リウ・ジアイン「来し方 行く末」元町映画館 チラシの写真が何となく気に行って、いつもなら躊躇する10時30分の上映に出かけました。監督についても、主演のお二人についても、予備知識なしでしたが、堪能しました。
見たのは、リュウ・ジャイン(劉伽茵)監督の「来し方 行く末」です。
主人公はフー・ゴー(胡歌)という、実に男前の俳優さんが演じている、脚本家として目が出ず、葬儀場で、弔辞の代筆をして生計を立てているウェン・シャンという、中年にさしかかった男でした。
映画は、この主人公が仕事上で出会う、家族とか、友人とか、自分自身とかの「死」と遭遇してしまった人たちとの出会いのエピソード
を軸にして描かれていますが、当然のことながら、「死」と出会った人たちは「生」を問い直さないわけにはいかないというところに、人間の「生」の真相を炙り出そうとするところに、この映画の面白さが予感され、複数に人間たちの「死」との出会いのエピソードが、まず、面白く描かれているのですが、それだけでは終わりませんでしたね。
「見ること」、「聴くこと」、主人公は「観察」と呼んでいましたが、「葬儀場」であれ、「動物園」であれ、男であれ、女であれ、大人であれ、子どもであれ、人間であれ、動物であれ、今、生きているものを見る。そして、その声を聴く。観察!
することで、生きているもの、生きてきたものの「真相」のドラマを見出し、「弔辞」という形で描こうとしている主人公を造形したところが監督のお手柄!
でしたね。その描き方には、とても共感しましたね(笑)。
おそらく、主人公の心の中に住んでいるシャオインという青年の描き方も面白いのアイデアですね。
しかし、ボクの記憶に残ったこの作品のシーンは、なにげない映像のようですが、何度か出てくるのですが、主人公や、彼を訪ねてきた女性が庭先でえさをやったりしている母猫の様子を撮ったシーンがまず一つです。そして、映画のおしまいのシーンですが、いつも出掛ける動物園のガラス張りの檻のこちらに立って、影で映っている主人公が故郷に電話するのですが、その影の向こうの明るい檻の中でウロウロしていた、大きな白熊が最後の最後に、画面いっぱいに映ったシーンが二つ目、この二つのシーンは素晴らしかったですね。ついでに付け加えれば、スケート場で、オジーちゃんに死なれた少年の告白を主人公が聴くシーンですが、この三つのシーンを見て納得しました(笑)。
リュウ・ジャインという女性の監督の「生」を捉えるセンスが光るシーンだった!
と、いや、ホント、唸りましたよ(笑)。拍手!
監督・脚本 リュウ・ジャイン劉伽茵
撮影 ジョウ・ウェンツァオ
編集 イエン・イーピン
音楽 リー・ホン
主題歌 フー・ゴー
フー・ゴー胡歌(ウェン・シャン)
ウー・レイ呉磊(シャオイン)
チー・シー斎溪(シャオ・ジンスイ)
ナー・レンホア娜仁花(ファン)
ガン・ユンチェン甘昀宸(ルー)
2023年・119分・G・中国
原題「不虚此行」・英題「All Ears」
2025・04・28-no069・元町映画館no298