077746 ランダム
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Benediction of God in Solitude

秋といったら・・・


アルティミシアとの戦いが終ったその年の秋、二人の人間が校庭の奥にある森林地帯に向け足を運んでいた。

「もうすっかり秋だね~。」
「そうだな。夜は少し肌寒くなってきたしな。」

他人が見ていたら近寄りがたいが、見てる者までほのぼのさせるような雰囲気を出しながら、二人は紅葉の下を歩いていた。

「やっぱりここはいいね~。いつ来ても落ち着くし、心が優しくなれそうな感じするもんね。」
「確に落ち着きはするな。」
「そっけないなぁ。」
「そうか?」
「そうだよ。」
「悪かったな。」

この言葉がでると会話が途切れてしまうことを知りつつ平然と使うスコール。それやめなよとリノアは今日も言っている。

「人がいないのはいいな。静かでいい。」
「なら私もいない方がいいかな?」
「………(そんなわけ無いだろうが)。」
「…側にいない方がいいみたいだね。」
「…なんでそうなる。」
「『沈黙は肯定』って言うじゃない。それとも側にいて欲しいのかな?」
「……。」
「スコール?言葉にしなきゃわからないよ?」

リノアはスコールの答えを知りつつも悪戯中です。と言わんばかりの顔でスコールに聞いた。

「……(こう言うところは悪魔みたいだよな。)」
「スコール?今失礼なこと考えたでしょ?言ってごらん?」
「いや、気のせいだろう。(その上こう言うところは鋭いんだよな。)」
「そう?それよりも私はどうしたらいいのかな?いた方がいい?何処かに行った方がいい?」
「…側に……いてくれ。」

聞こえるか聞こえないかの小さな声でスコールは答えにも関わらず、リノアは満面の笑みと共に頷き、「甘えん坊だね。スコールは。」と言った。
「あんたが言わせたんだろうが」と言うのはリノアの機嫌を損ねるだけなので敢えて反論せずに話を摩り替えた。

「しかし凄い落ち葉の量だな。」
「(話摩り替えたな~。まったくも~。)そうだね。……焚き火できるかな?」
「不可能じゃないな。」
「じゃ、皆も誘ってやろっか?」
「そうするか。」

スコールとリノアはポケットから携帯を取り出し電話をかけ始めた。キスティスは任務中のため参加できなかった。

「さて、準備を始めるか。」

ことさら準備を強調していったスコール。リノアはその言葉にただ首を傾げるだけだった。

「準備?」
「あぁ。俺とリノアは熊手を借りに行く。その間にゼルは学園長室に行って許可を、セルフィとアーウ゛ァインは大きな袋を取ってきてくれ。」
「りょうか~い」
「了解~。」
「わかったぜ!」

それぞれ渡された役目をこなす為に散々になった。

「ねぇスコール。なんで焚き火をするのに許可が必要なの?」
「この時期に森の方から煙が出たら火事だと思われるだろう?それに校庭で火を使うのには学園長の許可が必要なんだ。」
「そうだったんだ、、、ごめんね。」
「?何がだ?」
「迷惑かけちゃうよね?」
「そんな事はないぞ。」
「そう?」
「あぁ。問題があるなら三人とも色々言ってるさ。それに校庭で火を使う許可は簡単に取れるんだ。申告すればいいだけだからな。」

そんな会話をしながら熊手を運び、戻った時には皆戻っていた。

「おっそいよ~。」
「集めりゃいいんだろ?」
「あぁ。」
「じゃぁ沢山集めよっか~。」
「おしっ!頑張るぜ!」

そうして落ち葉集めが始まった。学園長が簡単に許可を出すのには、校庭を掃除してくれる。という利点もあるからである。

皆で談笑しながら集め始めた三時間後、、、

「こんなもんでいいんじゃな~い?」
「そうだな。日も暮れたしそろそろ終りにするか。」
「よしっ!んじゃ火ぃ着けるぜ。ファイア!」
ボッ!!
いとも簡単に落ち葉に火が着いた。が、リノア以外の面子はゼルの行動に呆れていた。

「ゼル~。」
「校則~。」
「あっ!」
「えっ?どういう事?」
「……ガーデン内で訓練場以外の場での魔法の使用は緊急時以外禁止されているんだ。軽率に使うと怪我をするもとだからな。」
「そうなんだ~。」
「ゼル~間違いなくSeeDレベルが2は下がるよ~。」
「やっべ。そんな事すっかり忘れてたぜ。」
「………」
「まぁやっちまったもんは仕方ねぇよな?折角だから楽しもうぜ。」
「それもそうだな。」
「あ・うち沢山さつま芋貰ってきといたで~。」
「わ~い♪」
「さすがだよセフィ~。やっぱ焚き火って言ったら焼き芋だよねぇ。」
「(相変わらず花より団子だな。)」

