2050758 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

ゴジラ老人シマクマ君の日々

ゴジラ老人シマクマ君の日々

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

シマクマ君

シマクマ君

カレンダー

バックナンバー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(2)

読書案内「日本語・教育」

(22)

週刊マンガ便「コミック」

(84)

演劇「ナショナルシアターライブ」でお昼寝

(35)

徘徊日記「日帰りでお出かけ」

(72)

演劇「劇場」でお昼寝

(3)

映画「元町映画館」でお昼寝

(116)

映画「ちょっと遠くの映画館」でお昼寝

(56)

映画「シネリーブル神戸」でお昼寝

(99)

読書案内「映画館で出会った本」

(20)

読書案内「翻訳小説・詩・他」

(53)

読書案内「漱石・鴎外・露伴・龍之介・百閒・その他」

(25)

徘徊日記「垂水・舞子・明石」あたり

(53)

読書案内 「医者や科学者の仕事、まあ科学一般」

(29)

読書案内「現代の作家」

(100)

徘徊日記「お泊りでお出かけ」

(72)

徘徊日記「神戸・元町・三宮」あたり

(99)

読書案内「絵本・児童文学」=チビラ君たちへ

(51)

読書案内「社会・歴史・哲学・思想」

(83)

読書案内 「芸術:音楽・美術・写真・装幀 他」

(33)

読書案内「近・現代詩歌」

(55)

徘徊「港めぐり」

(4)

バカ猫 百態

(23)

読書案内「橋本治・加藤典洋・内田樹・高橋源一郎・他」

(21)

読書案内「水俣・アフガニスタン 石牟礼道子・渡辺京二・中村哲 他」

(18)

読書案内「鶴見俊輔・黒川創・岡部伊都子・小田実 べ平連・思想の科学あたり」

(14)

映画「OSミント・ハーバーランド」でお昼寝

(2)

映画「こたつシネマ」でお昼寝

(13)

映画「パルシネマ」でお昼寝

(27)

読書案内「昭和の文学」

(25)

読書案内「BookCoverChallenge」2020・05

(22)

読書案内「くいしんぼう」

(9)

映画「Cinema Kobe」でお昼寝

(18)

週刊マンガ便「ちばてつや・ちばあきお」

(9)

週刊マンガ便「石塚真一・浦沢直樹・ハロルド作石」

(38)

週刊マンガ便「鈴ノ木ユウ・野田サトル」

(20)

ベランダだより

(162)

徘徊日記 団地界隈

(126)

徘徊日記 兵庫区・長田区あたり

(27)

徘徊日記 須磨区あたり

(34)

徘徊日記 西区・北区あたり

(11)

徘徊日記 灘区・東灘区あたり

(46)

徘徊日記 美術館・博物館・Etc

(5)

週刊マンガ便「吉田秋生・高野文子・やまだ紫」

(7)

徘徊日記 芦屋・西宮あたり

(12)

読書案内「大江健三郎・司修・井上ひさし・開高健 他」

(14)

読書案内「古井由吉・後藤明生・他 内向の世代あたり」

(3)

読書案内「谷川俊太郎・茨木のり子・大岡信 あたり」

(22)

読書案内「啄木・白秋・晶子 あたり」

(4)

読書案内「丸谷才一・和田誠・池澤夏樹」

(11)

読書案内「吉本隆明・鮎川信夫・黒田三郎・荒地あたり」

(15)

週刊マンガ便 「松本大洋」・「山川直人」

(13)

読書案内「リービ英雄・多和田葉子・カズオイシグロ」国境を越えて

(7)

読書案内「村上春樹・川上未映子」

(13)

映画・読書案内 パレスチナ・中東

(17)

読書案内「近代詩 賢治・中也・光太郎 あたり」

(7)

映画 韓国の監督

(26)

映画 香港・中国・台湾の監督

(39)

アニメ映画

(13)

映画 日本の監督 ア行・カ行・サ行 是枝・黒沢

(55)

映画 日本の監督 タ行・ナ行・ハ行 鄭

(27)

映画 日本の監督 マ行・ヤ行・ラ行・ワ行

(17)

映画 イギリス・アイルランド・アイスランドの監督

(46)

映画 イタリアの監督

(22)

映画 ドイツ・ポーランド他の監督

(30)

映画 ソビエト・ロシアの監督

(14)

映画 アメリカの監督

(107)

震災をめぐって 本・映画

(9)

読書案内「旅行・冒険」

(4)

読書案内「本・読書・書評・図書館・古本屋」

(13)

映画 オーストラリア・ニュージーランドの監督

(5)

映画 フランスの監督

(55)

映画 スペイン・ポルトガルの監督

(13)

映画 カナダの監督

(5)

映画 グルジア(ジョージア)の監督

(15)

映画 ウクライナ・リトアニア・ラトビア・エストニアの監督

(9)

映画 イスラエルの監督

(3)

映画 マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、スロベニアの監督

(6)

映画 オランダ・デンマーク・ベルギーの監督

(13)

映画 フィンランド・スウェーデン・ノルウェイの監督

(11)

映画 トルコ・イラン・カザフスタンあたりの映画監督

(12)

映画 ギリシアの監督

(3)

映画 アルゼンチン・ブラジル・ペルー・チリの監督

(8)

映画 ハンガリー・ルーマニアの監督

(5)

映画 アフリカの監督

(3)

映画 スイス・オーストリアの監督

(4)

読書案内 戯曲 シナリオ 劇作家

(2)

読書案内・アニメ・コミック ジブリ

(6)

週刊マンガ便「小林まこと」

(9)

読書案内「野口武彦・前田愛・橋川文三・藤井貞和」

(3)

