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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
ハナ・マフマルバフ「苦悩のリスト」元町映画館
![]() 先週、お父さんのモフセン・マフマルバフ監督の「子どもたちはもう遊ばない」を見て驚いて、今週は娘さんのハナ・マフマルバフが監督として製作した「苦悩のリスト」に、もう一度打ちのめされました。 ドキュメンタリィー映画としての出来栄えのすばらしさは言うまでもありませんでしたが、なんといっても、何万人もの命の危機を目前にして 「どうすれば、もう一人の命を救えるのか?」 に立ち向かうマフマルバフ・ファミリーのみなさんの本気の姿には言葉がありません。 2001年、ブッシュの米軍による空爆に始まり、20年にわたる米軍駐留、トランプとタリバンとのインチキな取引。そして2021年、バイデンによる無責任な米軍撤退。そこから始まるタリバン勢力の政権奪取と自由を希求する人たちへの徹底的な弾圧。それが、この映画が直面している 2021年8月のアフガニスタン の政治的な情勢でした。 バイデン大統領が2021年8月31日の米軍完全撤退を表明したことをボンヤリ覚えていましたが、映画が描いている惨劇など全く知らないでいた ボク自身の鈍さ! を痛感しました。笑えません。 それは、ここ数年、ヨーロッパで作られたいくつかの映画作品を見ながらアフガニスタンからの難民の姿が登場するたびに、なんだかよくわからなかった 鈍さ! でもあります。 この作品の出だしで、撤退する米軍輸送機の翼にしがみついている人たちが、そのまま離陸した飛行機から振り落とされるシーンがあります。本当に上空から落ちてくる人の姿が映るのです。あまりのことに思考停止なのですが、それが米軍撤退の真相ですね。 先日見たモフセン・マフマルバフの「子どもたちはもう遊ばない」で、パレスチナのド真ん中、エルサレムを直撃するドキュメンタリィーの手法に驚きましたが、見方が甘いですね。マフマルバフ・ファミリーの人たちは命がけで戦っていらしゃって、映画はその方法の一つなのです。 ネットとスマホで救出作業に没頭しながら「もう、一人も救えない!」という悲痛な情況に立ち至った場でのファミリーのみなさんの嗚咽の声と悄然とした立ち姿が頭から離れません。 しかし、この映画の凄さは、緊迫した実況映像にハナさんのお子さんなのでしょうね。救出作業をしているその隣の部屋でオチビさん無邪気に遊んでいるシーンを挿入することですね。 「希望を忘れるな!」 映画が静かにそう呼び掛けているのを感じて胸打たれました。 ハナ・マフマルバフ監督とマフマルバフ・ファミリーに拍手!です。 ![]() 監督・撮影 ハナ・マフマルバフ 製作 メイサム・マフマルバフ キャスト モフセン・マフマルバフ マルズィエ・メシュキニ メイサム・マフマルバフ ハナ・マフマルバフ 2023年・67分・イギリス・アフガニスタン・イラン合作 原題「The List」 2025・02・15・no021・元町映画館no282 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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