小田香「Underground アンダーグラウンド」 元町映画館
ここ数年間、あれこれ映画を見ることを楽しみにしていますが、監督の名前とか、役者の名前とかが覚えらません。「あの映画のあの人!」
とは言えますが、名前が出てきません。そんな中で、名前がいえる数少ないドキュメンタリーの映画監督が小田香です。
その小田香の新作!
ということで、普段出かけない日曜日ですが出かけました。途中で、監督の舞台挨拶とかがあると知って「ああ、混んでたらいやだなあ」と勝手に恐怖しましたが、無事見終えました。
小田香監督の「Underground」です。
以前見た「セノーテ」がメキシコだったかの水底、「鉱 あらがね」が、ヨーロッパのどこかの鉱山の奥底、で、今回は日本のどこかの地下鉄とか、炭鉱とか、ダムの底とか、沖縄の洞窟の奥とかでした。
ああ、それから、そういう「奥底=アンダーグラウンド」があって、一方に、暗い部屋の中で起き上がり、トイレに行ったり、体操をしたりする女性がいます。ドキュメンタリーだと思い込んでいた映像に、いってしまえばフィクショナルな登場人物が出てきたものですから「うーん???なんだ、これは?」
まあ、そんなふうに唸りながら、「闇の底」に見入っていると、沖縄戦の骨を拾うおじさんが出てきたり、その後ろをひらひらとさ迷い歩く、暗い部屋にいたはずの女性がいたりして、ますます「うーん????」
でした(笑)。
地下道を誰も載っていない電車が通り過ぎる。チリガマで骨を拾い、語り掛ける老人がいる。湖岸に座る女がいて、その後ろを誰かが通り過ぎる。薄暗い部屋で柔軟体操をする女がいる。トンネルに影があるようだけれど、その向こうがまぶしくてよく見えない。洞窟の壁にも影がある。
見ているボクは、解釈するのが面倒なので、ボンヤリと映像に浸り続ける。ただただ映像に浸り続ける心地よさ。時間と空間が異化していく心地よさ。意味不用の傑作!
です(笑)。拍手!
上映が終わって、舞台に小田香さんが登場しました。お顔が拝見できて、お話しなさる声が、予想通りで、安心しました(笑)。がんばって、いっぱい、意味不用な映画、作ってください!
監督 小田香
プロデューサー 筒井龍平 杉原永純
撮影 高野貴子
照明 平谷里紗 白鳥友輔
音楽 細井美裕
キャスト
吉開菜央
松永光雄
松尾英雅
2025・05・11-no073・元町映画館no301