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カテゴリ:読書案内「日本語・教育」
笹原宏之「美しい日本の一文字」(自由国民社)
![]() アフリカであろうが、中国であろうが、美しいものは美しいわけで、「美しい日本」というと、日本がクローズアップされることが、当然、その言い回しに浸る人たちには、それが、意識的かどうかはともかく、意識されていると感じるのがウザいんですよね。なんか、こだわっていますが今日の案内は「美しい日本の一文字」(自由国民社)です。 というわけで、こんな題名の本は、普段はよけて通ることにしているんですが、手に取ってハマりました。 なぜ、「美しい」をつけなければならないのか、そこのところに、著者や出版社に対してひっかかるものはありますが、「日本」の一文字のほうには文句ありません。だって、国字の話ですから。 漢字といえば、文字通り漢の文字なわけですが、この本が話題にしているのは「国字」です。だから、日本にだけある文字なんですね。 「麿」、「鰯」、「辻」、「笹」、「峠」、書きだせばきりがありませんが、高校の国語の授業とかで、まあ、おおざっぱですが、音読みのない文字として紹介されるのが「国字」ですが、その「国字」についての絵本風エッセイ集です。 図書館の新刊の棚でパラパラやっていて 「え、あ、そうか?!」と妙に納得した字があって、思わず読み始めたのですが、その文字が「畑」でした。 中国では、稲も麦も野菜も耕地は「田(デン)と表現されました。もし詳しく区別したいときには「水田」や「陸田」「白田」「火田」と熟語にするしかなかったのです。で、日本では稲を作る「田」に対して、ほかの作物を作る「はたけ」という、言い回しが広がりますが、乾いた「水田」をあらわす「白田」を一文字化した「畠」という文字が奈良時代に生まれたそうです。こっちが先なのですね。 ところが、平安時代に「焼き畑農業」が広まり、「火」+「田」=「畑」という、純粋国字の誕生となったのだそうです。 まあ、それだけの話ですが、妙に納得しましたね。そういえば、「畑」には音読がありません。「はた」とい音自体は「火田」の音読の訛りのような気がしますが、そのあたりもおもしろいですね。 まあこれ以外にも「炬燵こたつ」の話とか、「躾しつけ」の話とか、おもしろいですよ。そういえば「炬燵」なんて中国にも朝鮮にもなさそうですもんね。 まあ、そういうわけで、ちょっともの知りを目指すには、すぐ読めて、なかなかです。いかがですか?
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