テーマ:介護・看護・喪失(5412)
カテゴリ:母 脳梗塞 リハビリ
母が脳梗塞で合計6ヶ月の入院の後
私の家に退院してきた時、 母のリハビリをサポートするために いろんなものを用意していました。 その一つが幼児用のパズルで 紙製の物、木製の物、立体の物と 単純なものを何種類か揃えたんですが、 脳梗塞の母はパズルが全くできませんでした。 脳の「意図的に考える」部分が だめになっていたようなのと (考えることはできても、「考えを表に出す」事が できなくなっていたかもしれません) 手を上手く動かせず物が上手く持てなかったから パズルができなかったのかもしれません。 それでもパズルでリハビリできるように、 母の椅子の近くに他の知育玩具などと一緒に 常に置いてありましたが 時々試しても、一度も出来なかったと思います。 本屋さんで絵本の近くに売っている厚紙のパズルには おまけで、パズルと同柄の塗り絵もついていました。 塗り絵もリハビリに役立ちますから 持ちやすい太い鉛筆状のクレヨンも デパートの知育玩具コーナーで見つけて 入院先に届けてありました。 「塗り絵をしようね」と カラフルなクレヨンのセットを母に見せ、 「どの色が良い?」と手元に持っていくと 不自由な手で触るので、 「これ?」と聞いて、その色を手にもってもらいます。 母はしっかり持つことはできずに、 持ち方も不自然ですが、とりあえず持ってくれました。 入院中はぐったりしていて クレヨンを持つことも出来なかったから それだけでとても嬉しかった。 でも塗り絵を塗ろうとしてはくれたんですが、 とても弱い力しかなく 指もコントロールできなかったので、 かすかに指を動かして、ほんの一部の狭い範囲を とても弱い力でくしゅくしゅとしか 塗れませんでした 幼児用の塗り絵って、塗る範囲が 黒い太線で区切ってあるので、 通常はその太線内を同じ色で塗りつぶします。 上手く出来ないとはみ出したり 塗り方が均一ではなかったりしますが、 母の場合はそれ以前の話で、 太枠内全体を塗りつぶすこともできずに、 枠内の中のほんの小さな範囲に かすかに色がつけられただけで、 疲れたのかすぐクレヨンを置きました。 他の色がいいのかと、また選んでもらっても その繰り返しで、 塗り絵というものが全然わかってないのかなあと その時は思って、そのまま、パズルの袋の中に 戻したままになっていました。 母が亡くなったあと、知育玩具や介護用品は デイサービスに置いてあったものはそのまま施設に渡し、 多くのものは母の妹達などが喜んで引き取りました。 塗り絵の本や、字の練習をしたノートやシールブックは 真っすぐな線も書けず ふにゃふにゃの力ない線ばかりだったり 何もできずにそのままだったので、 見るのもつらくて、 こういうものばかり取っておいてもと捨てました。 パズルも綺麗な状態にしてあげてしまったので、 塗り絵部分は捨ててしまったのだと思ってました。 あの時、母を亡くしたばかりでつらくてつらくて 前に進もうと、捨ててしまったけれど、 でもあの時の母のものも取っておけば良かったかなと たまに思う事はあったんですが どうしようもありません。 その塗り絵が 先日書類の整理をした際に出てきたんです。 やっぱり、母が頑張った証の一つとして 捨てられなかったんでしょうね。 A3サイズの塗り絵ですが、母が塗ったのはほんの一部、 力のない線で薄く色をつけてあるだけです。 太枠の所まで塗るということもわからなかったのかな、と 当時感じたのと同じように思いました。 でも改めてじっくり見ると、綺麗な色を選び、 絵の一番メインの部分を 指が上手くコントロールできないから 枠からはみ出ないように塗ったんだなということが わかりました。 力がないなりに、クレヨンは同方向に丁寧に動かして 綺麗に塗ろうとしたことがわかります。 そうか、母は綺麗に塗り絵をしようとしていたんだな、 何もわからなかったわけではなくて 単に手が動かせなかったんだな、 心の中はいつもの母だったんだなということがわかって ほっとしました。 ![]() ![]() ![]() 画像をクリックすると詳細が見られます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.03.04 22:41:07
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