巡って悪態をついていたコーネルも、話してみればユーモラスな気のいいオジサンだった。曲を追うごとにジワっと染み入るコーネルのギターは月並みな表現だけど、音楽の深さを思わずにはいられなかったね。　昨日出演したダヴェンポートのミシシッピー・アレイ・ブルース・フェスは、シカゴ・ブルース・フェスに次ぐ中西部第２の規模を誇るフェスティバルなんだ。ジェイムスのバンドをトリに、デルバート・マクリントン、メイヴィス・ステイプル、ギター・ショーティー、ケニー・ニール、ロニー・ベイカー・ブルックス、エリック・ビブなどが3日間に渡って出演した。　写真下は、フェスティヴァル会場へのリムジン車内風景。小生の右側には、ジェイムスの40年来の友達でもある元マディ・ウォーターズ・バンドのドラマー、ウィーリー”ビッグ・アイ”スミスの姿も。左隣のマークの巨体に小生は押しつぶされそうだ（笑い）。　今週木曜（7/6）は、JWウィリアムスとB.L.U.E.S（3519 N Halsted St）にてギグ。久し振りのシカゴでのギグなので、こちらにお住まいの人たちはぜひチェック・アウトくだされ。よろしくです！

  2006.07.03

• サッカーって何？

  先日のブラジル戦、英語で言えば"Got a butt kick so bad"ってとこだろうか。生放送を見た翌日に、テレビ・ジャパンの再放送も見ると小田ケン。「今度は勝つもしれないですからね」。再放送だっつうの。（でもその気持ちはよくわかる）。 それにしてもアメリカではワールドカップのメディアの扱いがこんなもん？っていう程度で悲しくなる。日本ークロアチア戦はスポーツ専門のＥＳＰＮでも放映なし。ミュージシャン仲間の中にはサッカーって何だ？とのたまうバカ者もいて呆れるよな、ほんと。 ところが、さすがスペイン語放送では毎ゲームちゃんと放映していて、何度もお世話になったね。ゴールが入った瞬間の 「ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール」っていうアナウンスが実にラテンなのだ。 先週のこと、ウチが口座を持つＣバンクに、ちょいと用事があって行ったときのこと。出てきた行員がポーランド出身の男性だった。肝心の話が最初の10分で、あとの15分はワールド・カップの話題だったという嘘のような本当の話もある。ナカタは調子がいまひとつだな、ナカムラのほうが動きがよかった、なんてよく知ってる。ちなみに、メキシコ出身の彼の上司は、メキシコ戦の日は休暇をとってテレビに釘付けになっていたそうだ。 同じ国でもこんなに温度差があるのもアメリカらしいか。

  2006.06.25

• ローリー・ベル！！

  （Photo by Kenji Oda：左からシュン、アリアちゃん、ローリー、スーザン）　　シカゴのノースサイドにあるタワー・レコードへ繰り出す。　同店にてローリー・ベルのドキュメンタリーDVD『Mercurial Son/ The Blues Of Lurrie Bell』と、デイヴィッド・ホワイティーズの新著『Chicago Blues/ Potraits And Stories』の発売記念ライブが行われたんだ。　ローリー・ベル。この名前を聞いて胸を熱くするシカゴ・ブルース・ファンは、日本にもかなりいるだろう。小生もその一人だ。偉大なハーモニカ奏者のキャリー・ベルを父に持ち、幼少時からブルースの英才教育を受け、10代にしてその才能を開花。将来を約束されたブルースマンだったハズが、度重なるドラッグとアルコールの罠にハマりもがき苦しみ、才能に見合った音楽活動をできずにきた。それでも、フラっと現れてはバンドに飛び入り演奏した時の、凄まじいパッションと熟練のプレーに誰もが釘付けになってしまう。　そんなローリーも、彼を深く理解するスーザンに出会い、昨年は長女アリアちゃんも生まれ、彼の人生でたぶん初めての家庭的な安らぎを得たのではないだろうか。この日のローリーの話し振りやプレーにはドッシリした落ち着きと貫禄が伺えて、小生は実に嬉しくなった。　ローリーが完全に復活となれば、シカゴ・ブルースシーンにとってこれほど心強いことはない。というか、シカゴ・ブルースの将来には彼の活躍が絶対に必要なのだ。そしてファンにとってはいち早い来日も待たれる。これはなんとか実現したいもんだよね。

  2006.06.22

• ココとのミシガン路

  　ミシガン州グランド・ラピッズ市へロードに出る。シカゴから車で3時間の距離だね。　ミシガン州にはデトロイトだけでなく、アナーバー、グランド・ラピッズ、フリント、ランシング、カラマズーなど歴史ある情緒漂う古都が多いんだ。そしてブルースの盛んな土地柄でもある。小生のDVD「シカゴ・ブルース」のアメリカ版が発売されたのは４年くらい前のこと。シカゴ近辺ではあまり見かけなかったのに、ミシガンの小さな楽器屋ではちゃんと取り扱っていた、なんてこともある。　ライブは、芝生のきれいな野外音楽ホール、”マイヤーズ・アンピシアターにて”。ココが孫娘のように可愛がるシンガー、シェミカ・コープランドのバンドが今日のオープニング・アクトだ。彼らが1時間のショウをやって、我々ブルース・マシーンが8時過ぎにステージに上がる。シェミカのギタリスト、アーサーが1963年制のフェンダー・デラックス・リヴァーブ・アンプを快く貸してくれた。ヴォリュームを5にすると、まさに”クリーム”という形容がピッタリの気持ち良いオーバードライブ・サウンドが出て来た。ソロの時もペダルなしでグイグイいく。このアンプ、市場では＄2000（約23万円）で取引されているんだ。ヴィンテージ・アンプの中では一番人気ではないかな。小生も17年くらい前に、64年製の同アンプを持っていたのことがあるんだけど、生活費を捻出する為に安価で売ってしまった。今となってはまったくバカなことをしたもんだと後悔するも遅し。人生そういうこともあるよね。　ココは、糖尿と痛風からくる足の痛みに苦しんでいた。喉の調子は良かったけれど、ステージ中央まで歩くのさえ辛そうだったね。椅子に座る時間がいつもより長かったし、ちょっと心配する。でも最後までしっかりステージを務め、スタンディング・オベーションの中、楽屋に帰っていった。

