認知症でも変わらない 親の気持ち 子供への気持ち
10年位前に介護関係の記事で読んだ認知症の父親の介護をされていたAさんという方の話です。ある時、お父様の好物のおかずを作って出すと、一口食べたお父様は箸を置き改まってこうおっしゃったそうです。「私にはAという娘がいます。お願いですからこれをぜひ娘に食べさせてあげてください。」そう言うと、お父様は二度とそのおかずを食べようとはせず、それから暫くして亡くなったという話でした。お父様は、目の前にいるAさんが娘とはわからなくなっていたそうですが、Aさんの事を大事に思う気持ちは認知症になってもずっとずっと続いていたんでしょうね。それに、もしかしたら、目の前にいるのは娘のAさん介護をしてくれているのもAさんとわかっていたけれど、頭の中の回路が上手くつながらなくて他人に言うように感謝の気持ちを伝えたかもしれません。私の母は脳梗塞で倒れる7~8年前から老人性の脳の委縮と小さな脳梗塞の影響で認知症ではないのですが、手紙が書けなくなったり話がまわりくどくなったりお金の管理が上手くできなくなったりしていました。耳も遠くなり補聴器をつける前は上手く意志疎通できず、真っ直ぐだった姿勢も前かがみになり物を持ったり、歩いたりも大変そうになりました。なので、見守らなくては、気配りしなくては、という気持ちばかり強くて母が私を守ってくれている、という事には気がつかないでいました。仕事も夜中まで忙しくて気がつく余裕もなかったし、いつまでも子供の気分で親を超える大きな考え方が出来なかったのだと思います。反対に、母はいつまでも親で要介護5になっても、失語症になっても私を守ろうという気持ちがあったことに後で気がつきました。それについては母のカテゴリーにいくつかのエピソードとして書いたと思います。介護中はやることが多くて余裕がなくてあんまりわからなかったのですが認知症でも、意識が朦朧としていてもそれからもしかすると亡くなってからも親の子供を守る気持ちは強いと思うのでありがたいなと思います。もし現在介護中の方がいらっしゃったらそれを忘れずに、親御さんもご自分をもお大事に介護なさってください。画像をクリックしてすると詳細が見られます。