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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
モフセン・マフマルバフ「子どもたちはもう遊ばない」元町映画館
![]() ど真ん中のストレート! でした。 なにしろ舞台がエルサレムで、2023年ころに撮ったフィルムです。 まあ、ボクのようなもの知らずでも薄々は知っている「嘆きの丘」、「聖墳墓教会」、「岩のドーム」といった、それぞれ、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の、いわば最大というか、最高というかの聖地の映像がドーンと映し出され、その聖地の路地裏で暮らすアフリカ系パレスチナ人にカメラが迫り、その、多分、アリ・ジャデという老人が、もとPFLPだった経歴から、今の暮らし、愛しているエルサレムに、たとえ彼の死後であろうと、 かならず平和が戻ってくる夢 を語ります。 老人の発言の合間には、若いユダヤ系の青年がパレスチナの人たちとともに仕事するにあたって、周囲の人たちの偏見に対する苦労を語ります。アラブ風のダンスを習っているパレスチナ人の子どもたちのダンスのようすや、子どもたちが「壁ごしの対話」の練習をしている姿が映し出されます。子育てをしているパレスチナ人の女性が育っていく子供たちに「対話」の大切さを語ります。 老人の座って語っている路地を武装したイスラエル兵が通り過ぎ、遠くで銃声や爆発音が聞こえてきます。広場で平然と行われるリンチも映し出されます。 一転、一つ一つの聖地で祈る人たちの姿が映す出され、宗教的な出自を問わない学校(そんな学校もあるのです)の子どもたちが 「友だちに銃を向けるのは嫌だ!」 と徴兵を嫌がる声が聞こえてきます。 映像とインタビューに答えるのこえの連鎖が、老人のいう、宗教を越えた 「世俗的デモクラシー」の可能性 を見ているボクに問いかけてきます。 映画が訴えているのは 「暴力の否定」と「対話の大切さ」 だとボクは思いました。子供たちが、一緒に遊ぶようになる路地裏の世界が再びエルサレムの町に戻って来ることを祈るような気持ちで見終えました。 渦中のエルサレムの町に、こんな思いで暮らす、あたりまえの人がいて、それをフィルムにとり世界中の人に見せようとい、恐るべき苦難の努力をする人たちがいる限り 「希望」はあるのです! 映画を作ったモフセン・マフマルバフ監督やスタッフにも、登場した人たちにも、映画を上映している映画館の人たちにも拍手!でした。 「世界中の人に裏切られているような気がする。」と語る老人が、続けて、 「特にアメリカの人たちは問題のある人ばかり大統領に選ぶね。クリントンは下半身に、ブッシュは神の声とか聖戦とかいう上半身に、トランプは下半身にも上半身にも。」 と笑いながら話している姿に、思わず笑いましたが、このインタビューから2年後またしてもトランプで大騒ぎです。笑いごとではありませんね。 ![]() 監督 モフセン・マフマルバフ 製作 メイサム・マフマルバフ 撮影 シャディ・ジャミル・ハビブ・アラー モフセン・マフマルバフ 編集 マルズィエ・メシュキニ 出演 アリ・ジャデ ベンジャミン・フライデンバーグ アディ・ニッセンバウム エルサレムの市民たち 2024年・イギリス・イスラエル・イラン・ 62分 2025・02・10・no020・元町映画館no281 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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