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2019.06.14
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​鯖田豊之「肉食の思想」(中公文庫)
​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ もう、10年も昔、世界史を教えているの同僚に紹介してもらって読んだ本がこの本です。 
 コレが実に面白かった。後半に少々だるい所があるにはあるのですが、勢いがついて5時間ほどで読み終えました。一応断っておくと、著者すでに亡くなっていますが、れっきとした西洋中世史の学者で、原著は中公新書1966年に出ています。一般向けですが西洋思想についてきちんと書かれている内容ですね。
​​ ところで、この本に先立って、1962年、当時京都大学の西洋史の先生だった会田雄次が書いた本で、ビルマでの捕虜体験からイギリス文化をこきおろした「アーロン収容所」(中公新書・中公文庫)という快著にして怪著があります。​​
 ご存じでしょうが、中公新書という新書のシリーズがあります。その創刊ラインアップ(1962年)の一冊として発刊された本ですが、超ロングセラーで、今でも本屋の新刊の棚で手にはいる本です。
 この会田雄次の本は、第2次世界大戦後の敗戦国意識のとても強かった60年代に評判になったのですが、もしも、今、読むのならば「その時代だったからこそ」という点を見落としてはならないでしょう。
 というのは、勝った欧米が日本より優れているというヨーロッパ文化礼賛の風潮に対して、自らの捕虜体験から比較文化論を展開し、日本人の見方は浅いと批判した点で、胸のすく快著として読まれたようだからです。
 たとえばイギリスの女性将校が日本人の洗濯係りの男性捕虜にその場で脱いだ下着の洗濯を命じたことが、イギリス人が恥知らずで、日本人を馬鹿にした行為であるかのようにエピソード化されているあたりは、単なる文化ギャップの指摘ではなく、「イギリス人を全部この地上から消してしまったら、世界中がどんなにすっきりするだろう。」という著者の怨念が炸裂している書きっぷりで、まあ、怪著とでもいうしかない一面をもった本だからです。
 最近でもこの本をイギリス文化批判の書として喜ぶ人はいるようですが、僕には、その感性に同感する感受性はありません。事実の面白さは評価しますが、主張の論点の、ウエートのかかり方が少々いただけないという感じです。
 ただ、だからといって読む価値がないとは思いません。書物とはそういうものだということですね。イギリス文化の階級性を活写している所や、アジアやアフリカにおいて、ヨーロッパ諸国が、どんな感覚で植民地経営をしていたのか、実によくわかるという意味で、十分読むに値すると思います。
 話が横に行ってしまっていますが、今日話題にしたいのは「肉食の思想」のほうですね。同時代、同じ中公新書の一冊として出版された本なのですが、会田雄次のファナティックともいえる興奮はまったくありません。
 鯖田豊之はヨーロッパの人たちが肉を食うのは何故なのかという問いから始めて、地理的、第一次産業的必然性の観点からヨーロッパ文化の特質を論じています。丹念に「何故」に答える穏やかな論理展開が冷静で著者の学問の流儀を感じさせる本です。
 鯖田「なぜ」の答えが、会田の怒りの謎解きになっている所が面白いわけです。
「ヨーロッパ女性が東洋人男性の前で、裸になるのが平気なのは何故か。」
 ​鯖田の論旨は、それを冷静に考えています。結論的に言えば、キリスト教信仰による選民思想が徹底してるということになるようなのですが、その信仰を肉食文化、牧畜農業文化の発達に結び付けて論じて行く手管が鮮やかなのです。
 一つ、 例を挙げろと、第1次大戦のパリ攻防戦の兵糧について、当時パリに滞在していた島崎藤村「市街の夜の灯火が悉く消され、ブウロオニユの森には牛、豚、羊の群が籠城の用意に集められた」という文章を引いてきて、こんなふうに問います。​​​​​​​​​​​​​​​​
​​《日本で籠城といえば、昔から、まず用意されるのは米、塩、水である。いくら肉食好きにしても、パリではなぜ、危急存亡のときまで小麦や小麦粉を貯えるだけですませないのだろうか。》​​
 そこから、読者としては、いささか消極的だと感じる仮説的結論に、まず、たどり着きます。
​《パンが主食とはいえない》​​
 ところが、ここから著者の本領が発揮されていて、これが、すこぶる面白いわけです。
​​​ ヨーロッパの牧畜の歴史、キリスト教に基づく人間と動物の関係、動物と未開人を見る見方の共通性へと展開してゆき、読み終えると、土地とそこで行われる農業の形態が信仰や思想と結びついていることが示されていきます。
 イルカや鯨を殺すことを非難する背後にはキリスト教の文化があるし、未開人である東洋人の前で裸になって平気な態度の底にも、同じ宗教感覚から生まれた差別感が横たわっていることなのかもしれない。会田雄次のように腹など立てていても仕方がないのですね。冷静に歴史と文化の基盤を見ることこそ、大切で、面白いのだと納得させてくれます。
 ここのところ、「歴史修正主義」と言うべきデタラメが、学問の顔をし始めている風潮があります。「歴史」と「デタラメ」の分水嶺の在処を二人の歴史家が指し示しているように思います。会田の主張が、すでに分水嶺を越えているとは言いいません。しかし、彼のルサンチマンを肯定し、肥大化させてゆけばどうなるか。そこには「歴史」ではない、ある種の夜郎自大が待っていることにならないでしょうか。​​​

 中公新書2018年「アーロン収容所」を改版して再刊したようです。まあ、読み比べてみてください。
(S)(初出2009/11/05)​​
追記2022・11・23
 10年以上も前に高校生に向かって書いていた「読書案内」の一つです。ブログに載せてからも、もう、3年たちました。本も古いし、論旨も時代遅れと思いきや、歴史修正主義はとどまることを知らないどころか、常識化している様相です。「そもそも日本人は~」とかいういい方で論じるパターンが流行りのようですが、たいてい「デタラメ」の側に分水嶺を越えていると思うのですがいかがでしょうか。
 
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最終更新日  2022.11.23 09:40:44
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