カスタマーシャシー問題
「これ(SA07)は去年、僕がここ(メルボルン)でポールを獲ったマシンだ」 -J・バトン-
何故、アグリだけがメルボルンで提訴されたのか?
どうやらスパイカーは「トロロッソのSTR2はレッドブルのRB3と同じシャシーであるので参戦資格に問題があり、アグリのSA07はホンダRA106のモデファイであり車の合法性に問題がある」と分けて考えていた様子。
つまり同一のシャシーを異なる2チームが使用する意味でトロロッソとレッドブルを提訴。アグリに関してはRA106を今年のレギュレーションに合わせただけのマシンで参戦する事を問題としての提訴。
トロロッソの参戦資格についてはコンコルド協定に抵触し、アグリはレギュレーション違反という考えだと思われます。
しかしメルボルンでアグリについての提訴は、提訴内容がコンコルド協定の問題という事で受理されなかった。スパイカーからすれば即行性の高いレギュレーション違反での出場停止を狙ってアグリだけを提訴したつもりだったのだろう。
以前にも書いたように僕にとってのアグリの魅力は日本や琢磨を抜きにして少ない経験、資金、人材の中で努力を惜しまずにマシンを走らせる姿でした。
ですから個人的には今回のアグリのやり方には非常に残念に思っています。彼等が掲げた「挑戦」とはこのようなレギュレーションの裏をつく様な事だったのでしょうか(確かに別な意味では挑戦的だが)?
正直、SA06ベースのSA07でスパイカーやトロロッソを破って欲しかった。その方がスポンサーもつくだろうに。事実、スパイカーは中東系のスポンサー(エシアドエアとアルダール)がついた一方でアグリ(SSユナイテッドという怪しいスポンサーはあるが)、トロロッソにはこれといって新しいスポンサーはついていません。また「スパイカーが騒ぐからスポンサー契約が破談した」というのも身から出た錆としか感じません。
静観のトヨタ
この問題についてスパイカーと歩調を合わせるウィリアムズ。そのウィリアムズにエンジンを供給しているトヨタの富田務会長は
「今年については明らかに違法だと思います。来年からしか認められていないこと(2008年にはシャシーの売買は合法化される見込み)を今年やるというのは、だれが見ても納得できないでしょう」
と真っ向から反対の意見だ。ウィリアムズに同調するつもりはないとしながらも
「この問題についてほかのチームが発言すべきでないとされているので、現状では意見は述べづらいが、決してうやむやにすべきことではないと思う」
とも述べていて、今後の成り行き次第ではどうなるかわからない。
最終的には国際調停の結果を待つしかないけれど、その間にバーニーが関与して何らかの形で和解が成立するというのが大方の予想。
本当の挑戦者はスパイカー?
アグリファンにはすっかり悪役なイメージになってしまったスパイカーですが、
もし彼等の今年のマシンがフェラーリのF248改だったなら?そしてアグリがSA06の進化形だったなら?ファンは簡単にこの問題を見過ごすでしょうか?と感じています。
マイク・ガスコインは
「私としては全チームが自前でマシンを製作すべきだと考えている。トロロッソとスーパーアグリF1が何と言おうと、彼らがそれを実践してないのは事実だ。その結果、最も影響を被るのはスパイカーF1となるわけだが、我々は自分たちの仕事をしていくつもりだ。自分たちで作ったマシンで彼らを倒すことほど、気持ちのいいことはないからね」 週間オートスポーツ 3/29号
とカッコいい発言。
トルコGPで投入されるBスペックシャシーに期待が膨らむ。
あくまで正攻法で攻めるガスコインのやり方に、うっかりスパイカーのファンになってしまいそう。
彼の今シーズンの本当の意味での挑戦を楽しみに見守りたいと思う。
蛇足ですが例のテスト・ドライバー、ヴァン・デル・ガルデの二重契約の件は彼の恋人の親が一時期、アグリの買収を企てたことが大いに関係していると思われます。
案外、アグリ買収をまだ諦めてなくチームのイメージダウンを狙っての騒動だったり・・・
最後にRA106とSA07の画像を並べてみました。
何故かどの雑誌もやっていなかったし・・・。
RA106
SA07
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