筒井功「アイヌ語地名の南限を探る」(河出書房新社) 縄文以来の原日本語を探り続けていらっしゃる筒井功さんの「アイヌ語地名の南限を探る」(河出書房新社)をいじっています。
著者の縄文語探索「縄文語への道」(河出書房新社)で始まって、「潮来を、なぜイタコと読むのか」(河出書房新社)、で止まらなくなっている、まあ、マイブームなのですが2020年に出された本書です。アイヌ語に関しては、他にもいろいろ書いていらっしゃるようですが、本書が集大成という雰囲気ですね。
筒井功さんが歩いて現場検証していらしゃることが、何より心惹かれる理由ですが、もう一つはこういうもののいい方ですね。
高知県南端の足摺岬は「アシュ・ソ・リ」で「風が吹きつける裸岩の山」だと解釈した本もある。同岬は、もとは「サタ岬」といい、「サタ」は「蹉跎」という難しい漢字を宛てていた。これを、いつのまにか「あしずり」と訓読みするようになり、のちに文字を「足摺」に替えた喪である。したがって、アイヌ語とは何の関係もない。
できれば、一度訪ねてみたい場所の一つが足摺岬なのですが、アイヌ語地名として解説されているなんてことは、もちろん、知りませんでしたが、この筒井さんの否定の仕方がいいんですね。
で、彼が歩き廻る先が今回は「アイヌ語地名」です。南限ですから、本州のどのあたりに線をお引きになっているのか、まあ、それは本書と出会っていただくほかありませんが、ここまで読んできた2冊と同様、大変な旅程ですね。
で、彼が訪ねる場所について、古代日本語とアイヌ語とを見分ける条件がこれですね。
卑見では、北海道以外にある地名がアイヌ語によって付けられたとするためには、以下の四つの条件を満たしていなければならない。
① 北海道と本土のそれぞれに同じか、ほぼ同じ地名が数カ所以上存在すること。
② 日本語では、まず解釈がつかないこと。
③ 逆にアイヌ語だと、かなり容易に意味がつかめること。
④ そうして、これが最も大事な点だが、その地名が付いた場所の地形または地物などの特徴が、先に当てはめてみたアイヌ語の意味に合致すること。
おそらくですが、筒井さんが地図を睨みながら、それではと腰をあげになるのは、多分、④の実地検分でしょうね。
まあ、ご本人はライフワークなのでしょうが、こちとらはヒマに任せてというわけですし、本書の最後に乗っているコラムでも「机上で地名研究はできない」
と、キッパリ!
おっしゃっていらっしゃるように、ご本人は現場で、自分の眼で、なのですが、こちとらは炬燵にもぐりこんでですからね(笑)。
それにしても、1944年にお生まれだそうですから、もう、ご高齢なわけですが、がんばっていただきたいですね。




追記
ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)