ゴジラ老人シマクマ君の日々

2023/09/16(土)11:50

週刊 読書案内 伊藤比呂美訳・下田昌克画「今日」(福音館書店)

読書案内「絵本・児童文学」=チビラ君たちへ(48)

伊藤比呂美訳・下田昌克画「今日」(福音館書店)​ ​​​谷川俊太郎​が詩を書いている「ハダカだから」という絵本の挿絵で気に入った下田昌克という画家を探していて、この本に行き当たりました。​​  普段はそういうことをあまりしないのですが、市民図書館で予約して借りてきました。その本を手にしたチッチキ夫人がいいました。​「わたし、やっぱり、この本買うわ。」 「ああ、伊藤比呂美やしなあ。」 「うん、まあ、それもあるけど。」 ​伊藤比呂美訳・下田昌克画「今日」(福音館書店)です。​全部で55ページ、新書版の小さな詩集・絵本です。 ​​ 下田昌克の絵をお見せしたくて、そのままにした腰巻のせいで見えませんが、淡い水色の布装の表紙に「Today」と少し大きめの題と詩の全部が金色で印字されています。​​ Today Today I left. some dishes dirty, The bed got made about two-thirty. The nappies soaked a little longer, The odour got a little stronger. The crumbs I spilt the day before Were staring at me from the floor. The art streaks on those window panes Will still be there next time it rains. “For shame,oh lazy one,” you say, And "just what did you do today?" I nursed a baby while she slept, I held a toddler while he wept. I played a game of hide'n'seek, I squeezed a toy so it would squeak. I pushed a swing,I sang a song, I taught a child what's right and wrong. What did I do this whole day though? Not much that shows,I guess it's true. Unless you think that what I've done Might be important to someone With bright blue eyes-soft blond hair. If that is true,I've done my share.​​ ​​ ページを開くと​​​ ニュージーランドの子育て支援施設に伝わる詩より​​ ​と記されています。壁に貼ってあって、誰の詩だかわからないらしいのですが、それを伊藤比呂美さんが、10分ほどで、さらさらと訳してネットで公開すると評判になったので、本にしたそうです。  ボクは子育てお任せ亭主で、エラそうなことは言えないのですがが、​​​「わたしはちゃんとやったわけだ。」​​​ という最後の行の日本語訳まで読んで、涙が出ました。  7ページ、最初の見開きの右のページから、日本語に翻訳された詩が始まります。​ ​今日、​ で、その次のページがこれです。​​​​わたしはお皿を洗わなかった​​​​ ​右側に下田昌克の挿絵があります。​ ​​​​ 訳者の伊藤比呂美さんは「おなか ほっぺ おしり」(中公文庫)の詩人です。ぼくたちと同世代で、チッチキ夫人のお気に入りです。その伊藤比呂美さんが​「訳者あとがき」​でこんなことをおっしゃっています。​​​  むかし、わたしが子育てをはじめた頃に、あんまり性格がきまじめの几帳面だったものですから、考えつめすぎてぜったいつまづくだろうと思って作り出した呪文があります。「ずぼら、がさつ、ぐうたら」というのです。  すぼら、がさつ、ぐうたら  ずぼら、がさつ、ぐうたら 口に出して唱えておりましたら、あんなにきまじめで几帳面だったわたしが、ほんとに、ずぼらで、がさつで、ぐうたらな女になってしまいまして、効き目におどろいております。(P51) ​​​​ずぼらでがさつでぐうたらでいいんだよ!​ ​ 教育パパかもしれないのあなた、そんなふうに、あなたの隣で赤ちゃんにおっぱいをあげている女性に言えますか?この詩集・絵本をお読みになれば、あなたがその女性にとってどんな存在なのかお気づきになるような気がしますよ。69歳になって、4人の子供たちがみんな出て行ってしまった家で気づいても、まあ、もう遅いのです。  巻末には、同じく伊藤さんの訳された「虹の橋」という詩が添えられています。そのうち、載せたいと思います。 ​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​ ​​​​​​​​​​ ​ ​​ ​​​​​​​​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る