ゴジラ老人シマクマ君の日々

2022/05/14(土)10:24

週刊 読書案内 阿部了・阿部直美「おべんとうの時間3」(木楽社)

読書案内「くいしんぼう」(9)

​​​​​​​​​阿部了・阿部直美「おべんとうの時間3」(木楽社)​​​ 近頃気に入って、ボンヤリお座りするときに持ち込んで読んでいます。第3巻なのですが、第1巻から読み始めたわけではありません。 ​​​​​ この国の、あっちこっちの、働く男の人や女の人、子供の「おべんとう」もあります。文章を書いている阿部直美さんがおっしゃるには「普通の人の普通の弁当」のルポルタージュです。​  本の最初には日本地図が乗っていて、「​​​おべんとう​​」を見せてもらった人の名前が地図に書き込んであります。文章は阿部直美さん、写真は阿部了さんという分担らしいのですが、お二人の関係はわかりません。多分、御夫婦なんでしょうね。​​  全日空の機内誌に連載されたのが、始まりだそうですが、第4巻まで出ています ​​​​ 表紙の写真は​小笠原の母島​の小学校、中学校兼任の家庭科の先生です。小笠原諸島は船で二十何時間かかるそうですが、東京都です。彼女は東京都に採用された教員で、初任地が母島で、やってきて​​​​4年目だそうです。 ​​​  これがお弁当です。デザートがパッションフルーツなところが南の島です。当たり前ですが、あとは普通ですね。​​​​​​​​  こっちの写真は、球磨川の渡し船の船頭さんです。お年は85歳だそうです。船の名前は楮木丸、かじき丸と読むようです。お名前は求广川八郎さん。苗字は「くまがわ」とお読みするそうです。​​​​​​ 今年の夏ほど、長ーく渡しばせんことなかったですもんなあ。  雨が降って降って、そりゃまあ、ひどかじゃった。1か月ちゅうもん、大水が引かんでな、小屋のすぐ下、石段の2段さがったとこまで水が来ておりましたわ。  わしのいる楮木(かじき)地区から奥に6キロほど山道を行きますとな、川島ちゅう地区がありますたい。川島の子らを、これまで何十人も渡したな。球磨川を挟んだ向こう岸に、JRの瀬戸石駅があっとです。高等学校に通う子どもらは、自宅から渡し場まで自転車で来寄ったり、父さん母さんに車で送ってもろうてな、わしが渡して、電車で人吉や八代に通っとです。  今年は1年生の男の子ば1人ですたい。なんや2年生になると、単車の免許がとれるちゅうことで、自分で瀬戸石ダムの脇を通って駅に行くとです。あの子も、来年は単車ば乗るでしょうな。わしも85歳になりますけん、いつまでできますかなあ。  毎朝起きるんは、4時半ですたい。ばあさんの弁当持って歩いて小屋に来ます。男の子は6時14分の人吉行きに乗りますけん、その前に準備ばしとっとです。来たらすぐ渡してやるように、舟で待っとります。その後、小屋で朝ご飯の弁当を食べますたい。  8時45分の電車を送った後、昼の弁当を取りに家に戻ります。うちのは足が悪かもんですけんな、わしがとりに行くとです。​​​ ​​​ お好きなおかずはラッキョウだそうです。入ってますね。これが朝の​「おべんとう」​か、お昼の「おべんとう」か、そのあたりはわかりませんが、夜は球磨焼酎で晩酌だそうです。 ​​ 阿部直美さんの文章化の腕がさえているんでしょうね。たとえば、このおじいさんの語りには「ほろり」とさせられっぱなしです。若い頃の話とか、他にもいろいろ語っていらっしゃるのが面白いのですが、取材されたのは5年以上も前です。​  そういえば、球磨川では、今年、2020年の6月にも大水で大きな被害が出ているとニュースになっています。このおじいさん夫婦、大丈夫でしょうか。お年も、90歳を超えられているでしょうし・・・。  ボンヤリ座り込んで読みながら、そういうことが気にかかりはじめる本です。危うく、何をしにここに来たのか忘れそうになります。  次は「おべんとうの時間4」を予約しました。​​​​​ ​​​追記2020・09・08 ​「おべんとうの時間 1 」​はここをクリックしてください。​  追記2022・05・13 ​読んでから2年経ちました。新しい巻が出ているのでしょうか?とりあえず読んで案内を描いたのが1巻から4巻までです。まあ、そっちの方ものぞいてやってくださいね。​​「おべんとうの時間2」​・​「おべんとうの時間4」​はここをクリックしてください。 ボタン押してね!​​ ボタン押してね!​​ ​ ​​ ​​​​​​

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