焚き火で暖まるのと同時に焼き芋を始めた。ゼルは火を扱うのが好きなので率先して芋を焼いていた。

「そろそろいいぜ。ほらよっ。アチイから気を付けろ。」
「あ~と~。ホントに熱々やね~。」
「ゼルっ、こっちにも頂戴よ~。」
「わかってるって。ほらっ。スコール、自分のとリノアのは自分でとってくれ。」
「……(とってくれないのか?)わかった。」

スコールは少し不機嫌ながらもリノアに急かされたため素直に従った。

「熱いから気を付けろよ。」
「うん。ありがと。ホントにあっついね~。けど暖まる~。」

リノアは幸せそうに微笑み受け取った。

「うん。美味しいね。」
「流石ゼルだね~。この火の通方の加減、絶妙だよ~。」
「へへっ!昔父ちゃんに教えて貰ったからな。」
「そうなんだ~。」

とりとめない会話をいくつかし、五人でさつま芋を全部で三十本は食べ終えた頃、満足した面立で五人は寝っ転がった。火は未だに優しい色で着いている。

「星綺麗だね~。」
「ホントや。」
「そういえばすぐチュウシュウノメイゲツだな。」
「来週だろ?」
「ところでそれなんだ~い?」
「え?知らないのか?」
「私も知らない。」「うちも~。」
「中秋の名月って言ってな、その日は毎年完璧な満月になるんだ。」
「別名を十五夜と言ったな。」
「へ~。」
「今度は皆で見たいね~。」
「そうやね~。…あ・アーウ゛ァイン、ゼル、明日からうちら任務で朝早いんやしもう寝よ。」
「そだね~。」
「明日何時集合だったっけか?」
「も~五時半言うたやん。」
「おう、そうだった。もう寝るぜ。」
「おやすみ~。」
「ここの片付けはやっておく。気を付けろよ。」
「あぁ。おやすみ!」
「じゃぁね、リノア三日後には帰ってくるから。」
「行ってらっしゃーい。」
「行ってきま~す。」

三人は寮に向かい歩いていった。
二人きりになってからは言葉少なく二人とも空を眺めていた。

「……綺麗だね。」
「…あぁ。そうだな。………。」
「なに考えてるの?スコール。」
「いや…リノアは空を見るのが好きだよなって思って。」
「あぁ、うん。空見てるとさ、なんか安心するんだよね。それに自由に向かって飛び立てそうだから昔からよく空見てたんだ。いつかこの家を出ていってやるって言う願いを込めてね。」
「そうなのか。」
「昔はとにかくあの家を出たくてしょうがなかったからね。自分の幸せを探すためにね。」
「…昔から色々大変だったみたいだな。」
「まぁそうだね。でも今は…」

リノアは言葉を切り、体をスコールに預けた。

「でも、、、今は見付けたんだ。私の幸せ。」
(俺もだ)
「私の幸せはスコール、あなたと一緒にいること。…スコールは?」
「………言わないと駄目か?」
「言ってくれると嬉しいな~。」
「……。」
「………。」
(ハァ、このまま言わないと怒るかずっとここにとどまろうとするかのどっちかだな。)
「(言ってくれない……かな?無理強いさせるのもなんかやだしな。)スコール、無理に」
「俺の幸せは俺の隣でリノアが笑っていてくれることだ。」

スコールは気恥ずかしさからなのか、焚き火の近くにいるせいか顔が真っ赤にしつつもリノアに顔を見られないようにリノアを強く抱き締めた。
リノアはその言葉に嬉しくなり、泣き出した。過去を思い出しながら。

(魔女でもいいの?)
(構わないし関係ないだろう。リノアはリノアなんだから。)

「ありがとう、スコール。」

スコールは抱き締めていた腕の力を緩めリノアの顔を見、目を合わせた。

「リノア、、、泣くなよ。」
「グス 誰のせいよ。それに幸せの涙なんだから流してもいいでしょう。」
「まぁな。」

スコールはリノアの涙を指で拭い取った。

「スコール。」
「なんだ?」
「ずっと一緒だよ?」
「あぁ。ずっと一緒だ。」

二人は静かに唇を重ねた。
月と星、夜の闇と焚き火の火が静かに二人を包む中で。



Fin

written by eoh


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