ラフマニノフ作曲「ヴォカリーズ」4つのピアノ独奏編曲その2
ラフマニノフ作曲「ヴォカリーズ」ロバート・シュルツ版の冒頭部分今回はラフマニノフ作曲ヴォカリーズ特集2回目です。初回に特集したゾルターン・コチシュ版は、中間部までは弾きやすいのですが、再現部になって装飾変奏や和声の変更が加えられているため、ピアノの初心者の方には難しいですよね。そこで今回は、初心者でも弾きやすくしかも他の編曲に比して聴き劣りしない美しい旋律が楽しめるロバート・シュルツ編曲のピアノ独奏譜です。Kladrei は正直なところ編曲者ロバート・シュルツのことをよく知りません。でも、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」のこれ以上弾きやすくて美しい編曲はないと思います。そんな訳で Kladrei が人前で「ヴォカリーズ」を弾くときはボロが出ないよう、この編曲を弾くことが多いです。原曲でソプラノのユニゾンで歌われる愁いを含んだ旋律はバロック音楽の特色である「紡ぎ出し動機」の手法によっていて、この編曲では短い動機の畳み掛けによって息の長い旋律が右手で導き出されます。左手の伴奏が、もっぱら和音の連打に徹しながら、時おり対旋律を奏でて、瞬間的なポリフォニーをつくり出し、初期バロックのモノディ様式を思わせる原曲のイメージそのままの編曲に仕上がっています。旋律の紡ぎ出し部分は、ラフマニノフが愛したグレゴリオ聖歌《怒りの日》の歌い出し部分の借用にほかならず、不協和音や旋法の多用を斥けて、古典的で明晰な調性感も原曲のイメージを守り通したピアノ編曲です。個人的にはとても気に入っているピアノ編曲ではありますが、やはりピアニストが演奏する曲としては易しすぎるのか、かなりマイナーでこの編曲を僕以外の他人が弾いているのを見たことも聴いたこともなく、その分、レパートリーとしては、希少価値が高いかも知れません。そんな訳で、公開されている音源も見つかるはずもなく、今回はピアノではなく、ストコフスキーとアンナ・モッフォのコラボをお楽しみください。「ヴォカリーズ」ストコフスキーとアンナ・モッフォのコラボ今回ご紹介したロバート・シュルツ版も入荷数が少なかったのでYAHOO店のみに出してありますのでぜひご覧ください。もちろんあとの便が入荷次第、他の店頭にも追々出品いたします。「ヴォカリーズ」シュルツ編曲ピアノ独奏譜一つだけ難点を挙げると、僕が 2,000 円で出品しているこの楽譜はなんとA3二つ折りとA4一枚の薄っぺらな楽譜です。こんなカミッキレに 2,000 円 ? と思った方にはお薦めできません。そんな方には次回ご紹介するリチャードソン版か最終回にご紹介するワイルド版をお薦めします。「ヴォカリーズ」アール・ワイルド編曲ピアノ独奏譜「ヴォカリーズ」アラン・リチャードソン編曲ピアノ独奏譜「ヴォカリーズ」シュルツ編曲ピアノ独奏譜「ヴォカリーズ」コチシュ編曲ピアノ独奏譜Kladrei's「ラフマニノフ専門店」その他の店舗のアドレスはこのブログの一番左上、店舗案内でリンクできます。あなたの好きなピアノ協奏曲(アンケート用紙)あなたの好きなピアノ協奏曲(途中集計)