カテゴリ:母 脳梗塞 リハビリ
脳梗塞で右麻痺要介護5の母の事で
ふと思い出す話があるんですが、 考えてみたら大事な事だと思うので 脳梗塞のご家族をお持ちの方のご参考になればと 書いておきます。 母は脳梗塞でリハビリ入院を含め6ヶ月入院後 自宅介護で過ごしていたのですが、 ぐったりしていることが多く、 通常は体を支えることも出来ずに 一人掛けのリラックスチェアに座っていても 体がどんどん右側に傾いてくるので、 沢山のクッションを右側に置いて支えていました。 手足はかろうじて動かせたのですが 力が入らず、コントロールも出来ず、 自分では座り直しなどの体位を変える事が出来なかったので 椅子には体圧分散クッションや 背面と座面をカバーする厚手のムートンなどを敷いて 褥瘡の予防もしていました。 問いかけには、はい・いいえで答えられたのですが、 衝動的に出ただけなのか 遠慮しているのか 本当に意図した答えなのかよくわかりませんでした。 「寒くない?」と聞いて、「はい」と答えても 単に咄嗟に出た答えかもしれず、 本当に寒くないのかわからなかったので 確認のためにいろんな質問をしました。 自発的な発語はほとんどできなかったので 会話もほとんど成り立たず、 食事・トイレ・歩行・着替えも全介助で 自分では何もできなかったので (ストローさえ自分で口元に持って行けなかった) 母の脳は脳梗塞で3歳位になってしまったのかな、 行動の面では1歳半位なのかな、って思っていました。 ですけど、もともとは意識が朦朧として、 医師達から立てるようにはなれないと言われていたのが 毎日お見舞いでいろいろな自主リハビリを心がけたら 少しずつ良くなったので、 努力すれば少しでも良くなると信じて 自宅でもリハビリに役立つと思われる知育玩具等を揃え、 食事の前後などにその中の何かを使って リハビリをするようにしていました。 でも通常は、ただぼやっと見て 私がここを押してとか、音が出るでしょう?とか言っても 力なく対応するだけの事が多くて、 それがリハビリ用玩具だとわかっているのかいないのか よくわからない感じでしたけど、 たとえ使えなくても、それを見る事が刺激になって 良い事かなと思ったんです。 ある時、ご飯が炊き上がる前とかの ちょっとした間に 隙間時間のリハビリをするために、 マジックテープでパーツが貼り付けてある木製の野菜を 小さなまな板の上で木製の包丁を差し込んで 切ったようにできる玩具を出しながら、 「じゃあごはんが出来上がる前に、 ちょっとこれを包丁で切ってみようね」と母に言ったんです。 すると母がすごく慌て、言葉では上手く言えないながら 手を動かしながら拒否する態度を示したんです。 母は考えながら話す文章になった発語が ほぼ出来なかったけれど、 咄嗟の時は単語の発語が出来たので 「駄目!」とも言っていました。 その時私は、調理中の隙間時間で、 頭の中はいつも、次はこれとこれをしてと フル回転中で、 駆け足で母のところに行って ぱぱっと玩具を出しながらの声かけだったので、 母が突然慌てた理由が、一瞬わかりませんでした。 母は考える部分が上手く機能していないから 理由もなく拒否したのかな、と思ったんですが、 すぐに、本物の包丁を使うと勘違いしたんだと わかりました。 私がぱっと出した木製の野菜や 小さな木製の包丁やまな板を見たら 只の玩具だとわかったんだと思いますが、 母は朦朧としていたし、私も急に出したし、 今考えると 母はリラックスチェアに頭まで預けて座っていて 上目線だったから、 床の上のリハビリ用具入れから出してきた玩具が見えず、 「ちょっとこれを包丁で切ってみようね」という言葉に びっくりしたんだと思います。 私は忙しくて、隙間時間にリハビリという気持ちが先で 「これ玩具だよ、知ってるでしょう? こうやって切るの。」とささっと 木製の包丁で切る=マジックテープでくっつけてある 野菜のパーツに 包丁を差し込んでマジックテープを離す、というのを 母に見せました。 母は最初、私が切る動作をするのを 慌てながら強く拒否してましたが、 5秒位後に、あ、これは玩具だってわかったようで 落ち着き、 それから私が母の手を持って 玩具の包丁を支えながら持たせ切る動作をすると、 イヤイヤそうながらも切る練習をしました。 玩具とわかった後も、 包丁を使う練習なんてしたくないのに、って 不本意そうな顔をしていました。 その時は、私は忙しくて、 母が、最初玩具って認識しなかった事ばかりが 印象に残ったんですけど、 今考えると、キッチンからやってきた私に 「ちょっとこれを包丁で切ってみようね」 と言われた状況で、 それが玩具の話だってすぐに理解するのは難しく 勘違いするのは当たり前でした。 そして母は自分でも、手に力が入らないし コントロールも出来ない事がわかっていたから、 「包丁なんてとても使えない!駄目!」って 強く思い、あんな風な対応をしたんだなあ、 いつもぼやっとTVを見ているか見ていないか わからない状態で座っていたけど (TVは刺激になるかもと点けていました) 直前に私がキッチンにいて調理中だったのを ちゃんとわかっていたんだな、 母は朦朧として見えても、失語症でも 頭の中は自分の状況をよくわかっていて それをちゃんと伝えられたんだなあって 後になってわかりました。 それを介護側や周囲の人が わかっているとわかってないとで 介護の質やお互いの生活の質が 全然違ってくる大切な事なので書いておきます。 母は私が工夫した子供の遊びレベルのものを含め いろんなタイプのリハビリをしましたけど リハビリ中、単純すぎる事だからなのか あまり興味を持ってないような事はありましたが (小さなドアを開けたり、取っ手を回したり ボールを転がしたりする玩具とか) そういうリハビリを拒否することは他になかったので、 やっぱりリハビリだとわかっていたんだなと それがわかっただけでもほっとします。 リハビリに協力してくれてたんだな、 自分でも頑張ろうとおもってくれていたんだなと あたたかい気持ちになれて、 単純な子供だましみたいなリハビリでも 私を思いやって協力してくれたんだなという 母の気持ちをありがたく思います。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 画像をクリックすると詳細が見られます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.05.03 16:03:10
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