  2006.06.17

• ジェイムス・コットンの人となりは？

  （写真　Koki Kikuta）　結局日本の時間にアジャストすることなく（つまり時差ぼけのまま）シカゴに帰って来たせいか、二日目にはほとんど普通の時間に戻った。これは楽でいい。　改めて、先週はCOTTON CLUBに来てくれたみなさん、ありがとう。そしてお疲れさまでした。　ジェイムス本人もかなりエンジョイしていた様子。彼とプレイしはじめて約１ヶ月。彼の人となりがずいぶん見えて来たね。まず一言で言うなら、”大きな子供”か。楽しい時にはケラケラ笑い、バンドのメンバーを下に見る事も無く、同じ目線で行動している感じがする。みんなから、ヘイ、メンと気安く呼ばれ、時にからかわれたりもして、その度大きな腹を揺らして笑っている。あれだけの大物になるのに、こういうのはかなり珍しいね。　バンドに入って最初の1、2回目のライブの後は「I like the way you paly,man」というだけで、あそこをこうしろ、ああしろ、とは一切言わない。逆に小生の方が、フレーズの合間のフィルインとか、コードの入れ方とか、リズムの切り方やタイミングなんかを彼が吹きやすい様に合わせたいと思うのだけど、そういう指示は一切無し。やりながら覚えていけ、という昔気質のブルースマン的メンタリティとも言えるか。そこで、ドラムとベースのマック兄弟にアドバイスをもらったりしたんだね。ステージでのジェイムスは演奏に没頭して、音を通してメンバーをグイグイ引っ張る。人のソロはよ～く聞いていて、小生のソロの時でも、ジェイムスにインタープレイを挑んでいくと、合わせてハーモニカを吹き返して来たりもして、かなり柔軟に音を楽しんでいる。　そのへんはもう一人のボス、ココ・テイラーとは対照的なのが面白い。ステージ以外では心優しい母親の顔になるココだけど、ステージ上ではしっかり睨みを利かせた大ボスに変身。どの曲にも弾くべきギター・パートがしっかりあって、それを弾かないとギロっと睨まれる。音に締まりがないと感じれば「Com'on with it!!」と怒声が飛んでくる。その代わり、ソロになったら前に出て思い切り好きなだけ弾きなさい、というガス抜きも忘れない。このへんは長年荒くれブルース男達を従えて来た彼女なりのノウハウがあるのだ。　シカゴのオヘア空港で、別れ際に「いい旅だったね。ありがとう」とジェイムスに言うと、「Yeah, I like you,man. I'll see you in two weeks」と答えが返って来た。２週間後にはニューヨーク州のシラキュース市にてフェスティヴァル出演。楽しみだ。　そして明日は、ココとミシガン州グランド・ラピッズ市のMEIJER GARDENS AMPHITHEATERにてシェミカ・コープランドとのジョイント・ライブ。こちらのレヴィーも数日中にアップするね。

  2006.06.15

• シカゴに戻るー怒濤のツアーを振り返って

  （写真提供　COTTON CLUB JAPAN）　　先ほど、無事シカゴに到着。荷物を整理しながら旅の余韻に少しだけ浸ってみる。 　アイオワから始まって、アーカンソーへの2日間にわたる移動。さらにライブの後に寝ずに6時間走りセント・ルイスへ。セント・ルイスで飛行機に乗り、シカゴ経由で東京へ。20数時間乗りっぱなしで腰はほぼ抜けていた（笑）。東京では、コットン・クラブ・ジャパンでの5日間、10回に渡るショウがあった。 　楽屋では酸素吸入器を着けて、必ずしも体調は万全ではなかったジェイムスだけど、ステージではそれは見事な吹きっぷりだったね。あまりに強力なハープ・プレーに、小生はギターの音色という一番基本的な部分を含めて、もう一度ギター・プレーを見直さなければ、と痛感してしまった。そんなことで、自分的に課題はいくつか残ったツアー、逆に言えばさらに成長するために素晴らしい経験をさせていただいたのだ。 　コットン・クラブでは、多くのみなさんにお会いすることができたのはとても嬉しかった。励ましの言葉をいただいたりして心温まる時間をすごさせていただきました。みなさん、謝謝です！！　

  2006.06.12

• さあロードだ。中西部から東京へ。

  　数時間後に11日間のロードが始まる。 　まずはアイオワ州デモインズ市へ。そして明後日はアーカンソー州のユーリカ・スプリングス市でフェスティヴァルに出演。その後セントルイスから飛行機に乗って、一路東京へ。 　コットン・クラブ・ジャパンでのライブは6/6～6/10の5日間連続で。多くのみなさんに会える事を楽しみにしているよ！ 　ツアーにはパソコンを持っていかないので、メイル等返事は遅れるので、その旨ご理解くだされ。

  2006.06.01

• 渡米20年記念日。ワオ～

  　（写真）若き日の？バークリー音大の学生証。けっこう貴重な証拠品なのだ。　ちょうど20年前（1986年）の今日（5/26）、弱冠19歳の菊田少年は、アメリカの地に降り立った。ボストンのローガン空港からバークリー音大までタクシーで約20分、とにかく太陽がまぶしかったのを鮮明に思い出す。道中ボストン・コモンに広がる緑が青く茂って、本当にきれいだった。5月末はボストンの一番良い季節だったのだ。　バークリーの学生寮で受付を済ませて、与えられた部屋の薄いマットだけが敷かれたベッドに横たわって、これから繰り広げられる未知の世界への4の希望と、6の不安に胸が一杯になったあの気持ちがこれを書き始めた瞬間に舞い戻ってきた。同時に、出発の朝、近所のバス停にまで見送りに来た母親のなんとも寂しそうな顔や、経由で寄ったニューヨークのケネディー空港で白タクにひっかかり、ホテルのずいぶん手前で降ろされて、黒人の運転手にボッタクられたことなど（あの時は殺されるかもと覚悟を決めた）、何年も忘れていた記憶がどんどん引き出されてきたよ。　20年後の自分なんて想像できなかったし、ましてやシカゴでブルースをやるなんて思ったこともなかった。でもあの日と全く変わらないのは、ギターが大好きで、音楽が好きで、ずっと音楽と一緒に生きてゆきたいという思いだね。いろんな失敗も重ね、辛い思いをしても、音楽を辞めたいと思った事が一度もなかった。今こうしてギターを続け、それで生活させてもらっているのは全くラッキーだし、いつも何かに見守られていたのだろうと、素直に思えるのだ。　20周年記念だから、というわけではなく全くの偶然なんだけど、夕べはカメラマンの小田ちゃんのスタジオで新しいウェブ・サイト用の撮影をやった。この夏までには全編リニューアルしたホームページをアップできると思う。ぜひお楽しみに。　今夜は誰にも邪魔されず、たった一人、祝杯をあげるのだ。

