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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2021.05.14
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​​​​ジェシカ・ブルーダー「ノマド 漂流する高齢労働者たち」(鈴木素子訳・春秋社)
​​

​ 2021年アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞をとった「ノマドランド」という映画の原作(?)ノンフィクション「ノマド」(春秋社)を読みました。​
 現代アメリカで広がり始めている高齢の車上生活者の社会の実情を、なんというか、社会学的なフィールド・ワークを方法としたドキュメンタリーでした。
​​ 映画はフランシス・マクドーマンドが演じる、車上生活を余儀なくされたばかりの初心者ファーンを視点人物、主人公として描かれていますが、このドキュメントでジェシカ・ブルーダーが焦点化している人物は、映画にも本人が登場しますがリンダ・メイという女性でした。​​
 ファーンを主人公にすることによって、「ノマドの世界」「映画」化して見せたクロエ・ジャオという監督は、文句なくすぐれた監督だと思いますが、原作では、映画では描き切れなかったアマゾンビーツ農場国立公園の管理といった低賃金で、肉体的にも精神的にも過酷としかいいようのない労働現場の実情や、町ごと廃墟化する「企業城下町現象」の実態、ノマド社会のコミューン化の思想史的過程、車上生活をしている人たちの社会的権利や人生観を、丁寧に、しかし「乾いた」文体で描いたところが本書の「肝」だと思いました。
 土地付きの家が欲しいのはどうしてかと訊かれたら、私はこう答えます。独立するため。社会の競争から身を引くため。地場産業を支援するため。輸入品を買わないため。そして、好きでもない人たちを感心させるために、必要でもないものを買うのをやめるためです、と。
 今、私は大手オンラインショップの巨大倉庫で働います。扱っている商品は、すべて、どこか外国で―児童労働法もなく、労働者が食事もトイレ休憩も与えられず、一日十四時間~十六時間働かされているような国で―つくられたもの。二万八〇〇〇坪の広大なこの倉庫に詰め込まれた商品は、ひと月ももたないようなものばかり。すぐに埋立ごみになる運命です。この会社にはそんな倉庫が何百もあります。
 アメリカ経済は、中国、インド、メキシコなど安価な労働力の第三諸国で働く奴隷の上に成り立っているんです。私たちはそういう人たちと知り合うこともないまま、その人たちの労働の成果を享受しています。
 「アメリカ」という私たちの会社の奴隷保有数は、たぶん世界一でしょう。
                      (リンダ・メイのFB投稿記事)
​​ 過激だと思うけど、アマゾンで働いていると、こんなことばかり感ちゃうの。あの倉庫の中には重要なものなんて、何一つない。アマゾンは消費者を抱き込んで、あんなつまらないものを買うためにクレジットカードを使わせている。支払いのために、したくもない仕事を続けさせているのよ。あそこにいると、ほんとに気が滅入るわ。
                     (リンダ・メイからのメール)

​ これは本書に引用されている、リンダ・メイがフェイス・ブックに投稿したコメントと、その時​ブルーダー​に送ったメールです。​
​ 映画の中で、その「死」が暗示されたリンダ・メイですが、本書に登場する​リンダ・メイ​は、「労働の価値」、すなわち、「働くことの喜び」という、あらゆる「人間」にとっての根源的自由の一つが、いよいよ、奪われていきつつある「後期資本主義社会」の様相を呈し始めた現代社会と、まっすぐに向き合い批判することができる、文字通り「自立的」な女性であることが、この引用で理解していただけるのはないでしょうか。​
 実在する彼女は、生活のシステム全体の自給自足を目指す「アース・シップ」方式での暮らしを夢みていて、ニューメキシコの砂漠の真ん中の1エーカーの土地に、彼女がたどり着いたところで、本書は終わります。
謝辞
 三年間にわたる二万四〇〇〇キロの旅で、たくさんの出会いがありました。今この本があるのは、出会った人たちの協力のおかげです。知恵を授け、悪い冗談を教え、キャンプファイヤーやコーヒーをともにしてくれたすべての人に感謝します。
 なかでもリンダ・メイにはだれよりも感謝しています。人を信じて自分のことを話すのは、簡単なことではありません。とくに、その相手がメモ帳に何か書きなぐりながら三年もの間周りをうろつき、娘の家の外で車中泊をし、キャンプ場の整備中にゴルフカートの後ろを走ってついてくるような場合は。
 リンダのしなやかな強さ、ユーモア、心の広さが私の心を打ったように、読者の心を動かしてくれることを願っています。

​ ​​最後にジェシカ・ブルーダーのこんな言葉が載せられていますが、リンダ・メイという「勇気ある女性」と出会い、彼女の心を開くことで、現代アメリカの真相をビビッドに描いて見せた、とても優れたドキュメンタリーだと思いました。​​
​​ 車に乗って、廃墟になった町から出て行ったファーンリンダの姿は、拝金主義に堕した現代社会を生きるあらゆる人間にとって、他人事ではないことを教えてくれる好著でした。
 最後に、蛇足ですが、車に乗って暮らし始める人たちの多くが「高齢者」であることに加えて、この本では触れていなかったと思いますが、いわゆる「有色人種」の姿がほとんどないという事実の中には、「アメリカ」、ひいては、「現代社会」の、もう一つの真相が潜んでいるのではないかという​予感を感じたことを付け加えておきたいと思います。

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最終更新日  2021.05.14 00:28:23
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