週刊 読書案内 高柳聡子「ロシア 女たちの反体制運動」(集英社新書)
高柳聡子「ロシア 女たちの反体制運動」(集英社新書) 市民図書館の新着の棚で見つけました。高柳聡子「ロシア 女たちの反体制運動」(集英社新書)です。 10代の終わりにロシア革命に興味を持ったのが始まりですが、E・H・カーとか、アイザック・ドイッチャーを夢中になって読んだのですが、並んでいた本書の書名を見ながらロシアの女性の名は「エカテリーナ」と「クルプスカヤ」、「テレシコワ」、そして「スヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチ」しか浮かばないことに、ちょっと驚きました。 まあ、他の国を考えても女性の名前って浮かびませんから、要するにそういうことにすぎないのですが、興味を惹かれて借り出してきて読みました。 ロシア革命が1917年ですから、ロシア帝国末期、ソビエト連邦、そして、現代のロシア連邦とたどると本書が対象にしている「ロシア」の「女たち」についての記述は、ゆうに100年を越えます。その間、男性優位に何の疑問もなかった帝政時代はもちろんですが、「男女平等」をお題目にした革命政権、そして、戦争を始めたプーチンの現代にいたるロシア社会で「反体制」を闘い続けてきた女性総覧です。 30人をこえる女性と、その時代その時代の反体制活動と、その弾圧の歴史が紹介され、論じられています。 プーチンの、ボクから見れば、異様な圧政の実態の報告が第五章「プーチン政権と戦う女性たち」の内容ですが、その最後、こんな印象的な引用と発言で締めくくられます。 戦争の足音が聞こえたのか、ウクライナへの軍事侵攻直前の二〇二二年二月十八日、ウクライナの詩人リュドミーラ・ヘルソンスカヤ(一九六四―)がFacebookに叫びのような詩を投稿した。「何も起きていないふりをするな」と題されたその詩は戦争が近づいてきている 黙るな 叫べ悪党ども 叫べ 畜生ども 叫べ 死刑執行人ども何も起きていないふりをするな皆を不安にさせることを恐れるな揺さぶれ 起こせ―戦時に起こすことは罪ではない国じゅうに向かって叫べ 他の国々に向かって叫べ窓を広めに開けろ 戦争を飲みこむな 黙るな と極めて強い口調で呼びかけた。「黙ってはいけない 戦争について黙っていてはいけない」というヘルソンスカヤの声は。ロシアの反体制運動の面々にも届いている。だから彼、彼女たちは決して黙らないのである。(P223) ボクに響いてきたのは、著作の最後にこの詩を引用していらっしゃる高柳さんの気合でした。この気合、ボクは好きです。 著者の高柳聡子さんは現代ロシア文学、フェミニズム史を研究していらっしゃる方のようですが、プーチンが始めた戦争に対する危機感から、本書を執筆されたようです。興味深く読みました。引き続き、彼女の翻訳、著作を追いかけようと思います。 ちょっと追記ですが、ボクが思い浮かべた名前ですが、エカテリーナはロマノフ朝の女帝、クルプスカヤはレーニンの配偶者、テレシコワは「ヤ―チャイカ」の宇宙飛行士、スヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチはノーベル文学賞の女性で、この本に登場するのはクルプスカヤさんとスヴェトラーナさんのお二人でした。2026-no007-1222 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)