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2004年07月30日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
帰り道。
鋼鉄一枚を隔てた先で今まで命であったものが切裂かれ、もしくは踏み砕かれてばらばらになり消えていった。
鋼鉄の上では、変わらず…いや、むしろそのことに対して広がる話題。
恐怖や悲鳴などでなく、そこにあるのは純粋過ぎるほどの好奇心。

今こんなことに遭遇したんだけど…
え、どうなんってんのか見れないかな?

悼む言葉も何もなく、まるで何事もないように、しいていえば、話のネタが見つかったくらいにしか変わらない世界。
ある人は大笑いし、ある人は電車の遅れに苛立ち。

なんて、軽いものだろう。
命なんて。
一瞬で消えて…関係のない人間にとっては、本当にどうでもよくて。
日常で、「死ねよ」だの「死にたい」だのが飛び交うのに嫌気が差していたけど、そんなの飛び交って当たり前だった。
いつどの瞬間にも目の前に死はある。

どうしようもないほどの虚無感が、体のすべてを吸い込んでいくようで。
どうしようもない吐き気に襲われて。
いろいろ考えた。

今すぐそばで人が死んでも、関係のない世界の、色彩の欠けた軽薄さ。
その中にいる自分への不可解。
人の命の軽さ。
それはモノと同じ程度でしかなく。
それを重くできるのは人とのつながりのみ。
つながりを持てば、その相手の中で命は重みを増していく。。

あの場にいた人すべてが、簡単に笑って済ませるような程度にしか思っていたとは思わない。
そして、悲しみを抱えることが正しいとも、押し付けることが正しいとも思わない。
そもそも、まったく無関係の人間なんていつどこでも死んでいる。
それを一人分知っただけで悲しむだけでどうかしている。
ただ、当たり前にある死への恐怖、空虚、それを生めるために別な感情が欲しくて。
それじゃ足りなくて、周りにも悲しみを求め…
自分は悲しんでいると満たされる、自己満足
周りにも自分の正義を押し付けて正しさを証明しようとする欺瞞。
なんて薄っぺらなんだろう。

どういう反応が正しいかなんて、ないんだろう。
ただ・・・薄っぺらでも、何も考えないでいるよりは、いい。
そう判断した。

でも、容赦なく襲いかかるのは、すべての軽さ、醜さ。
今まで信じてこれたものが一瞬で崩壊していくような…
希望があるからこそ生まれる絶望…
希望には永遠はなく、絶望だけが永遠と無限の広さを持ちえる。

それが身にしみて、怖くて、思わず助けを求めた。

今までも、多少はつらくても、助けを求めないように・・・
甘えないように、相手に背負わせないようにしていた、今回も、こんなことはなしてもつらいかもと思った・・・でも。
そんなこと関係なく、僕は楽になりたかった。
助けを求めないと、壊れてしまいそうで。

電話した。
いろいろ話した。
それだけで、なんだかすっきりした。。
最後には、笑えていた自分。
あっという間に、あのときの感情や出来事をおさえ、笑うことができる自分。

でも・・・
その自分を愚かだと思うより先に。
僕は、人とのつながりの大きさを、強く感じた。
ただ、気持ちを吐露し…それを受け止めてもらえるということが、どれだけ大きいのか。
人とのつながりが、どれだけ自分を強く…いや、自分が弱くても支えてくれるのか。
想いは多分、軽薄なんかじゃない。
少なくとも、こうして接点のある間に生まれる想いは、何であれ。
接点のないところの想いは…軽薄じゃなくて、そもそも想いが存在できないだけだと。
軽いんじゃなく、逆に、大きく重いものだからこそ…
そういう風に現れるんだろう。

ただ、僕は認めたくない。
命って、あんな簡単に消えて良いもんじゃない。
少なくとも、その場に立ち会う人に、あんな風にしかみられない死に方があるなんて、嫌だ。
なぜ人は死に急ぐ?
死んだほうが楽だから?
死を決めるのは覚悟なんかじゃない、生きる覚悟を決められずにあきらめた先にある逃げ道でしかない。
どんなにつらくても、自分から死ぬなんて認めない。
どんなにつらくても、生きるためにがんばっている人が、どれだけいる?
どれだけ生きたくても命がなくなってしまう人がどれだけいる?

名前もしらない、姿も見ていない、ただそこに在ったらしい命、そしてその消え方。
それを僕は憎む。
認めない、許せないものとして、覚えている、戒めとして。
哀れみも、同情もかける気はしない、遺族には失礼だろうし、冷たく響くかもしれない。
それでも僕は、何もおもわなかったりも、忘れたりもしない。

僕も、いつか死ぬだろう。
そのとき、同じように回りの人は無関心や好奇心しか持たなくても。
それでも、自ら命を絶ったりするもんか。
そして、繋がり有る人に絶たせたりするもんか。
 
死は、いつでもそこに有る。
目の前で繰り広げられただけで、当たり前のことだけど忘れがちなことをおもいださせ・・・重い気持ちにさせる。

生も、いつでもそこに有る。
有り方はさまざまだけど、輝きもさまざまだけど。
そして、生は当たり前ではないことだけれど。
ただ、生きて活きているその姿は、人の気持ちを明るくさせるだろう。

僕が最後まで選ぶのは…
後者でしか、ありえない。






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最終更新日  2004年07月31日 12時33分48秒
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