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2021.04.17
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​​​​​​山田史生「孔子はこう考えた」(ちくまプリマー新書)

​​ 以前、おなじ「ちくまプリーマー新書」の一冊で​「受験生のための一夜漬け漢文教室」(ちくまプリマー新書)​という参考書(?)を案内したことがありますが、今回のこの本、「孔子はこう考えた」は同じ著者山田史生さん「論語」入門書といっていいでしょう。​​
 大学入試突破のお手伝いをする現場から離れて3年たってしまいました。その頃は、センター試験とか、そうはいっても、毎年解いていましたが、今では「問題」を見るどころか、いつあったのかすら気付きません。高校の国語の内容も大きく変わると評判になっていますが、実情についてはよく知りません。
 で、今頃、なんで「論語」なんか読んでいるのか、というわけですが、そこはやはり昔取った杵柄というか、孔子先生の言葉を借りれば「学びて時に之を習う、亦、説しからずや」。という感じでしょうか。
 「これって高校生にいいんじゃないの」と気づいた本は手に取る、まあ、癖のようなものはまだ残っていて、先日、市民図書館の棚で見つけたのがこの本です。
 大学入試に即していえば「漢文」は、「古典」という教科の中の一科目ですが、個々の大学の入試で「漢文」を課す大学は、ぼくが、仕事を辞めるころにはもうありませんでした。かろうじて、センター試験の中の「国語」200点のうち50点が「漢文」の問題という所に残っているだけだったと思います。
 ところが、公立の高校入試の場合は100点中、20点ほどの割合で、毎年、出題されていたのですが、今はどうなっているのでしょうね。
 「漢文」なんて、役に立たない、お得にならない教科なのでしょうか。そのあたりを、ゴチャゴチャ議論するのはやめますが、一つだけ言えば、「論理国語」なんていう教科を新設するくらいなら「漢文」の時間数を増やした方が、目的に対しては「お得」で「役に立つ」と思うのですが、でも、まあ、すくなくとも、2020年現在の「文部大臣」「総理大臣」といった方々は、「漢文」どころか、漢字そのものの常識も疑わしいわけですから、まあ、世の流れで「漢文」なんて見向きもされないのはしようがありませんね。
​​ まあ、そういうわけで、本書の案内ですが、この本では「自分のことを好きになろう」というテーマを第1章に掲げて、「孔子」について語り始めています。​​
 最近の世相を見ていて、ちょっと面白いなと思ったのは、「論語:公冶長」編にあるこんな文章を取り上げていたところです。本文では、巻末にまとめてありますが、まず、肝試し代わりに白文を引用します。読めますか?
顏淵季路侍。子曰、盍各言爾志。子路曰、願車馬衣輕裘與朋友共、敝之而無憾。顏淵曰、願無伐善、無施勞。子路曰、願聞子之志。子曰、老者安之、朋友信之、少者懷之。
​ マア、読めなくても大丈夫です。​この文章に対して、山田先生はこんな前振りをして解説を始めます。​
 「空気が読めない」という言葉がある。「KY」と略したりするようである。
 若者が「お前空気読めよ」といっているのが聞こえてくると、イヤな感じがする。
 ​そういう人なんですね、山田先生は。続けて、書き下し分と、口語訳がついています。
 こちらが書き下しです。
 ​顏淵、季路、侍す。子曰く、蓋(なん)ぞおのおの爾(なんじ)の志を言わざる。子路曰く、願わくは車馬衣軽裘、朋友と共にし、之を敝(やぶ)るとも憾(うら)むこと無けん。顔淵曰く、願わくは善に伐(ほこ)ること無く、労を施すこと無けん。子路曰く、願わくは子の志を聞かん。子曰く、老いたる者は之を安んじ、朋友は之を信じ、少(わか)き者は之を懐(なつ)けん。​
 続けて口語訳。
 ​顔淵と子路(季路とも)とが先生のそばにいたときのこと。先生「こうありたいという願いをいってごらん」。子路「乗り物や着物や毛皮を友達と共有したら、たとえ使いつぶされてもイヤな顔をしないようにしたいです」。顔淵「どんなに善いことしても自慢せず、ひとさまに迷惑をかけないようにしたいです」。子路「先生の望みもお聞かせください」。先生「年寄りとはリラックスしておしゃべりし、友だちとはざっくばらんにつきあい、若いひととも気がねなくやりたいね」。
​ かなり、くだけた調子ですが、問題ないでしょう。さて、ここからが解説です。
 子路はもと遊侠の徒だったからガラがわるい。しょっちゅうドジをやらかすんだけど、どこか憎めない。
 「おまえの望みをいってみよ」といわれて、「待ってました」とばかり子路はいう。オレの愛車や革ジャンをダチに貸してやって、それがボロボロにされてもはらをたてないような、そんな男になりたいっす。
 孔子と顔淵とは困ったような顔をしている。いやはや、子路らしいな、と。お里が知れるといったところである。子路にしてみれば、どうしして困られちゃうのか、さっぱりわからない。子路は、果たして空気が読めない男なのだろうか?
 それにひきかえ顔淵の答えは、いかにも優等生である。模範的な答えで、もちろん文句のつけようはない。その文句のつけようのないところが、どうしようもなくダメである。自分の答えがつまらないことに(そして孔子も頭の片隅でつまらないとかんじているということに)顔淵は気付いているのだろうか?もし気づいていないとしたら、顔淵もまた空気が読めない男なんじゃないだろうか。
 子路にせがまれ、孔子はいう。先輩からは「こいつにまかせておけば安心だ」と信頼してもらえ、同輩からは「かれといっしょならやってみたい」と仲間にしてもらえ、後輩からは「このひとのようになりたい」と慕ってもらえるような、そんな自分でありたいと。
 子路は、孔子の望む人間像とは正反対の男である。先輩からは危なっかしがられ、同輩からは煙たがられ、後輩からは軽んぜられるという、どうしようもない問題児である。けれども、そんな子路のことを孔子はこころから信頼している。

​ ​と、まあ、山田先生の論は、「KY」という流行語をネタに、秀才顔淵と比較しながら、子路の発言にあらわれた「空気を読まない」「空気が読めない」ことの正直さを考えることを読者にうながし、「自分のことを好きになろう」というテーマに向かって、「朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり。」という結論へ進むわけですが、ぼくがおもしろいと思ったのは、別のことで、「そんたく」という最近の流行語にを思い浮かべたことでした。
 「忖度」と漢字で書くこの言葉が、はやりはじめた詳しい経緯は知りませんが、ここ十年、高校の教室でハヤッテいた「空気を読む」をいう同調圧力の共有による、ニヤニヤ笑いの「平和意識」が、いよいよ一般社会でもあきらかな汚職の「合法化」用語として出回り始めているのだなと思うのですが、現在の「ものわかりのいい」諸君は、少なくとも、世事は知っている、正義漢子路どころか、「理想」に対して朴訥無双の顔淵からもはるかに遠いところにいることに、思わず気づかされたというおもしろさでした。
 落ち着いて考えれば、暗澹とする世相ですが、まあ、「論語」あたりから読んでみるのも面白いのかもという、思いがけない発見の書だったということです。

 皆さんも「論語」とかいかがですか?










最終更新日  2021.04.17 00:19:04
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