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カテゴリ:読書案内「現代の作家」
金城一紀「友が、消えた」(角川書店)
![]() 図書館の新入荷の棚で見つけて、即借り、則読了です(笑)。 金城一紀「友が、消えた」(角川書店)です。 我が家で「レヴォリューションNO.3」が炸裂し、「GO」が火をふいたのは、もう、20年以上昔の話です。「対話篇」、「映画編」、「フライダディフライ」、みんな雁首揃えて子ども部屋(?)の書棚に並んでいました。 で、20年です。 「映画もウケたし、もう書かないのかなあ・・・」 と、正直、シマクマ君は思っていました。 で、「友が、消えた」で再会です。そりゃあ、一晩読みでしょう(笑)。読みながら、語り手で、主人公の大学生の青年が「南方」と名乗ったのに気づいて 「えっ?」 でした。 この作品、「レヴォリューションNO.3」の続編なのです。10数年ぶりの復活作が処女作の続編ですよ。なんか、笑っちゃいますが一晩で読んじゃいました。 相変わらずの雰囲気というか、 青春・バイオレンス・ハードボイルド!(意味わからない言葉ならべてますが)でした。 で、話の筋とは直接関係ないので引用しますが、「レヴォリューションNO.3」で登場した女子大生吉村恭子さんが、どっかのテレビ局でアナウンサー勤めかなんかしているわけですが、彼女が久しぶりに南方君と会ってこんなことをしゃべるんです。 「入社してすぐの頃なんだけど」吉村恭子はそう前置きして話し始めた。「同期の子がデスクの電話を見ながらそわそわしてて、不思議だったから理由を聞いたら、ゴールデンタイムの司会を担当してるアナウンサーのほとんどが入社してすぐに編成局の局長と食事をした人らしくて、みんな自分もそうなりたくて電話をまってたってわけ。ちなみにうちの会社はね、新入社員の顔写真入りの名簿を局長クラスに真っ先に配ることになってるの。局長連中が名簿の中から気に入った女子社員を選んで、手下を使ってその子との食事をセッティングさせるのが春の恒例行事になってる。あたしの電話が鳴って、編成局長の手下から会食の日時と場所を一方的に告げられて、完全なパワハラとセクハラにむかついたけど同期の子たちに優越感を覚えている自分もいて、色んな葛藤を抱えながらも食事ぐらいならなんともないと思って会食に出かけた。麻布の個室フレンチに遅れてきた局長はおしゃれしてて、もうめちゃくちゃバックルが大きなベルトをつけてた。(中略)拷問みたいな二時間が過ぎて、ようやくお開きかと思った時、こう言われた。ボクはタワーマンションの最上階に仕事部屋を持っててそこから見える夜景がすごいんだ、今からそこで飲みなおすよ。それは誘いでも提案でもなく上役からの命令だった。あたしはこう答えた。ふざけんな。(P222~P223) ね、金城一紀、健在でしょ。テレビ局と一緒になって世の中騒がせて引退とか何とかいってた、まあ、ボクはキライなタレントがいましたが、この作品が出たのが2024年の12月ですからね。この一節って、後から加えたんじゃないかと、思わず勘ぐっちゃいましたね。 というわけで、最初に登場したのが1998年だったと思いますが、 あの時、高校生で、15年経った、今、大学生って、どういうこと?(笑) とは思いますけど(笑)、ゾンビーズの一人は、フランツ・ファノン「地に呪われたる者」(みすず書房)かなんか読みながら、とりあえずお元気のようです。いいですねえ(笑)。まあ、そういう、感慨というか、そういえば、というかの気分に浸って、この案内とか書いている最中に、偶然やって来た愉快な仲間のトラキチ君に 「GOの金城君、新作書いてるで。」 でした(笑)。
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