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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2021.06.07
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​​ニック・タース「動くものはすべて殺せ」(布施由紀子訳・みすず書房)​
 「ハンバーガー・ヒル」という、1987年に作られた映画を見ていて、この本のことを思い出しました。ニック・タースというジャーナリストが書いた「動くものはすべて殺せ」という、衝撃的な題名の本です。2015年みすず書房から翻訳出版されました。​​​​
 「真実のベトナム戦争史」ともいうべき内容で、元従軍兵士や生き残った現地の住民に対してインタビューを重ね、公開された公文書館資料を調べつくし、「アメリカがベトナムで何をしたのか」、という「闇」の、当事者ならずとも目を覆いたい、隠し続けたかった「真相」を白日の下にさらした驚くべき本だと思いました。
 どなたがお読みになっても、読了後、深くため息をおつきになることは間違いないと思います。ぼく自身は、「本当のこと」というのは知ることによって、必ずしも、人を救ったり、元気にしたりするわけではないことを実感しました。
​​​ ロバート・メイナード中尉は、ブービートラップ(革命軍の地雷・待ち伏せという「罠」攻撃のこと:引用者註)による死傷者が出てからほどなく、第1小隊のジョン・ベイリー少尉、ドン・アレン3等軍曹と作戦前の打ち合わせを行った。のちにアレンが報告したところによると、メイナード中尉は、「真っ先に村を襲う」と断言したという。アレンは指示内容をはっきり覚えていた。「われわれは全小隊を率いて村を縦断する。向う側に出たときには、生き残った者、焼け残ったものがないようにする。子供については、それぞれの良心に従って対応せよ」と言われたのだ。​
 ベイリー少尉はブービー・トラップで軽傷を負っていた。彼は打ち合わせから戻るとすぐ隊員たちに、これから村へ送り出されることにを告げた。オラーフ・スキップフィールド上等兵は、「村人を皆殺しにして焼き払うことになったと聞きました」と証言しているが、エディ・ケリー上等兵は「村の何もかもを探し出して破壊せよ。」と指示されたと記憶している。ライフル銃兵のエドワード・ジョンソンが覚えていたのは、毎年南ベトナム全域で米兵に下された多くの命令と似たような内容だった。「目にしたもの、動いたものはすべて抹殺せよと言われました。」第一章 チェウアイ村虐殺事件​​
​ ​引用は書名になっている「動くものはすべて殺せ」が、現場の命令として発されていたことが、元兵士の証言として出てきたところです。​
​ このセリフの異常さもさることながら、「子供については、それぞれの良心に従って対応せよ」と命令された兵士たちがどのように訓練された、どういう年齢層の人たちであったかということが、この引用に続けて報告されています。​
 海兵隊員たちは、チェウアイ村の子どもたちについては、良心に従って対応せよと命じられたが、当の彼ら自身がまだ子供時代に別れを告げて間もない若者だった。じつのところ、ベトナムで任務についていた米兵の大半は十代か二十歳をを過ぎたばかりだったのだ。徴兵されたか、(徴兵を待つ不安定な状態がいやで)志願したかはともかく、みんな少年といってもいいような年ごろで基礎訓練を受けに行ったのだ。
こうした訓練は、新兵を幼児並みの精神状態に追い込むよう計画されていた。ショックと隔離状態と心身へのストレスによって、彼らが十八年そこそこの人生で学んだことを全て剥ぎ取り、刷り込みができるような白紙状態を作り出すのだ。
​ 発言の始めと終わりに「サー」をつけ忘れるといった些細な規定違反をあげつらい、頻繁に処罰を行うことは、このプロセスにとっては非常に重要だった。無理やり生ごみを食べさせる、気絶するまで運動をさせるなど、精神的ダメージと肉体的苦痛を与えることが目的とされていた。​
​ マインド・コントロールという言葉が自然に思い浮かんできますが、白紙にされた、若い兵士の「心」に刷り込まれたのは次のような内容でした。
 ​「十一ヵ月をかけて、私は殺人をするように訓練されました。八週間の基礎訓練のあいだもずっと『殺せ』『殺せ』と叫んでいたんです。だからベトナムに行ったときにはいつでもすぐに人を殺せるような気がしていました。」

 ヘイウッド・カークランドという帰還兵も自分の経験を次のように語っている。
訓練所に入るとすぐ‥‥連中は新兵の人格を全面的に変えようとした…まずはじめに、ベトナム人をベトナム人と呼ぶなと言われる。グークとかディンクとかと呼べと。ベトナムに行けば、おまえらはチャーリー、つまりベトコン、と真正面から対決することになる。あいつらは動物みたいなもんだ、人間じゃない‥‥
​​ 現場で、まさに言い訳として、上官が口にした「良心」を、常識的に考えられる「良心」として受け取ることができない集団が、人為的に作られていくプロセスの報告でした。​​
​ これらの引用は、本書にあっては、実は序の口にすぎません。以下、300ページにわたって、戦争という犯罪の真相が、次に掲げる「目次」に従って、実に詳細に、しかし、具体的に報告されていきます。目次は次の通りです。​
序 作戦であって逸脱ではない
第一章 チェウアイ村虐殺事件
第二章 苦難を生むシステム
第三章 過剰殺戮
第四章 くり返された蛮行
第五章 終わりのない苦悩
第六章 バマー、“グーク・ハンター”、デルタのばらし屋
第七章 戦争犯罪はどこへ行った?
エピローグ さまよえる亡霊たち
​ ​報告を終えるにあたって、ニック・タースはこんなふうに問いかけています。​
​ ​何十年もたち、幾人かの大統領がこの戦争のイメージ刷新を図り、あるいは歴史の片隅に葬り去ろうとしてきたが、アメリカ人はいまだに、ひっそりと闇に消えることを拒む戦争に縛られている。
 あの戦争中にアメリカが実際に何をしたかを理解せぬまま、わたしたちは、つぎつぎと軍事介入がおこなわれる都度、新たな亡霊がよみがえるのを目にするのだ。
 イラクは新たなベトナムだったのか。アフガニスタンも?「トンネルの向こうの光」は見えているのか。我々は「人心」をつかもうとしているのか。「対ゲリラ作戦」はうまくいっているのか。「ベトナムの教訓」は活かせているのか。そもそも、その教訓とはなんだ?(「エピローグさまよえる亡霊たち」)​​

​ ​読み終えて、つくづく思うのです。ベトナム以後も「戦争」をやめることができない「アメリカ」に対するニック・タース問いかけは、今や、他人事ではありません。​
​​​ 「集団的自衛権」だの「積極的平和維持活動」だのという、インチキな呪文に騙され続けるのではなく、「戦争」で国家が何をしているのか。「戦場」で兵士は何をさせられているのか。「平和維持」とかで派遣された戦地で自衛隊員は何をさせられているのか。わたしたち自身こそが「問う」ことを迫られているのではないでしょうか。
追記2022・04・30
 戦場では同じように「敵は殺せ」「命令」が下されていて、兵士が去った後には死体が残されていくことが、ウクライナでも報道されています。
 地政学とか陰謀とか、きいたふうな薀蓄を、したり顔で語り合うのは「他人事」だからではないでしょうか。もっとも、「ロシアの侵攻をリアルにとらえると九条の無効性が・・・」などと口にする、常識家面したインチキな人まで現れているわけで、なんだか、やっぱりめんどくさい世相です。
 個人的な感慨にすぎないのかもしれませんが、戦場に派遣される兵士は「敵は殺せ!」と命じられていることだけは忘れないでいようと思います。


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最終更新日  2022.05.24 11:18:39
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