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カテゴリ:映画「ちょっと遠くの映画館」でお昼寝
キム・テヤン「ミマン」キノシネマ神戸国際
![]() 駆けつけたのはキム・テヤン監督の「ミマン」です。 韓国語には「ミマン」という音が意味する言葉が複数あるそうで、この映画は 「迷妄=道理に暗く、要領を得ずに戸惑うこと」という三つの意味を主題にした別々の作品のオムニバス映画のようでした。 もっとも、舞台がソウルで、まあ、ボクはまったく知らないのですが、光下門とかいう広場の李舜臣という歴史的人物の銅像についての話題が繰り返されて、自信はないのですが、三つのお話に登場する女性は、どうも同一人物のようでしたから、全く別の物語が語られていたわけではなさそうです。 だいたい、韓国とかソウルとか、何にもわかっていませんし、スクリーンに出てくる女優さんが同じ人なのかどうかあたりについても、目だってしょぼついている70歳を越えてしまった爺さんには明確ではないのですが、そのあたりのあいまいな作り方が、この三つの「ミマン」の特色ですね。 ところが、登場している女性も1話と3話の男性も、同一人物だということがクリアーには解っていないはずの老人に 映画は面白かった! のですから困ったもんですね(笑)。 会話劇とチラシは謳っていますが、会話の向う側、だから、なぜ、その人はそんなふうに言うのかということが、なかなか腑に落ちない会話が続きます。で、人にはそれぞれに物語があって、その物語を語るためにセリフがあるという、映画に限りませんが、一般的に流通している人間造形というか、人間理解に飽き飽きしている老人には、そこが面白くてたまらないんですね。 ラストシーンで路線バスに乗っていて、窓の外に何か見つけた主人公の男が、客として見ているボクとしては突如、最寄りの停留所で下車します。バスには、もう、誰も乗っていないのですが、その誰も乗っていない車内が映り続けて主題歌が流れ始めます。で、そのシーンまでにあれこれあったことを眺めていた老人は、映し出されたバスの車内で居眠りでもしているのだろうか眺めていたその主人公がそんなふうにスクリーンから消えるだろうと予感しながら見ていたことに気付くのですね。 「そうか、この世界をそんなふうに描きたかったのか!うん、わかる!わかる!」 そんな感じですね(笑)。 もちろん、映画館の他のお客にも、この文章を読んでいただいているあなたにも、何のことかわからない話なのですが、見ている当人はこの監督が、次にどんな映画を撮るのか、理由のわからない期待の塊になっているわけです。 ![]() 監督・脚本 キム・テヤン キャスト イ・ミョンハ ハ・ソングク パク・ボンジュン ペ・スンジン チョン・スジ 2023年・92分・G・韓国 原題「Mimang」 2025・02・19・no022・キノシネマ神戸国際no22 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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