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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2022.05.09
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​​​​佐伯一麦「アスベストス」(文藝春秋)
​​​ いつの間にか、大家になってしまった佐伯一麦の2021年秋の新刊、「アスベストス」(文藝春秋社)という短編(?)集を読みました。​​​
目次

せき

らしゃかきぐさ
あまもり
うなぎや​​
​ ​​全てひらがなで題がつけられている作品集でした。この作品集には「アスベスト」を主題にした4作の短編が収められています。佐伯一麦による「アスベスト作品集」、つまりは「アスベストス」というわけです。​​
 目次の次のページにはこんな文章が載っています。
アスベストス(asbestos)

石綿、アスベスト。

天然に産する繊維状鉱物の総称。主成分が珪酸マグネシウムからなる蛇紋岩系のクリソタイルと角閃石系のクロシドライト、アモサイトなどがある。
アスベストの語源はギリシア語で、直訳すれば「消滅することのない」、つまり永久不滅の物質という意味である。
​ ​​佐伯一麦を最初に読んだのは、もう30年以上も昔です。「ア・ルース・ボーイ」(新潮文庫)という、高校を中退して、なんだかイガイガした少年の話にはまりました。惹かれついでに、なんだかんだ読み続けて到達したのがこの「アスベストス」でした。​​
 「平成の私小説」と勝手にジャンル化していますが、すべて(?)の作品の登場人物が、いつも咳をしている小説群でした。たとえば「ショート・サーキット」(福武文庫・講談社文芸文庫)という、最初期の作品では電気工の仕事をしている青年が登場しますが、彼はすでに発作的に起こる咳に苦しめられていたはずです。
​ 目次の二作目「らしゃかきぐさ」が、もっとも心に残りました。その中にこんな一節があります。​
その寝台のベッドカバーの上に、ちょこんと載せられてあるものを見て、
あ、やっぱりあった。
と彼は気が弾むのを覚えた。
それは、去年も目にした、精巧な針金細工のような、とても変わった形をした花穂のドライフラワーだった。咲き終わった花序の小苞の先端が鋭い鉤状に曲がっていて、その根元の周りを総苞が美しい曲線を描いて数本取り巻いている。それも鋭く長い棘をしている。
 それに会うために、彼はこの場所を再び訪れたのだ。

 ― チーゼル。
 一年前、本を読みながら、部屋の隅に座っていた若い女性の案内人が、そうおしえた。(P40)
 ​​​イギリス旅行中の著者が夏目漱石ゆかりの「カーライルの家」を訪ねた場面です。英名チーゼル、和名はらしゃかきぐさとの出会いが書かれている短編ですが、ネットで調べてみるとこんな植物でした。​​
 「宿痾」という言葉があります。辞書によれば「長い間治らない病気。」「持病」ということになりますが、佐伯一麦にとってはアスベストによる肋膜炎喘息は、まさに「宿痾」と呼ぶべき病で、彼の文学とは切り離すことが出来ない病であるともいえるかもしれません。​

 この短編集の、著者インタビューだったと思いますが、こんなふうにも言っています。
「あ、アスベスト君」
 そう呼ぶような仲間意識がアスベスト(石綿)にはある。

​ すべてが棘でできているチーゼルのドラフラワーに心惹かれるれる様子が、淡々と描かれる穏やかな作品ですが、病を抱えて書き続けてきた作家の「書く」ことの深層を思わせる佳作だと思いました。

追記2022・05・24
​ ブクログ​というサイトに感想を書きました。ついでなので貼っておきます。

​ 佐伯一麦という作家の作品と出会ったのは、新潮文庫の新刊「ア・ルース・ボーイ」でした。1994年の出版ですから、今から30年前です。「あっ、こんな作家がいるんだ!」と思いました。「ショート・サーキット」(福武文庫)、「雛の棲家」(福武書店)と読み継いでファンになりました。
 作品の底には、どの作品にもイガイガとした現実との接触感に対するいら立ちがながれていて、それは苦悩とか自己嫌悪とか言う、主観的な判断ではない直接的な痛みでした。勝手な言い草ですが、このイガイガ感に惹かれて読み続けてきました。
 作家の肉体を苦しめ続けるイガイガがこの作家の文学を支えているというのがぼくの思い込みです。
 その佐伯一麦がイガイガを直接作品化したのが本書でした。読み終えて感無量ですね。ここの作品のよしあし以前に、30年、書き続けてきた作家の今を思い浮かべました。 ​

​「やあ、アスベスト君」​​

 作家の、そんな呼びかけが木霊している作品集でした。



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最終更新日  2022.05.24 10:47:51
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