  2006.05.27

• 本物のプロに脱帽

  　アメリカで生活していると、いろんな業種である特定の人種が大きく関わっていることを発見する。　例えば、ダンキン・ドーナッツはどこに行ってもインド系の人たちがやっているし、クリーニング屋はほぼ韓国人の専売と言ってもいいくらいだ（ちなみに戦前は日本人＝クリーニング屋という時代もあったようだけど）。　小生の家の近所にもいくつかクリーニング屋があって、やはり韓国系のファミリーが経営している。半年ほど前の事、それまで7、8年やってもらっていたRクリーニング屋が値上げをしたのを機に、少し安いOクリーニング店に替えてみた。50歳代くらいの韓国人ご夫婦が経営する店だ。人の良さそうな、普通のオッサンという風情の旦那さんの凄さを発見したのは、3回目に行った時。小生がドアを開けて入ると、顔を見ただけで伝票にKikutaと小生の名前を記す。ヒエ～、なんで覚えてるの？と聞くとニコっとして「これが私の仕事ですから」と一言。ビニールのカバーがかけられた服が何百着もあるからお客さんの数だって相当なものだろうに。もちろんクリーニングの腕もバッチリなのだ。　そして今日の事、店に入って『ハロー』と言うと、奥で仕事をしていた旦那さんは小生の服を持ってカウンターに出て来た。顔も見ずに、声だけで小生だとわかったのが凄すぎる。ここに通うのはせいぜい2週間に一度。時には1ヶ月もいかなかったりするのに。記憶力の良さを超越したものがあるよなあ。この人は宇宙人か？とまで思った小生なのである。　もちろん彼のファンになってしまったのは言うまでもない。いやあどんな職種であれ、本物のプロから見習う事は多いっすよね。

  2006.05.24

• ジェイムス・コットンとの初ライブ

  　先週、アイオワ州フォート・マディソン市でジェイムス・コットンとのライブがあった。リハーサルなし、マネージャーから音源が届いたのがライブの前日、さらにもう一人のレギュラー・ギタリスト、トム・ホランドは奥さんの出産に立ち会うため欠席。つまりぶっつけ本番で全てのギター・パートを一人で担当というなかなかチャレンジンジングな状況での初ギグとなったのだ。　でもジェイムスのライブは何度も見ているし、小生なりにライブに向けてスタイルの再確認もしてみたんだ。ジェイムスのバンドのギタリストといえば、古くはマット・マーフィーからマイケル・コールマン、この１０年ほどはリコ・マックファーランドと、強力なリズム・ギタリストが常に在籍してきた。特にマイケル以降は、リズムギターのアプローチがかなりファンキーだよね。シャッフルのリズムを弾いても感覚的にはファンクに近い。そんなことを頭に叩き込んで、リズムのアプローチを考えてきた。ソロのほうは、自分のプレーをすれば特に問題はないだろう。とにかくリズムをかなりプッシュするコードワークとソロが求められるのだろう、と思ってステージに臨む。　本番では、ドラムのマークやベースのチャールズのヘルプもあって、ほぼ思い描いていたような感じで進んだ。古いスタイルのスロー・ブルースでは、レギュラー・チューニングでスライドも弾いてみた。結果的に、これも功を奏したようで、ジェイムスはかなり気に入ってくれたようだ。これからも一緒にやってくれ、と言ってくれたので試験にはパスしたようだね。　再来週からアイオワ、アーカンソーと廻ってセント・ルイスから日本へ向かう。それまでにさらにジェイムスのサウンドに溶け込むようアイディアを絞ってみようと思う。　来日公演は、東京丸の内にあるコットン・クラブ・ジャパンにて。6/6から6/10の5日間だよ。チケットも発売中。

  2006.05.19

• ニューオーリンズ旅行記（二日目）

  　朝10時頃目覚める。キャナル通りに面したシェラトン・ホテルの34階からの見晴らしは最高だ。蛇行するミシシッピーの濁水が眼下に広がって壮観そのもの。　スタンと近くのダイナーで朝食を。クラウフィッシュ・オムレツというなんともニューオーリンズらしい卵料理をオーダー。これにホットソースをかけて食べたけど、なかなかの味だったね。　夕方4時半にロビーコール。ロビーに降りると、見かけた顔が。サム＆デイヴのサム・ムーア氏がいるではないか（写真）。３年くらい前にコペンハーゲン空港で会って以来。気さくな人柄は相変わらずだ。　　ジャズ＆ヘリテッジ・フェスが行われているフェアグラウンドまでの１５分ほどの道のりは、ショックなものだった。どの家や建物にも背丈ほどの高さに横線がクッキリ浮かび上がっている。水がこの高さでしばらく溜まっていたことを物語っている。所々、家が木枠だけを残して斜めに傾いている。水圧の強力さを実感。廃屋になって板でドアや窓を塞いでいる家もずいぶんみかけたね。そして極めつけは、高速道路の下に何キロにも渡って放置された廃車の群。その数5万台。水没してどれも泥だらけだ。この車を誰がどこに持って行くかで、キナ臭い利権争いもあるそうだ。　変わって、フェスの会場は５年前とまったく同じ光景だったね。お客さんも多く、カトリーナの後遺症はここでは感じることはなかった。ステージ前に、まもの、ヒロナリ夫妻とギタリストの山岸潤史さんも来てくださりしばらく談笑する。ショウは、50分と短いものだった。ココの調子も良く、バンドのまとまりもなかなかだったのではないかと思う。　このところギグがずっと続いていたせいか、ホテルに帰ると眠りに落ちてしまった。まものちゃんの電話で起こされたのが、夜中の1時半。ギグが終わったばかりのヒロナリさんと、ショウ君も一緒に”ハウリン・ウルフ”へ。パパグロウズ・ファンクを見る。もうノリノリのステージだ。ひたすらファンクで押す押す。山岸さんのギターはスゲーいい音でリズムが切れまくる。ソロも圧巻。リズム隊がこれまたスゲエんだ。噂のジェリービーンのドラムは素晴らしかったね。興奮しながら聞いていると、山岸さんが”ステージに上がって来い”と合図してくるので、思わぬ飛び入りをさせていただいた。６３年製のテレキャスターがホントいい音してて気持ちいいんだよ。山岸さんありがとうございました。　ということで、４時過ぎまでライブを堪能してホテルに戻る。もう数日いたかったが、帰ってギグがあるので朝の便でシカゴに帰らなきゃいけないのが、実に残念。再訪が近い事を祈りたい。まものちゃん、ヒロナリさんありがとう！

