カテゴリ:映画
「フラガール」は実話を基にして作られた映画であるが、その撮り方はドキュメンタリー映画に近いかもしれない。 40年前の日本は、高度経済成長の波に乗って、新しく変わろうとしている時代だった。 エネルギーも石炭から石油へと変わり、国だけではなく町や村、人々の生活までもが変わらなければいけない時が来ていた。 そんな中で閉鎖を迫られる福島県いわき市の炭鉱でも、変化を求められていた。 そこで生活する人々は、親子三代に渡り炭鉱で働いていて、全ての人が炭鉱と共に生きてきた。しかし、100年も続いた炭鉱はドンドン閉鎖されて行き、解雇をされる人々も増えていく。 そんな時、東北の寒い町をハワイに変えようと、常磐ハワイアンセンターが建設される。 そこで目玉となるのがフラダンスショーだ。 肌を見せるだけで恥とされていた時代に、ビキニに腰蓑を付けて踊るなんて、ストリップと変わらないと反対をする人ばかりだが、生きるためにひたむきに踊る少女達に、次第に町の人々たちが変わろうとしていく・・・。 CMを見ると、何だかコメディタッチに見えてしまうが、そう思って見るとかなり期待を裏切られる事になるだろう。 最初にも書いたが、少女達が真剣にダンスに立ち向かって行く姿に、まるでドキュメントの様なリアルさを感じる事が出来る。 そして、とにかく踊りのクオリティの高さにはビックリした。 冒頭に見られる松雪泰子の踊りも圧巻だが、終盤で披露される蒼井優を始めとするフラガールの踊りはとてもすごい迫力で必ず魅了されるに違いない。 フラダンスと聞くと優雅な踊りだとばかり思っていたけれど、映画を観て、とても激しく情熱的な踊りだと言う事を知った。 劇中で、フラダンスと肩を並べて重要なのが音楽であろう。ジェイク・シマブクロの音楽がどの場面においてもグッと画面に締りを与えているし、彼の演奏するウクレレは、今までのハワイアン音楽とは一線を画く様な、超絶なテクニックと奥行きを表現していて、とても気持ちの良い気分にさせてくれた。 「ハチミツとクローバー」では繊細な天才少女を演じた蒼井優が、この作品では力強く生きていく少女を演じているが、最近の女優の中でも郡を抜いている演技力はもちろんの事、そのダンスも素晴らしい力を発揮している。 最後のダンスシーンは本当に心を奪われるほどに素晴らしかったと思う。 松雪泰子は女優としてはあまり好きではなかったのだけれど、この役は生涯の当たり役となるのではないだろうか。とてもハマっていたし、主演を努めた今作で、女優としての力をとても感じる事が出来た。あんなにいい演技の出来る人なんですね。 個人的には今年観た映画の中では、上位にランクインするほどの感動的で素晴らしい映画ではなかったかと思う。 人物を細かく描写していく撮り方と、エンターテイメント的にバーンと盛り上げるやり方、両方ともが上手く噛み合ったまま、ラストへと一気に駆け抜けていくような爽やかな印象を受けた。 とにかく感動したいという人は観て損は無いだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/10/02 08:53:11 AM
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