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カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
クリストファー・ザラ「型破りな教室」シネリーブル神戸
![]() クリストファー・ザラという監督の「型破りな教室」です。原題が「Radical」でしたが、そっちの方がピッタリくる印象でした。 はみだしタイプの先生の「ことば」が子どもたちの「こころ」を揺さぶり始めるシーンが、とても印象的で、まあ、舞台が教室というわけで、ボク自身の経験と重ねて見ましたがとても納得しましたね。 ここのところ、ダイアローグという概念に、チョット取りつかれていて、モノローグ、ひとり言に対して、対話と訳されるあれですけれど、自分がその仕事で毎日教室にいた頃は、特定の一人との「対話」ということが気にかかっていたのですが、教育とか考えるときに大切なのは「教室」という、なんでも知っている教員という大人と、教えられる子どもたちという、どこかで上下的な権力関係の場になりがちな場所を、教員もまた、そこに存在する、一人の人間にすぎないという対等性の中で、1対1ではない、 複数対複数の「対話」の可能性! を描こうとしている映画だと思いました。 この映画は、多分、そこが、実は想像以上に「Radical」なのですね。結果的に、子どもたちの成績が上がったとかいう物語として宣伝されていますが、子どもたちが、自分でも気づかないうちに「生き生きと考える」ということを始める可能性を映し出そうとしているところに強く惹かれました。 拍手です。 ![]() 「生き生きと考える」ということを始めた人間は、子どもに限りません、、しかし、その人間が必ずしも「しあわせ」になれるわけではないのですね。その昔のソクラテスの悲劇を持ち出すまでもなく、子どもたちが生きている社会が、必ずしも「生き生きと考える人間」を歓迎するとは限らないからです。 映画において、天才少女のパロマは奨学金で夢に向かって歩き始めましたが、ギャングのチンピラだったニコは命を落とし、妹や弟の世話をしなければならないルペは、統一テストを受けることもままならなかったのではないでしょうか。 この監督の面白さは、そこを描いたところですね。 メキシコという、海の向こうの異国の話、貧困も暴力も他人ごととして受け取る雰囲気が映画館には満ちていましたが、果たしてそうなのでしょうか。 共有すべき問題が差し出されているのではないでしょうか?真面目に、現代という社会を描こうとしている監督に拍手!でした。 監督・脚本 クリストファー・ザラ 撮影 マテオ・ロンドノ 編集 エウヘニオ・リチェル 音楽 パスクアル・レイエス フアン・パブロ・ビラ キャスト エウヘニオ・デルベス(セルヒア・フアレス・コレア先生) ダニエル・ハダッド(チュチョ校長先生) ジェニファー・トレホ(パロマ) ヒルベルト・バラーサ ミア・フェルナンダ・ソリス(ルぺ) ダニーロ・グアルディオラ(ニコ) 2023年・125分・PG12・メキシコ 原題「Radical」 2025・01・17・no009・シネリーブル神戸no297
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