ゴジラ老人シマクマ君の日々

2023/06/30(金)22:14

アービング・ラッパー「黒い牡牛」元町映画館no162

映画「元町映画館」でお昼寝(91)

​アービング・ラッパー「黒い牡牛」元町映画館​ 昨年の秋から通っている「12ヶ月のシネマリレー」という企画があります。神戸でやっているのは元町映画館です。で、今回はその4回目でした。映画はアービング・ラッパーという監督の「黒い牡牛」という作品でした。  メキシコの田舎の村で暮らすレオナルド少年と「ヒターノ」という「黒い牡牛」の物語でした。​​​ レオナルド少年は小学校4年生くらいでしょうか、父親と姉との三人家族のようです。父親は牧場に雇われている牛飼い・牧童のようですが、家では1頭だけ身重の牝牛を飼っていました。その牝牛が、嵐の夜、森の中で落雷によって倒れた大木の下敷きになって死んでしまうのですが、そこに駆け付けてきたのがレオナルド少年です。少年が嵐の中に産み落とされた仔牛を助けて家に連れ帰ってきて抱えて寝ているシーンが下の写真です。​​​ 目を覚ましたレオナルド少年は仔牛をヒターノと呼ぶことにしたと父に報告します。それを聞いた父親が​​​「この牛はジプシーなのか?」​​​ と少年に質問しますが、単なる思い付きのようです。この辺りは、なんだか意味深なのですが、ボクにはわかりません。ちなみにヒターノというのは、多分、スペイン語ですが、一般にはジプシーとかロマとか言われている人々をさす言葉のようです。  で、少年と仔牛の暮らしが始まります。メキシコの貧しい農家の日常、庭には仔牛が一頭と鶏、ヤギがいます。それから小学校の授業風景、放牧されているほかの牛が暮らす草原、豪華な自動車に乗った金持ちの牧場主、ウシの所有権をめぐるいざこざ、あれこれあって時がたちます。 ​​ やがて、レオナルド少年が小学校を卒業します。同級生は3人です。まあ、そういう田舎の村が舞台です。ちょうど時を同じくして成牛になったヒターノが売られていく日が来ます。母牛のときから続いている所有権のトラブルが少年とヒターノの仲を裂いていきます。​​ ​ 闘牛用に売られていくヒターノと、そのあとを追いかけて、​何とかヒターノを取り戻そうとするレオナルド少年の苦闘が始まります。  ここまで見ていて、この映画が「12ヶ月のシネマリレー」になぜラインアップされているのかさっぱりわかりません。コタツで見ていたら、この辺りでは寝っ転がっていたでしょう。​「フーン、そうなのか。」​ と思ったのは、メキシコでは牛といえば、闘牛用の動物だという発見だけでした。  ところがです、舞台がメキシコシティーの闘牛場のシーンに移って、​「なんだ!なんだ?」​ ​​​​という展開がはじまりました。少年が走るのです。ひたすら走る。​「友だちのうちはどこ?」​というキアロスタミの傑作の少年アハマド君と同じです。アハマド君は友だちのモハマド君が学校をやめさせられたら大変だという一心でしたが、レオナルド君は、闘牛場で次々と銛を打たれることになる、友だちヒターノの命を救いたい一心です。​​​​  ​で、レオナルド君の努力が実を結んだかというと99パーセントのところでうまくいきません。にもかかわらず​「よかったね!」​ となるのですが、理由は原題「The Brave One」に明示されていましたね(笑)。​よくも、まあ、「黒い牡牛」なんていう、小学校の教科書みたいな題名で公開したものですね。それにしても、結果的には納得でした。  レオナルド少年(マイケル・レイ)と黒い牡牛ヒターノに拍手!でしたね。 ​​​ 余談ですが、上に書いたキアロスタミの「友だちのうちはどこ?」の原型の一つだと思いました。映画としてはキアロスタミの方がずっと洗練されていますが、子供をどういう視線で撮るのかというところが共通していますね。そこが、素晴らしいとぼくは思いました(笑)​​​ 監督 アービング・ラッパー 原案 ロバート・リッチ(ダルトン・トランボ) 脚本 ハリー・フランクリン メリル・G・ホワイト 撮影 ジャック・カーディフ 音楽 ビクター・ヤング キャスト マイケル・レイ(レオナルド少年) ロドルフォ・ホヨス・Jr. ジョイ・ランシング 1956年・100分・アメリカ 原題「The Brave One」 日本初公開1956年11月23日 2023・02・23-no027・元町映画館no162 ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​ ​​​​​​ ​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​ ​​​​​

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