  2006.05.15

• ニューオーリンズ旅行記（初日）

  　ニューオーリンズのルイ・アームストロング空港に夜８時半くらいに到着。もっと早い便で来たかったのに、やはりジャズ・フェスのシーズンでチケットがとれなかったようだ。　工事中でホテルまで1時間以上かかってやっとチェックイン。くそお～。外出したくてウズウズしている小生としては１分のロスでも少なくしたいところなのにい。N.O在住のシンガー、まものちゃんに電話すると、すぐに迎えに来てくれた。愛車BMWに乗せてもらってバーボン・ストリートへ。旦那さんでギタリストのヒロナリさんがプレーしている店まで一緒に行き、その後はフレンチメン通りにあるd.b.a.へ。Papa MaliとEddie Boがやっていた。見ればスーザホーンをベース代わりに弾いてしまうKirk Josephもいる。　店内はすごい人だ。立つ位置を探すのにも苦労する入り。バンドはファンキーなナンバーを続けざまにどんどん繰り出してくる。これこれ、これがニューオーリンズ・サウンドだ。スーザホーンがベース・アンプを通して音を出しているのはカルチャー・ショック。低音でブカブカ鳴っているのがまたいいんだ。回りを見れば踊りまくりの汗かきまくり。これはビールが旨い。　カトリーナの後遺症をあまり感じないすごい盛り上がりだったけど、まものちゃん曰く、これはジャズ・フェスやマルディグラのシーズンだけよ、とのこと。深い傷跡は、翌日目の当たりにすることになるのだ。続きは明日。

  2006.05.12

• 生徒達とのスクール・パーティー

  　先々週この日記でお伝えしたMotown Aliveで、今日はサウスサイドにあるブレアー・スクールにて早朝ギグ。ここは、ハンディキャップを持った児童達が学ぶ小学校だ。　9時半になると、先生達に引率されて生徒達が集まって来た。足にコルセットを巻いた子供もいれば、ダウン症の子供もいるし、車椅子に寝たきりの子供の姿もある。約50人全員が何らかの肉体的なハンディを持った子供達だ。　今日やった曲のリストは、1, Tears of the Crown / Smoky Robinson & The Miracles2, My Guy / Mary Wells3, Reach Out / Four Tops4, Signed, Sealed, Delivered I'm Yours / Stevie Wonder5, Baby Love / Diana Ross & The Supremes6, Track Of My Tears / Miracles7, My Girl / Temptations8, Brick House / Comodoors 9, I'm losing you / Temptations　満足に歩けない子供が、曲に合わせて立ち上がって体を揺らしている。車椅子に寝たきりの子供が頭と上半身を一生懸命揺らしながら音を楽しんでいる。声を出せる子供達は、声を振り絞ってバンドの音に合わせている。例え障害があろうとも、彼らはこの瞬間を最大限に楽しむことを知っているのだ。　演奏が終わって、彼らに拍手を送らずにはいられなかったよ。PS、ニューオーリンズ日記は、数日中にアップするね。

  2006.05.11

• 今週はニューオーリンズへ

  　今週金曜（5/5）は、ニューオーリンズ・ジャズ＆ヘリテッジ・フェスに出演することになっている。　同フェスは全米でも有数のメジャーなフェスティヴァルで、小生は5年前にも出演させていただいて、その規模の大きさに圧倒されっぱなしだった。毎日50以上のバンドが10個のステージに別れてプレーするまさに音楽の祭典。今年もすごいメンツが並んでいるね。ザっと挙げただけでも、ファッツ・ドミノ、ブルース・スプリングスティーン、ボブ・ディラン、ポール・サイモン、ライオネル・リッチー、ハービー・ハンコック、アーマ・トーマスなどなど。我々ココ・テイラー＆ブルース・マシーンは、サザン・コンフォート・ブルース・ステージのトリで、6：10pmから出演。　昨年のカトリーナの影響で日数も減り、同フェスの中心的存在のネヴィル・ブラザーズが出演しないなどの残念な状況もある。そしてそんな時だからこそ出演者と観客の一体感がすごくなるのではないか、と期待もしている。もちろんこの日記でも大きくアップするのでお楽しみに。　さらに5/12（金曜）は、アイオワ州フォート・マディソン市のシンプリー・ザ・ブルース・フェスティヴァルにジェイムス・コットンのバンドで出演する。ジェイムスとの初ライブだね。日本ツアーだけでなく、レギュラーとしてやって欲しいとありがたい誘いを受けたんだ。ココのバンドとの両立が果たしてできるのか今の時点では全くわからない。でもジェイムスとやるチャンスはひょっとするとこれが最後かもしれない、と思うと引き受けずにはいられなかったね。何ヶ月続くかはわからないけれど、1回1回のギグにベストを尽くしてプレーしたいと思う。

  2006.05.02

• ジェイムス・コットン・バンドとの帰国決定

  　先週突然出た話なのだけれど、シカゴ・ブルースの大ベテラン・ハーモニカ奏者、ジェイムス・コットンのバンドで一時帰国することが決まったのでお知らせだよ。　６月６日から１０日までの５日間連続で、東京駅のすぐ近くにできたコットン・クラブ・ジャパンにて。11日の追加公演（同店にて）の可能性もあるそうだ。残念ながら今回の帰国ライブは東京のみ。地方のみなさんもチャンスがあればぜひ東京まで見にお越し下さいませ。　ジェイムス・コットンは、マディ・ウォーターズとの活動をはじめ、この４０年間ブルース界の中心で活躍してきたハーモニカ奏者だ。最近は喉を痛めて歌は歌えないけれど、スーパーハープぶりはまったく衰えを知らず健在。彼のような創成期から活躍してきたブルースマンはもう数えるほどしかいなくなってしまったね。　日本ツアーに参加して欲しいとジェイムスのマネージャーから連絡があった時、ちょうど同じ週にココとのギグも組まれていて、ちょっと迷った。そこでココに相談すると、心優しいココは、「あなたの国でのショウなら行って来なさい。楽しんでくるのよ。帰ったら私との仕事が待ってるわよ」と言ってくれたので、ジェイムスのツアーに参加することを決意したんだ。　ということで、会場で多くのみなさんと会えることを楽しみにしているよ！

