酒井耕・濱口竜介「なみのこえ 気仙沼」元町映画館 2024年の年末から元町映画館で濱口竜介の特集をやっていることは知っていましたが、今一気分が乗らずに無視していました。ボクは、この監督の映画に漂う、なんというか、生真面目さのようなものが苦手なのですね。ものすごく頭のいい人だと思うのですが、頭のよさが映像から滲み出すのが、まあ、イヤミな感じが苦手なんですね。とくに「ドラマ」の場合にそう感じてしまうんです(笑)。
で、今日は、東北の震災のあとのドキュメンタリィーということでやって来ました。「なみのこえ 気仙沼」です。
2013年の作品で、酒井耕という人と共同監督というところを見ると、たぶん、東京芸大の学生仲間で作った映画じゃないのかと、勝手に想像しますが、これが悪くなかったですね。
対話、ダイアローグというのが、まあ、このドキュメンタリィーを作るうえでの工夫でしょうか。語り合う人たちと、間に映し出される気仙沼の風景のバランスが、絶妙で、とてもいいですね。
震災直後の気仙沼の風景ではあるのですが、妙な意味づけをしないところが、もう、センスとしか言いようがない印象ですが、こざかしさを一切排除している所に、実は、この監督の本質があるんじゃないか、と好感を持ちましたね。拍手!
本当は、「なみのおと」を見たかったのですが、この映画の上映後1時間空いて、夜の7時からということで、諦めました。
まあ、いつか、見ることもあるでしょうね。 濱口竜介君、1978年生まれだそうですから、もう、46歳なのですね。こういう特集が組まれるわけですから、かなり評価が高いんだろうと思いますが、神戸の映画館ではほとんど貸し切り状態でノンビリ見ることが出来ましたね。
東北の震災をテーマにした作品としてもよくできていると思いますが、お客さんはいませんでした。今日は1月15日で、神戸の震災30周年にはかなりの人が反応しているようですが、東北や能登の震災のことは忘れるようにできているんですかね。なんか、よくわからない風潮ですね。
監督 酒井耕 ・濱口竜介
実景撮影 佐々木靖之 北川喜雄
2013年・109分・日本
2025・01・15・no008 酒井耕・濱口竜介・元町映画館no278