|
カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
バーセル・アドラー他「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」シネリーブル神戸
![]() その実力行使の事実!を村に一軒あるガソリンスタンドを営んでいる家族の息子がスマホで撮りつづけてきた映像の映画化作品です。 おそらく、心ある大勢の人が協力し合ってできた映画で、監督にはバーセル・アドラー、 ユバル・アブラハーム、ハムダーン・バラール 、ラヘル・ショールという4人の名前が連ねてありますが、アドラー君が映画にも登場する村のガソリンスタンドの息子、アブラハーム君が 「ユダヤ人か?」 と村人から猜疑の目で見られ、ユダヤ人の入植者からは 「裏切者!」 と脅されながら地区を訪ね続け 「事実!」 を配信し続けようとしている青年です。 映画の題名は「No Other Land」、「故郷は他にない」は、おそらく、配給会社が付け加えた文言でしょう。 石ころというか、岩というか、緑の立ち木らしいものは何もない、 「ああ、世界にはこういう所があるんだなあ・・・」 という風景の中に舗装もされていない細い道が見えて、道に沿って点々と住居らしい建物があります。もともとは洞窟生活をしていた地域だそうですが、それが、今、アドラー君の実家のガソリンスタンドから見える村の風景です。家の周りの道では子供たちが遊んでいて、家の中では食事する家族のようすが映し出されます。 その細い道を武装した軍人たちがブルトーザーと戦車でやってきます。一枚の命令書を突き付けて、 「決まったことだから!」という文言を吐きながら、立ち退きを命じ、住居、学校、水利施設を破壊していく場面をアドラー君がスマホで撮影し、撮影した写真やビデオを記事として投稿するユバル・アブラハーム君という青年との「友情」を描こうというのが、おそらく、この映画のテーマの一つです。 それぞれ、おそらく、二十代の半ばであろうと思われる二人の青年が、一人はアラブ人・パレスチナ人であり、もう一人はユダヤ人であるという、出自の壁を越えて、目の前で行われているイスラエル政府による 非道な仕打ち! に反対しようと、苦難の道を選びながら友だちであろうとしている姿だけが、この映画の希望でした。 一人一人の人間のつながりにしか、もはや「希望」の可能性はない! そういうと、実に絶望的な気分に襲われるのですが、一方で、世界はずっとそうだったんじゃないかという励まされる気持ちも沸いてきます。 やはり、スゴイ映画ですよ。拍手! ![]() イスラエル政府のやっていることは非人間的な犯罪である! というしかないというのがボクの目に映った出来事です。こうした、現場の映像が、こうして映画化され世界中の人の目にさらされること自体が、ほとんど奇跡的だと思います。 「この現場の真実を伝えることが出来ればアメリカが止めてくれる。」 暮らしを奪われていく村の人々の期待がこめられた、こんなことばが映画からは聞こえて来ますが、アメリカをはじめ、全世界の人間の「市民的良心=コモングッド」を期待する言葉があるのは知っていますが、現実にはトランプを選ぶアメリカがあり、「 ガザってどこ?」 と無邪気に口にする若者たちであふれるこの国の現実があることが浮かんできます。 2025年・アメリカ・アカデミー賞はこの映画をドキュメンタリー賞に選んだようですが、この映画を見る人が、一人でも増えることに期待しながら喜びたいと思います。 監督・脚本・編集 バーセル・アドラー ユバル・アブラハーム ハムダーン・バラール ラヘル・ショール 製作 バーセル・アドラー ユバル・アブラハーム ハムダーン・バラール ラヘル・ショール ファビアン・グリーンバーグ ボード・ヒョーゲ・ロニング 撮影 ラヘル・ショール 音楽 ユリウス・ポルックス・ロートレンダー 2024年・95分・G・ノルウェー・パレスチナ合作 原題「No Other Land」 2025・02・25・no026・シネリーブル神戸no305 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[映画「シネリーブル神戸」でお昼寝] カテゴリの最新記事
|