  2006.04.28

• Motown Alive

  　先月発売された”Respect The Stones”（ジェネオン・エンタテインメント）に入っている”Miss You”でベースを弾いてくれたJR（本名はLovely Fuller.Jr)が先週の事、彼がやっているバンド”Motown Alive”のメンバーに小生を誘ってくれた。　Motown Aliveはその名の通り、レパートリーの90％はMotownレーベルから発売された曲で、残りも60～70年代あたりのR＆Bやソウルだ。ブルースはまったくないけれど（もちろんルーツにブルースはあるとしても）、Motownも大好きな小生としては嬉しい誘いでもあった。ココや自分のバンドのスケジュールを優先しなければいけないけど、それでもいいのなら、という条件付きで承諾。JRもそのへんは理解してくれたので、メンバー入りとなった。　このバンドの面白いところは、Motownに選曲を絞り、この伝統あるレーベルを後世に伝えようと小中学校に売り込んだところ、先生達のウケも非常に良く、音楽の課外授業としてボランティアではなくギャラの出る仕事を得るようになったことだね。それだけで月に4、5本は入っているんだ。しかもほとんどが午前中にプレーするから夜のギグにも支障がないのも好都合。　そこで今朝さっそく小学校でのライブ第一弾をやってきた。週末の3日間で20曲近く覚えて、テスト前に暗記物を詰め込んだ高校生のような気分で朝の９時半から演奏。　ということで、さらなる続きは、次号ブルース＆ソウル・レコーズ誌のコラムにて記してみたいと思う。

  2006.04.24

• オーティス・ラッシュのDVDでブルースを吹き飛ばせ！

  　もう10年ほど前の事、シカゴ・トリビューンの某ライターがこの世で避けて通れない物は”マイケル・ジョーダンと税金だ”と書いた。そして最近のこと、マリナーズのハーグローブ監督は同じトピックについて”死と税金とイチローのヒットだ”と言った。どちらも実に的を得ている。その避けて通れない税金申告の季節がきた。一昨年から税金ソフトを使っての自己申告をやっているけど、今年も先週寝る間を惜しんで頑張り、終わったハズが・・・・記入上のミスで却下されてしまった。しかも、訂正して送ろうにも家人のパソコンがウィールスでクラッシュ。こんなことなら小生のマックでやればよかったと後悔するも後の祭り。　日本食のスーパーマーケット”Mitsuwa”に買い出しに。サッポロ一番のみそラーメンを買おうとすると、品切れ。店長のH氏に「ないんですかあ？」と言うと、H氏いわく鳥インフルエンザの影響で、鳥、豚、牛などの動物からダシをとった日本食品はアメリカへの輸入が禁止されている、と。見れば、棚にずいぶん空間が目立つ。「他にも人気商品が入ってこないんで、売り上げがガタ落ちですよ」と嘆くH氏。ブッシュが大統領になってからもう最悪ですね、と泣きも入る。ロードから帰って食べるみそラーメンの楽しみも奪われてしまった・・・・。　こんなブルースを一発で吹き飛ばしてくれるのは、もうこれしかない。オーティス・ラッシュの新しいDVD『Live at Montreux 1986』だ。数年のブランクを乗り越えて復活したオーティスのみなぎるエネルギーと充実感が全ディスクに浸透しているよ。歌もギターもなんでこんなにかっこいいんだ？と溜飲を下げずにはいられない。思い入れのあるファンなら涙を誘われる映像だね。ゲストでエリック・クラプトンとルーサー・アリスンも参加している。エリックのルックスとストラトの音色が80年代を思い起こさせてくれるけど、それ以外はほとんど時間の流れを感じさせないから不思議だ。これもブルースが持つ普遍的な力かもしれない。こんな素敵なディスクを送ってくださったマサキ夫人に心から感謝したい。みなさんにもこの1枚はぜひぜひ見て欲しいね。

  2006.04.18

• ギター小僧が二人集まると・・・・

  　お互いのギターを見せ合って、これは何年製でこのパーツはどうの、ピックアップはどうのと愛器の話が延々と続く。これで酒のツマミに充分なってしまう。ギターの写真を撮り合って人にまで見せてしまう露出癖も共通だ。ギターの為なら何百キロもドライブをいとわず、地球の裏側にだって行ってしまう。同類に対しては嗅覚が敏感に働き、すぐに仲良くなってしまうのだ。　自分でも相当なギター・フェチだと思うが、彼も負けてないね。Jamsbeeのギタリスト、シンスケが作っているブログはそんなギター、音楽フェチを充分ウナラせる充実のサイトだ。彼のシカゴ旅行記は、シカゴのブルース・シーンをかなり細かくリポートしていてまるで自分が見て聞いた気分にさせてくれる。疑似トリップ、御体験あれ！

  2006.04.13

• ストーンズ旋風は中国へ（マイクさんと一緒に）

  　Photo by Pierre de Beauport　ローリング・ストーンズ旋風が日本を去り、中国の上海でライブをやったようだね。メイルやMixiなどでストーンズのライブを見に行ったと報告をいくつかいただいていた。チケットが高かったけど、見ずにはいられなかった、という人もずいぶんいたようで、そのへんはさすがストーンズ。ファン心理をしっかり理解しての巨大ロックンロール・ビジネスなのだ。　　日本全国で何十万人のストーンズ・ファンがいるのかは定かではないけど、１番のファンはこの人をおいては他にいないでしょう。写真右端の人物がその人、マイク越谷さんだ。‘64年から実に40年以上ストーンズを追いかけ、ストーンズ・ファンクラブの初代会長でもあり、ストーンズの本を何冊も書かれているし、先月発売になった『Respect The Stones』（ジェネオン・エンタテインメント）のプロデューサーもされた。本屋にいるとローリング・ストーンズという文字だけが浮き出て見えると言うからスゴイ（笑い）。　さらに左から２番目の人物は小生の愛器ブルース・ギターの製造者ムーニーさん。今回のツアー中にミックにグリーンのブルース・ギターをプレゼントしたそうだ。ミックは喜んでいたらしい。ミックが弾く姿を想像するだけで興奮してくる。　そして写真の左端はミックの息子さんで、右から二人目の人物は言うまでもなくミック・ジャガー本人。和気あいあいした雰囲気が伝わってくるいい写真だね。みなさんお疲れさまでした。マイクさんは上海にも見に行くって言ってたから今は中国か。すごいパワーだよなあ。　ちなみに、噂では先日発売になったばかりのJamsbee with Shun Kikuta"Musicmanship"がキースの手に渡ったと言う。キースの感想をいつか聞いてみたいよね。

