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カテゴリ:映画「ちょっと遠くの映画館」でお昼寝
フェルナンド・トルエバ「ボサノヴァ 撃たれたピアニスト」キノシネマ神戸国際
![]() どこの音楽なの?も知らないのですが、 なんかありそうだな・・・という予感(?)がして見ました。 フェルナンド・トルエバという監督のアニメーション作品、「ボサノヴァ 撃たれたピアニスト」です。 なんか、ありましたよ! このところ、ヨーロッパ製のアニメーション映画を時々見ます。先だって見たのは「FLOW」という、クロネコ君の冒険譚でした。美しい画面に対して、擬音とか、人間的な声、音が全く遮断されているアイデアに唸りましたが、今日のこの作品は、線の太い輪郭の絵で、いかにも、まあ、よく知りませんがアメリカのマンガ的スケッチ風の画面ですが音楽が鳴り続け、ナレーションの声が喋りつづけている映画でした。 音楽ジャーナリストの新刊本の紹介イベントで、著者が内容について、集まった客たちに語るというという設定の映画ですから喋りつづけるわけですね。 たぶん、それだけだと飽きちゃったんでしょうが、この映画が飽きさせなかったポイントは。少なくとも、二つあって、 一つは音楽です。 音楽ジャーナリストが紹介している本は ボサノバの天才ピアニストの謎の失踪 について、関係者たちを取材した実録本・真相究明本のようで、そのピアニストの演奏が、このアニメ映画の背景音楽として響き続けるのが 実に心地よい!のです。 もっとも、スクリーンから流れてくる端正なピアノ演奏を聴いているだけだと心地よい眠り、ということになってしまったでしょうが、そこで語られていく、 いつ、どこで、どういう理由で、ピアニストは撃たれたのか?という展開に、 エッ?それって事実?と心騒いで、寝るどころではありませんでしたよ(笑)。 というわけで、おもしろさ、興味を強く惹かれた二つ目は、ジャーナリストが失踪したピアニストの足跡を追う取材によって明らかになる アルゼンチン、ブラジル、ボリビア、チリという南アメリカの国々の1950年代から半世紀の歴史事実が暴かれていることでした。ようするに、アメリカが後ろから、多分、こっそりと支えた、それぞれの国の、その時々の 軍事政権による暴力の歴史がとき明かされていくことです。 たとえば、この映画の舞台であるアルゼンチンが、今はどうか知りませんが、1980年代に至っても、まだ、市民に対する国家的テロ=暴力的思想弾圧を平気で行使する国だったなんてことをボクは忘れていましたが、この映画の製作意図の底には、現代史における アメリカのダブルスタンダード な外交思想に対する批判がこめられていることは明らかな気がしました。 ![]() 見えてくるものは何か!? という問いが浮かんでくる、刺激的な作品でした。拍手! 監督・脚本 フェルナンド・トルエバ 監督 ハビエル・マリスカル アニメーション監督 カルロス・レオン・サンチャ 編集 アルナウ・キレス キャスト ジェフ・ゴールドブラム トニー・ラモス ロバータ・ウォラック アベル・アヤラ 2023年・103分・G・スペイン・フランス・オランダ・ポルトガル合作 原題「Dispararon al pianista」 2025・04・16・no055・キノシネマ神戸国際no27
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