カテゴリ:日常
裁判所に傍聴に行ってきました。前からずっと行きたくて、気になっていたんですがやっとです。 裁判所は誰でも入れますし、誰でも傍聴することが出来ます。裁判所の建物に入ると、受付のカウンターに本日のメニューみたいに、その日に行われる裁判の内容や罪名、被告人の名前などが書かれています。裁判所って建物の中にたくさん法廷があって、たくさんの裁判が行われているんですね。 -703号法廷- 最初に見たのはブラジル人の窃盗の裁判でした。この日は判決のみなので5分で終わりました。 懲役1年6ヶ月・執行猶予3年でした。つまり、その日に釈放で、3年間真面目にしてればお咎め無しと言う事です。ブラジル人の両親らしき人が近くにいたんですが、お互いに手を握り合いながら判決を聞いていたんですが、執行猶予が付いて釈放と言うことを聞いてホッと笑顔が見えたのが印象的でした。 次も判決だけなので、5分で終了。罪状は覚せい剤取締法違反。若い男。実刑1年6ヶ月の懲役。2度目の逮捕で、執行猶予中の犯行なので、仕方ないですね。 次は女性です。55歳。罪状は窃盗・有印紙文章偽装・同行使・詐欺。 裁判長に向かって左側の扉から手錠と腰縄を付けられ、刑務官2人に挟まれて被告人が入ってきます。右側に弁護士、左側に検察。新件だったため罪状が細かく読み上げられます。 消費者金融などからの借金があったため、空き巣に入り、通帳とハンコを盗み、銀行で娘のフリをして50万円を引き出したそうです。その背景を聞くと、母親と夫、それから2人の娘と暮らしているのだけれど、夫も消費者金融から多額の借金があり、23万の給料のうち5万しか家には入れてくれず、自分も生活費などの工面のために借金をしていて犯行に及んだそうです。 なんとなく可哀相な気がしたし、検察の読み上げる内容をうつむいたままじっと聞いている被告人の年齢が、自分の母親と同じ様な年齢だった事にも切なさを覚えました。 -902号法廷- 前の裁判が思ったより早く終わったので、最高裁判所の裁判を傍聴に行きました。 最高裁判所だけあって、扉からして重々しく、中も大分広いです。傍聴席はいっぱいでした。 罪状は殺人。弁護士が立ち上がって被告に質問をしていきます。事件のあった日の事や、境遇、心境などをこと細かく、少しずつ聞いていきます。そして検察の反対尋問。ドラマの中の裁判風景そのままの様な感じでした。ずっと聞いていくと、何故その人が人を殺してしまったのかが分かってきます。身勝手な殺人とは違って同情するべき所もありましたが、殺人を犯した事実には変わりはないです。今自分の前で人を殺した人が喋っている事がなんだか少し不思議な気分でした。ひどく落ち込んだ風もなく、淡々と質問に答えている人が、人を殺したばかりの人なんだと言う事に怖さも覚えました。 詐欺・窃盗・強盗・強姦・殺人・・・。 すごくたくさんの裁判が毎日毎日行われています。それは毎日の様に被害者が出たり、人が死んでいる事を表しているわけで、平和に過ごし、事件なんて新聞やテレビの中で起こっている出来事だと思って暮らしているけれど、こんな身近に犯罪が行われているなんて驚きました。そして数々の犯罪が自分にとって無関係なのではなく、いつ自分が被害者に、または加害者になってしまうかなんて全く分からない事なんだということを痛感しました。 実際に手錠を掛けられて、実際に罪を犯した人がいて・・・。そこにあるのは紛れも無いリアルでした。圧倒的なリアルが支配する世界が存在して、圧倒的なリアルに因って裁かれる人。裁くも裁かれるもそこにはリアルしか存在しない世界がありました。メディアを通して見た世界とは色の密度が全然違います。 そこにあるのは恐怖でしょうか?後悔でしょうか? 同じ世界には決して足を踏み入れたくないと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/05/31 04:20:09 PM
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