腕に輪ゴムをはめちゃう人
電車の中で男性が丁度私の目の前で紙袋をぶら下げていて、そこに大相撲と書いてあるので、ああ、お相撲を見に行った帰りなのかなと見ると、もう片方の手には人気お相撲さんの名入りの新品のキャンバスバッグを提げています。やっぱりお相撲に行ったんだなあ楽しい1日だったんだろうなあと目線を前に=紙袋のほうに戻すと紙袋を持つ手に緑色の紐のようなものが巻いてあります。ミサンガ?にしては細いけど・・・とよく見ると何とそれは、よくある普通の緑色の輪ゴムでした。最近は見なくなったけど昔はお年寄りとか主婦とか輪ゴムを手にはめた人って結構いました。買ってきた物に輪ゴムが留めてあるとちゃんとそれを再利用する、そういう時代でした。その頃は今みたいにキッチンに並べるこじゃれたガラスやプラスチックの密閉容器がお店に並ぶ直前で食品が入ったビニール袋を輪ゴムで留めてホーローの大きめの蓋付の入れ物とか空き缶とか冷蔵庫の中に入れていました。昭和40年代になる頃、そしておそらくその前の話です。高度成長の波で、昭和40年代中期前にはカラフルな物が溢れるようにあったので台所も急に様変わりしましたけど、輪ゴムを再利用していた人達は多かったんじゃないかと思います。小さなものなので、お勝手仕事をする際に忘れないように外した輪ゴムを腕にはめて後でまとめて、水道の蛇口とか、その後ちょっとおしゃれに輪ゴム用のフックにかけておくというのが定番でした。家も昔気質の祖母がそうやっていましたし、母も退職した後、気がついたら腕に輪ゴムをはめているので、ちょっとやめてよ、跡がついちゃっているじゃない、血流が止まって体に良くないからやめようよ、と外してもらった事が何度もありました。輪ゴムをはめる人は時には2~3本はめていたり(それだけ輪ゴムを使っていた時代でした)その跡が薄紫になって残ったりしていました。今それをしている人達はほとんどいないし男の人でそれをしている人も珍しいけど、でも、輪ゴム1本でも大切にする気持ちを持つ人はまだ結構いるんじゃないかと思います。この人もそういう人なんだな、お母さんやお祖母ちゃんがそうだったのかな、とちょっと顔を上げてお顔を拝見すると、私と同じ位の年齢と思われる方でした。国技館で食べたお弁当の輪ゴムをついはめていたのかもしれませんね。幸せな時間の輪ゴムですね。2~3駅して、その方が降りる際小さく声をかけあって奥様らしい人と娘さんらしい人と一緒だったことがわかりました。ご家族全員、静かに立っていらして、荷物は全部その方が持っていたんですね。ご家族との楽しい時間の帰り道、大声でおしゃべりしたり、妙に場所を取って自宅の居間だと思ってるような気が緩んでる人達って意外といるんですけど、品のある暮らし方をされている方なんだなと思いました。私も物を大事にした祖母や母を想いだしてもう少しきちんとしようと思いました。下:シリコン製なので劣化して切れたり、肌にいたかったりしない長年使えるカラフルな輪ゴム。動物の形ですけど、使うと普通の輪ゴムのように使え、はずすと動物の形に戻ります。以前何か注文品についていて、外してふと見たら動物の形で心遣いに嬉しくなったので私も一箱文房具入れに入れています。安価なのでプチプレゼントにも。画像をクリックすると詳細が見られます。