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浦沢直樹「あさドラ 9」(小学館)
![]() 2025年の最初の週刊マンガ便はトラキチ君の2024年、12月のマンガ便で届きました。11月28日の新刊です。 浦沢直樹の「あさドラ」(小学館)第9巻ですね。 ビッグコミック・スピリッツに連載しているようなのですが、単行本になるのは、ここのところ年に1冊です。第8巻でアサちゃんが出会ったアメリカ軍の脱走兵リバー・エスリッジ君を巡っての展開が本巻の肝です。![]() このマンガの、本来の「肝」は、1959年の伊勢湾台風とともに出現した「アレ」との戦いなのですが、始まりから10数年たった今、アサちゃんも二十代、恋の季節なのです。で、まあ、お相手がベトナムに派遣されることを嫌がっている脱走兵というところが時代ですね。マンガの時代に20代で、鶴見俊輔とかに熱中していたシマクマ君には、マンガといえどもリアルで懐かしいエピソードで、チョットワクワクしてしまいました。 で、9巻の山場はこのシーンです。ネタバレ案内です。ここまで、バイプレヤーとしてマンガを支えてきたきぬよさんの名場面です。 ![]() 「春日は最近のあなたの行動がおかしいから全部調べたそうよ。」 ![]() 「あたしの好きだった人…」 ![]() 「好きな人を戦地なんかに行かせちゃダメだって。」 浦沢直樹は1960年の生まれなんですよね。ボクより6歳ほど年少です。第二次世界大戦で亡くなった方とか、家族を亡くした方とか、彼自身にとっても、一つ上の世代であって、たとえば、この場面できぬよさんが語りますが、言ってしまえば、子どものころ、そんなふうに繰り言を言っていたオバサンがいたという話なんです。にもかかわらず彼が、このシーンを書いていることに、ボクは胸を打たれますね。 浦沢直樹が勝負に出ている! まあ、そういう印象です。 多分、このマンガの面白さは。ボクのような世代にとって、そこのところですね。だれかが、どこかで、 絶対に・・・何がなんでも・・・命を懸けても・・・戦地なんかに行かせちゃダメだ! って、静かに、しかし、本気で、心に誓わなければならない時代が始まっているんです。 きぬよさんに語らせた浦沢直樹に拍手!ですね。 というわけで、2025年のマンガ便、スタートは 戦争は悪だ! ですね。もう、笑っている場合じゃないようですよ。
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