  2006.04.12

• 濃い夜に・・・サウスサイド・ブルース・ツアー

  　昨夜、菊田俊介と行くサウスサイド・ブルース・ツアーが行われた。　７時に、テンスケ・マーケット前の駐車場で集合。参加者のみなさんと小生、ドライバーの総勢7人がサウスサイドへと向かった。少人数ということもあり、道中みなさん全員とゆっくり話すことができたのは嬉しい。某大手生命保険会社の支店長Sさんや、大手企業から研修に派遣されてシカゴに来たMさん、元大型トラックで全米を駆け回っていた運転手Sさん、イリノイ州で数本の指に入る優秀な保険エージェントAさん、そして明るい華を添えてくれたかわいらしい主婦のMさんなど、職種も全く異なるみなさんだけど、サウスサイドを楽しもうという一体感が車中に充満していて、話が弾む。　まずは９０th通りにあるSoul Queenへ。ソウル・フード食い放題の嬉しいレストランだ。みなさん初めて体験するソウル・フードに舌鼓を打つ。かなり好評で、３回くらいおかわりをしていたね。　１時間ほど食事を楽しんだ後で、74thにあるLee'sへ。以前やっていたジョニー・ドラマーのバンドがこの日は入っていなくて、全く知らないグループがプレーしていた。１５年もシカゴでやっている小生でさえ知らないブルース・バンドがあるのだからサウスサイドは奥が深い。メンバーに自己紹介して（彼らは小生の事を知っていたので話は早かった）、２セット目で２曲飛び入りさせていただく。数人のおばちゃんが腰を卑猥にクネクネさせて踊っていたり、オッチャンがかけ声をかけてきたりと店内の盛り上がり度は高かった。演奏の後には、7ドルが入ったバケツが小生のところに回って来た。チップらしい。これもサウスサイド流の愛情表現なんだね。ノースやダウンタウンのお店では体験できないサウスのライブをみなさんも充分満喫されたようで、ぜひまた来たい、と言ってくださった。　バスの中では、鼓笛隊で使われる鉄琴のような楽器の名前を巡って火花が散った。「ベルリラ」と主張するAさんに対して研修員のMさんは「リラベル」と主張。車内はベルリラ派とリラベル派に別れてケンケンガクガクあーでもない、こーでもないの応酬が続いた。小生は？そんな楽器があったことくらいしか覚えてなくて名前なんてチンプンカンプンなのであった（翌日になって主婦のMさんがWEBで調べたら「リラグロッケン」と言う正式な名前があり、「ベルリラ」でも通じると発見）。小生以上に音楽知的レベルが高いみなさんだったのだ。参加してくださったみなさん、ありがとうございました。　次回は夏か秋くらいを目処にまた企画を練ってみようと思っているので、いろんな方のご参加をお待ちしてますよ！　

  2006.04.10

• ボケる春・・・・

  　シカゴもいよいよ春到来って感じで暖かくなってきた。　　困るのはこの季節はどうにも眠くなることだ。気を抜くと昼でもグッスリ寝てしまう。ギタマガの原稿はあるし、サクラFMの録音はしなきゃいけねえし、夜はギグ、しかもレッスンもあるってんでノンビリはしていられないのだがどうにも気合いが入らねえなあ。でもこんな春ボケはどうやら小生だけではないみたい。　　　友達のMに最近白人の彼女ができた。元サッカー選手のMに「彼女とはうまくいってるかい？」と聞くと、「いやあアメリカ人はフィジカルが強いっすね」だと。サッカーじゃねえっつうの・・・・・・。　　　メッツのピッチャーだったクリス・ベンソンの奥さんアナは、超美人の元ストリップ・ダンサー。ある時、「私の旦那が浮気したらチーム全員とさらに監督やコーチ、裏方、そしてバット・ボーイとも寝てやるわ」と豪語したからチームは大変な騒ぎに。結局クリスはオリオールズにトレードされてしまったのだが、メッツの選手会はクリスだけはトレードに出さないでくれ、とオーナーに嘆願書を出したとか出さないとか・・・・。　　女性ブルース・シンガーのSは、姉御肌で女友達からよく相談を受ける。先日のこと、友人の一人が「私の彼は性欲が強くて体が持たないわ、どうしたらいいかしら」と聞いて来た。Sはたった一言「彼を私のところに連れて来なさい」・・・・。　　　　夕べは気合いを入れて「サクラFM」の録音をやって早速ネットで音源を日本に送った。よしよしと安心してベッドに就いたその瞬間「ゲッ、日本はもう木曜だった。アチャ～」。飛び起きるもすでに遅し。時差をすっかり忘れていた小生、その時はすでに番組は始まっていた。いつもは前日までに送っているのに、今回はモロに飛ばしてしまった。ガックリした小生。それでも朝までグッスリ寝てしまった。春はダメっすね。　　　BTW、いよいよ明日は”菊田俊介と行くサスサイド・ブルース・ツアー”だよ。多くの参加をお待ちしています。お申し込みは、1-800-782-7397（スター・エクスプレス・トラヴェル）まで　

  2006.04.06

• ギター・コンテストの審査員に変身・・・の巻

  　全米最大手の楽器店チェーン、GUITAR CENTERが主催する”ブルース・ギター・コンテスト”に出席してきた。しかも審査員として。　6時半にアーリントン・ハイツ市にあるGUITAR CENTER入り。サウンド・システムを展示する部屋が今日に限ってはステージに早変わり。今日は、この店ですでに3度行われた予選を勝ち抜いた6人の勝者が一堂に会して優勝を争うんだ。ステージ前のギタリスト達はやや緊張気味（写真）。　7時過ぎにコンテストが開始。一人持ち時間5分。バックの音楽は自分で持ち込み、それに合わせて好きな様にギターを弾きまくる。小生の手元には各参加者の番号と、それぞれに”パフォーマンスの総合”、”個性”、”テクニック”、”スタイル”、”ステージ・プレゼンス”の5項目に1から10までの点数を書き込む用紙が配られている。　いざ始まってみると・・・・いろんな発見、感想などが盛りだくさん。違う角度からブルースって何？を考えさせられたりもした。　このコンテストの全国大会優勝者には（ちなみにこの日は店の優勝者を決めるもので、その先に地区大会、さらに全国大会がある）ギブソン・レスポール59年リイシュー・モデル、1年間に渡るギブソンとのモニター契約、シオン製の車など総額4万ドル（約450万円）に及ぶ商品が贈呈され、さらにシカゴのハウス・オブ・ブルースにて6月のブルース・フェス期間中にBBキングと同じステージに立てるそうだ。これはすごい特典だよなあ。　さらなる詳細は、次号ギター・マガジンのコラムにて綴ることにしよう。

