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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2019.04.23
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​​中井久夫「時のしずく」(みすず書房)
​​​​​ 神戸大学医学部の精神科の教授だった中井久夫というお医者さんがいらっしゃいます。​​
​​​​ 2005年の著書「時のしずく」(みすず書房)の中に、「21世紀に希望を持つための読書案内」(筑摩書房)にも載っている「秘密結社員みたいに、こっそりと」というエッセイがあります。最近出ている「中井久夫集」(みすず書房)であれば第7巻「災害と日本人」に収められています。おもしろいから紹介します。​​​​​                                
​​​​​​​ 読書は、秘密結社員みたいにこっそりするものだ。私は推薦図書は書かない。書店で手に取ったときに、まるで自分を待ちかねていたかのような感じがする本が『あなたの本』だ。立ち読みして文章が目に飛び込んでくるようだと、絶対に買いだ。自分の財布を痛めて買う。図書館の本はすぐ期限が来る。借りた本は読もう読もうと思っているうちに時間が経って返し辛くなる。もらった本は真剣に読まないかも。​
 教科書は、先生が解説するためのもので、読む本としては不親切だ。理系志望だろうと文型志望だろうと、私は、数学、物理学、天文学、生物学、地質学、世界史の本を一冊でもいいから読んでみることをお勧めする。よい新書版がある。しかし、本格的な本に挑んだっていい。せっかく、この世界に生まれてきて、この世界の成り立ちを知らずに終わるのはもったいないと思わないか。そして、専門家はジュニア向きの解説書を書く時、とても真剣になる。レベルを落としたお子様ランチではない。名著が少なくない。
 人工衛星の望遠鏡で撮影した写真集を開いてみるといい。あるいは、古生物学で五億年前の生物種の爆発を。学則や対人関係の悩みなど、実に小さいものに思えるはずだ。現代数学の出発点の集合論など予備知識不要だ。世界の歴史にはいいシリーズがある。地図を傍らに置いて読むことだ。世界地図は一度描いてみると、すごくよく頭に入る。日本史は世界史を読んでから読む方がいい
 そんなことをしていて高校生のあなたは大学に通るかって。大学の先生は大学の発想で出題する。高校の教科書はお義理で見るだけだ。そして、先生はだいたい自分の専門から出す。間違った問題を出すと世間が騒ぐ。大学前の書店で、教養(前期)過程の教科書か副読本を買って読むのがお勧めである。実利だけでなく、おもしろい。おもしろいから頭に入る。
 英語で受けるならラテン語の初歩をかじっておくといい。漢字かな混じり文の漢字に当たるのが英語の中のラテン語系の言葉だ。漢字の意味を知れば熟語がわかるのと同じだ。またドイツ語かフランス語で受けるのもいい。高校生からで充分間に合う。英語の問題の意地悪さと対照的に、ドイツ語フランス語の問題は『よくぞこの言葉を選んでくれました』という感じだ。西洋の言語では英語はかなり変則的な言葉だ。といってやらないわけにゆかない。
 英語は世界史か生物学かに英語の副読本を使うのが妙案だ。内容がわかっている文章だし、立派な叙述文、議論文でいっぱいのはずだ。辞書は大きいのにも慣れること。そして、英英辞典に挑戦することだ。外国語の問題は、実際には日本語の読み書き能力と関連している。的確で歯切れのよい日本語の文章を筆写するといい。構成がよくわかり、著者がどこで苦心したかもわかる。和歌、詩だって筆写すると理解がぐっと深くなる。外国語の文章だってやってみる値打ちはある。
 極論に思えるかもしれないが、筆者がやらなかったことは書いていない。ただうっかりすると知識欲は権力欲の手段に成り下がってしまう。権力欲はサルやその他の動物にも立派にある。知識欲は動物にはないとはいわないけれど、人間の人間であるもとはこちらだろう。ただ新しいだけ知識欲はひ弱く、権力欲は古いだけしぶとい。基本的な三大欲望という睡眠欲、食欲、性欲だって、権力欲の手段に成り下がることが少なくない。
 そうなると何がどう変わるか。三大欲望は満たされるとおのずとそれ以上求めなくなり、おだやかな満ち足りた感じに変わる。ところが権力欲だけは満たされれば満たされるほど渇く。そしてその手段になった他の欲望は楽しさ、満足感がみごとに消えうせる。
 仙人になれというのではない。けれども、知的好奇心は、勉強や学問が権力欲に手段となると同時に見事に消えうせる。
 知識はふやそうとしても、楽しさも満足感もないのだから、炎天下のアスファルトの道を歩くように辛いだけになって心身の健康をこわしかねない。
  知的好奇心だけは『よい学校』に入る手段にしてしまわないことだ。でないと、かりに『よい学校』に入っても面白くもなんともない。教授になっても多分そうだろう。​​​​​​​
​ 冒頭部分を少し省きましたが、これで、ほぼ全文です。本人が非常に出来る人ですから、本人もおっしゃっていますが、極論と言えば極論ですが、面白いと思っていただいた方は、できれば中井久夫という人の他の著書に出会っていただきたいと思います。​
 高校生なら受験勉強にバカにされないために。大学生なら面白く勉強することのヒントとして。お子さんをお育てになっている年代の方なら、お子さんたちにベンキョウは楽しいんだと伝えるために。ぼくのような老人であれば、もう一度勉強を始める意欲を掻き立てるために。

​  いや、どなたであっても、今日の穏やかで、意欲的な生活のために。


  精神科の専門的論文は無理だとしても、たくさん書かれているエッセイや、詩の翻訳は、素人にだって読むことは出来ます。もちろん繰り返し読み直さないと分からない文章もあるかもしれません。しかい、一冊読み通していただけたなら、こんな「案内」を書いている気持ちが、少しは理解していただけると信じています。でも、やはり、むずかしいのでしょうか?(S)​
                             

​追記2022・08・11
​ 中井久夫さんの訃報(2022年8月8日逝去)を知りました。学生時代から、複数の親しい友人が門下生であったこともあり、まあ、学部は違うのですが同じ学校の先生ということで、勝手に師匠と決めて出される本はみんな読もうと思い込んで暮らしてきた40年でした。
 専門書はともかく、素人にも読める詩集やエッセイ集は読みごたえのある名著がそろっていると思います。案内したい本がたくさんあります。出来れば一冊づつ読み直し、紹介していきたいと思っていますが、とりあえず、筑摩書房学芸文庫「中井久夫コレクション(全5冊)」というシリーズがあることを追記しておきます。​
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最終更新日  2022.08.11 09:44:17
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