  2006.04.05

• 黒人にとってのブルース

  第一日曜。毎週恒例のマウント・モライア教会は黒のスーツに白のワイシャツ。ネクタイは白黒を基調にしていればデザインは何でもOK。着るものにも決まりが細かくある。 　礼拝後のこと。ホール牧師と執事のY氏、小生の３人で雑談。ホール牧師がジョークでY氏に 「来週はギターを弾くんだろう？」 Y氏もジョークで切り返す。 「そうだな。BBキングのように弾くか。でも教会から追い出されるな」と高笑い。すかさず小生 「BBキングを弾いたって追い出されませんよ」 と言うと、Y氏は「もちろん追い出されるさ」と再び笑う。 ”お前よお、BBキングがどれだけ世界の人に幸せを与えて役にたってるのか知ってるのか？お前が出て行けよ” もちろんこの文章は小生の心の中で言ったこと。 　ブルース＝悪魔の音楽、堕落の音楽。いったい何度これを教会で感じたことだろう。日本人ってことで差別された記憶は全くないのに、ブルースに対しての差別は何度も感じている。同じ黒人音楽なのに悲しい事実。Y氏自身はいい人なのを知っているだけに、教会の中で組織的に作られたブルースに対しての否定的なイメージがあるのを感じる。それにしてもジョンソン牧師はよく小生を雇ったよな。 ”俺はブルース・ギタリストだぞ” 　そんなことを帰りの車の中で考えていると、ふと思いついた。そうだ、ブルースって、黒人にとっては奴隷制度の象徴であり、被差別の象徴であり、惨めな生活の象徴なのだ。それを自分の中にある事実として肯定的に受け止める人もいれば、否定して拒絶する人もいるだろう。神を中心として人生の勝利者になろうとする教会のメンバーの多くは後者にあたるのではないか。（もちろん個人差はあるにせよ） 　かっこいい、心にグっと来る、大好きって音楽の一ジャンルとしてブルースを受け止めがちな我々には（それはそれで全く良いと思う）ちょっと想像を超えた生々しい感情が彼らの中にはあるんだろう。 　この事実もまたブルースだよね。

  2006.04.03

• パナマでヴァン・ヘイレンの前座をやる

  　飛行機の高度が下がると、海岸沿いに点在する中米パナマの家や建物がかすかに見え始めた。　朝一番、食品工場らしい建物の駐車場を横切ると、白い作業着に身を包んだ従業員達１０人くらいがキャッチボールを楽しんでいる。仕事前にキャッチボールなんて、さすがは中米だ。野球が盛んなんだな。　楽器屋の階段に腰を下ろしている。目の前ではエディ・ヴァン・ヘイレンがアンプを通さずにギターを弾いている。スローテンポのEのブルースだ。解放弦をうまく使いながら、デルタ風なフレーズが飛び出してくる。へえ～彼くらいのギタリストになるとブルースもうまいもんだ。　楽器屋に入ると、エディーがマネージャーに「俺もシュンが弾いているブルース・ギターが欲しい。なんとか手に入らないか」と話している声が後ろで聞こえてきた。という小生は、エディーの赤いテープがグルグル巻き付けられた（実際には塗装だが）シグニチャー・モデルを手にとって触っている。　今夜は、ヴァン・ヘイレンの前座で大きな野外スタジアムで演奏する事になっている。サウンド・チェックではシンガーの姿はなかったけれど、ベースのマイケルはジャック・ダニエル・ベースをビンビンにかき鳴らし、ドラムのアレックスは２つのバスドラの付いた大きなドラム・セットでヘヴィーなグルーヴを叩いていた。　場所は、小さなクラブ。ここではバディ・ガイがちょうどステージをやっているところだった。フェンダーのサイバ－・ツイン・アンプを一つだけ使ったシンプルなセットで、小さなクラブに合わせたソフトなタッチでブルースを歌い弾いている。こういうシットリしたバディのプレーには味があっていいもんだ。小生がいることに気づいてないみたいだけど、終わったら楽屋に話をしにいこう。　　さてそろそろライブの会場のほうへ行くとするか。　これは全部、昨夜見た夢でした。すごくリアルな夢で目が覚めてワオ～となったくらい。いろんな夢をみるのだれど、こうした外国での出来事がけっこう多く、必ず小生はギタリストという設定になっている。現実と虚構が入り交じっていて、それでもけっこうリアルなのだ。これって何かを暗示しているのだろうか？

  2006.04.01

• スモール・ブルースとは？

  　ということで、昨日の続きといきましょう。　週末は、Checkerboard LoungeにてJWウィリアムスとのギグ。土曜には、シカゴ・ブルース界のホープとも言われるカール・ウェザズビー（ギター、ヴォーカル）も参加した。カールの演奏も最初からグイグイきてたし、もちろん小生も気合十分。昨日の写真でもおわかりのように、途中でJWと楽器を交換、小生はべースも弾いたりした。　演奏が終わったのは夜中の３時近く。４セットもやって、久しぶりに指が痛くなった。２０歳も年上の彼らが平気でこんなギグをやっているのだから、基礎体力の違いを感じてしまう。　JWも大男だけど、カールなんて身長２メーターくらいあって、筋肉質で手は小生の２倍くらいデカイ。そのパワーで思い切りチョーキングしたり弦を引っ張るのだから出てくる音が破壊的なことこの上なし、だ。こんな彼らとどうやって渡り合うのか、音楽は勝負ではないとはいえ、現実的な課題でもあるのだ。　そんな意味でも先日のWBCの日本チームの戦い方はいろんなことを教えてくれた。スモール・ベースボールならぬスモール・ブルースか。しかしそんなのはいったいどこにあるんだろう？きっと小生自身の中にあるのだろう、ということだけは感じる。

  2006.03.28

• この写真はヘンだぞ・・・・

  　上の写真は週末に“Checkerboard Lounge”で行われたライブのワンショット。”小田ちゃん”ことシカゴ在住のカメラマン、小田憲司氏がとってくれた1枚だ。左からカール・ウェザズビー、小生、JWウィリアムス。　小田ちゃんが撮ったブルースマンのコレクションは間違いなく日本でも指折り数えるほどの質量で、来年にはスミソニアン博物館のエキシビジョン・ツアーで彼の写真が2メートルほどに引き伸ばされて 展示されるそうだ。また、ハードロック・カフェとは数十枚の写真使用契約も決まったようだし、飛ぶ鳥を落とす勢いの小田ちゃんなのである。 　しかしこの写真は、小田ちゃんの腕の問題とは全く別になんかヘンでしょ？続きは明日アップしよう。

  2006.03.27

• Checkerboard Loungeにてギグ

  　昨年11月に場所をハイド・パークに移して再オープンしたサウスサイドの老舗クラブ”Checkerboard Lounge"にて明日（24日）明後日（25日）の2日間続けて出演することになった。今回は90年代に4枚のアルバムを一緒に作った小生のビッグ・ブラザー、JWウィリアムスとのギグなんだ。　さらに土曜にはカール・ウェザズビーがギターで入る事にもなり、小生とカールのギター・バトルが一晩中繰り広げられることになりそう。個人的にもとても楽しみな週末なのだ。　ということで、シカゴ界隈のみなさんはぜひお越しくだされ。Checkerboard Lounge 5201 S Harper　(773)684-14729：30pm開演

  2006.03.24

• いよいよJamsbeeの3rdアルバム発売に！

  　さらさら流れる鬼怒川（きぬがわ）のせせらぎをバックに４人のジャムは盛り上がっていた。”Come on, Baby don't you wanna go. Back to the same old place, Sweet Home Utsunomiya”　張りのあるマックの声が河原に広がり、小生とシンスケのアコギがザクザクとシャッフルのリズムとオブリを奏でる。さらにセイちゃんのアコベーが心地よい低音を響かせ下からグルーブを支えている。　こんな画期的な川辺ジャム”Sweet Home Utsunomiya”も収められたJamsbeeの3rdアルバム"THE MUSICMANSHIP"がいよいよ今日発売になったよ。　本作は多彩なゲストを迎えて、曲、サウンド共にジックリ時間をかけて作り上げた渾身のオリジナル・アルバムだ。小生も6曲で参加させていただいていて、オリジナルも2曲提供させてもらったんだ。アコースティックとエレクトリックの融合といえばいいのかバトルといえばいいのか。ノンジャンルでありながらもしっかりルーツに根ざしたJamsbeeワールドをぜひ多くの人に体験してもらいたいね。発売はYotsuba Recordsから。　ギター・マガジン4月号にも本作のレビューが出ているので、そちらのほうもチェックよろしくです。

  2006.03.22

• サウスサイド・ブルース・ツアー再び

  　昨年もおかげさまで好評だったシカゴ・サウスサイド・ブルース・ツアーをまたやることになったのでお知らせだよ。小生自身がサウスサイドへみなさんをお連れ致します。ソウルフードを食べて、クラブでブルース・ライブを堪能しよう。行き先は当日までのお楽しみ！日時：4月7日（金曜日）集合時刻：　午後7時30分集合場所：　Elk Grove Bowl 　駐車場前集合　　　　Higgins RdとArlington Heights Rdの角帰着予定：　午前1：30　予定　料金：　お一人様　＄98.00-料金に含まれるもの：　往復の交通費、食事、クラブでの1ドリンク、菊田による案内＊21歳以上　IDを持参してください。　詳しくはスターエクスプレスまでお問い合わせ下さい。 （1-800-782-7397）協賛：　BLUESOX PRODUCTION INC. http://shunkikuta.com 住むトコ.COM www.sumutoko.com

  2006.03.21

• 閑話休題ー野球の話などモロモロ

  　先週行った中西部のロードから帰ったらシカゴはちょっと春模様。　ミシガンにある日本人のご夫婦が経営する”Mちゃんラーメン”は味がピカイチ。ここに出入りするメキシコ人の仕入れ業者は、Mちゃんの”ちゃん”を中国人のChangと勘違いしているらしい。そこで旦那さんをMr.Changと呼ぶ。無口なご主人は訂正もせずにウンウンうなずいている。ある時、ご主人が日本に一時帰国した。日本に帰るって言ってるのに、思い込みの激しいこのメキシコ人は、ご主人が帰ってくるなり「How was TAIWAN?」と聞いて来た。訂正するもの面倒だったご主人は一言「Good」以来、ご主人＝台湾人が確立し、日本人客からもチャンさんと呼ばれるようになった。チャンチャン。　ワールド・ベースボール・クラシックで日本は見事韓国に勝って決勝進出。日本ではさぞ大騒ぎになっていることだろう。こちらシカゴでは、新聞のスポーツ面はもっぱらカレッジ・バスケット一色。March Madnessという言葉があるくらい3月はカレッジ・バスケで盛り上がる。日本でいえば高校野球の甲子園大会みたいなもんか。今日のサンタイムズはカレッジ・バスケになんと10ページを割いていた。なんとか探してやってWBCの記事をみつける。たったの半ページ。しかもキューバの記事だけ。おいおい。冬期オリンピックはそこそこに盛り上がっていたけど、しょせんアメリカはスーパーボウルみたいに、自国のスポーツだけで盛り上がる国にようですね。

  2006.03.20

• バディ・ガイらとのカジノ・ギグ

  　ウィスコンシン州からネヴァダ州ラス・ヴェガスの郊外へのカジノ・ツアーも終わり、昨日シカゴへ帰る。もう2年くらい前からクラブでのギグをやらなくなったココのバンドは、冬はカジノかシアター、夏はフェスティヴァル出演というのが主な活動の場になっている。ウィスコンシンのポトワトミ・カジノではバディ・ガイ（髪の毛を剃り落していてビックリ）とのジョイント・ライブ、そしてネヴァダのカサブランカ・カジノではキャンド・ヒートやジョン・リー・フッカー・ジュニアらも出たブルース・フェスにてトリで出演。見所いっぱいの楽しいツアーだったね。詳細は、次号『ブルース＆ソウル・レコーズ』（ブルース・インアーアクションズ社刊）のコラムにて書こうと思う。　ギターの生徒の笠原さんと昨夜は最後のレッスンを。駐在員の宿命とはいえ、数年のシカゴ赴任で帰国しなければいけないのは寂しいものだ。帰国前に購入したマーチンのミニ・ギターや、ヤイリのミニ・ギター（これは日本で購入）、さらに以前この日記でも紹介したヘッドホーン・アンプPocket Rockitなどで遊ぶ。先生とはいっても、生徒から教わる事もたくさんあるものだ。感謝、感謝だね。トモキ日本でもギターを弾き続けてくださいよ。

  2006.03.13

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