映画 インド・ネパール・ブータン・アフガニスタン・タイ・ベトナム あたりの監督

(5)

週刊マンガ便・映画 キングダム 原泰久・佐藤信介

(18)

読書案内「川上弘美・小川洋子・佐伯一麦」

(9)

読書案内「立花隆・松岡正剛」

(5)

徘徊日記 神戸の狛犬

(5)

週刊読書案内「保坂和志・柴崎友香・磯崎憲一郎とか」

(6)

読書案内・映画 沖縄

(10)

読書案内 韓国の文学

(3)

週刊マンガ便・映画 武田一義 こうの史代

(2)

日記/記事の投稿

コメント新着

ミリオン@ Re:ババク・ジャラリ「フォーチュンクッキー」シネリーブル神戸no318(07/16) New! おはようございます。 アメリカは素敵です…
ミリオン@ Re:ニック・チェク「年少日記」シネリーブル神戸no314(07/15) おはようございます。 素敵な作品ですね。…
ミリオン@ Re:F・W・ムルナウ「最後の人」元町映画館no309(07/14) おはようございます。 映画館に行くのが楽…
ミリオン@ Re:徘徊日記2025年5月5日(月)「東京タワーです!(笑)}東京あたり(07/12) こんばんは。 東京タワーは素敵ですね。行…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2025.05.24
XML
 黒川創「京都」(新潮社)​​
​​​​ 京都を舞台にした小説で、書名は「京都」です。もうそれだけで、京都の好きな人は手に取ってみようか、というところがあるかもしれませんが、目次には四つの町名が載っていて、最初の二つは読み仮名がないとわかりません。​​​​
「深草稲荷御前町」、
「吉田泉殿町の蓮池」
「吉祥院、久世橋付近」
「旧柳原町ドンツキ前」
​ ​​​​​​​​​​​​​​​​一つ目「ふかくさいなりおんまえちょう」で、伏見稲荷門前町です。二つ目「よしだいずみどのちょう」で、京都大学医学部のあたりの町名です。ついでなので、残りの二つを説明すると、三つ目「きっしょういん、くぜばし」です。南区桂川沿いの住宅地です。四つ目JR京都駅河原町通りを南に下ってきた市電、今なら市バスが大きく右にカーブするあたりから南に広がっている町です。​​​​​​​​​​​​​​​​​で、目次にはその​四つの町の名​が並んでいるというわけです。​
​​ 町の名前が、それぞれの作品の名前で、たとえば、「深草稲荷御前町」の冒頭シーンから引用するとこんな感じです。
 細身の銅製のカップを水滴が包んで、垂れていく。アイスコーヒーが、ストローでそこから飲み干される。二人連れ、ともに三〇前後の女性客の片方が、顔を上げ、
「石峰寺には、ここからどうやって行けばいいのでしょう?」
と尋ねた。
「あ、若冲さんのお寺やね」
「・・・・ランプ小屋って、どこですか?」 
 こちらが忙しい時間帯にかぎって、観光客らは通りがかりに、店の入り口の扉から頭だけ突き入れたりして、いろいろ訊いていく。この喫茶店でコーヒー一杯飲んでいく時間も金も惜しいらしい。
「ランプ小屋?」
 常連客のベビーカステラ露天商、辻さんが、カウンター席から塩辛声で観光客に訊き返す。
「なんやねん、それ」
 明治から大正ごろまで、東海道本線の鉄道は、京都から東へ、今のように東山トンネルを抜けるのではなく、ここ、稲荷駅を通って山越えで山科方面に向かっていた。当時、客車内や駅の照明、夜間の保線の作業などには、ランプを使った。だから、駅には、大量のランプを保管、管理しておく、堅牢な小屋があった。それが「ランプ小屋」で、現存するものでは、この稲荷山駅構内にあるレンガ造りのの小さな小屋が、日本で一番古いのだそうだ。
「ランプ小屋はね、すぐ、そこですわ」伸びあがって、道沿いの駅の方向をトオルは指さす。「ただ、なかを見学するには、あらかじめ頼んでおかんと」
 辻さんが笑う。
なんぼ観光やいうたかて、そないなもん見て、おもろいんかいな。稲荷さんの千本鳥居、山上まで歩いてみたほうが、よっぽどええがな。ここをどこやと思たはるん?伏見稲荷大社の社頭、深草稲荷御前町(ふかくさいなりおんまえちょう)どっせ」
​​​​​ 最初の「深草稲荷御前町」と題された作品の、ほぼ冒頭です。主人公はトオル、駅前の喫茶店の店主で、子供のころからこの町で暮らしてきました。大阪の万博の話が出てくるところを見ると、還暦に差し掛かっているらしいのですが、それはこれらのの作品の書き手である1961年生まれ黒川創の年齢と、ほぼ重なっているようです。​​​​​
 引用した文章のように、それぞれの作品の冒頭のあたりに、その町の由来や歴史が書きこまれています。で、ちょっとした京都案内のおもむきなのですが、紹介されている「町」は、観光客が誰でも知っていて、という町ではありません。京都に暮らしている人にも、おそらくすぐには思い浮かばない、行ってしまえば、かなりディープな地名といっていいでしょう。
​​​​​​​​​​​​ 上で引用した一つめの作品「深草稲荷御前町」は、街の名前は白永、場所ならだれでも知っている伏見稲荷の門前の町ですが名前が知られているわけではありません。。二つめ「吉田泉殿町」は鎌倉時代の貴族の別荘跡の池のある、いわば由緒正しい町名ですが、地方から来た京大生がこの地名を知っているかどうか。​​​​​​「吉祥院、久世橋付近」、「旧柳原町ドンツキ前」となると、そこで暮らしている人たち、暮らしたことのある人たちにとっての町の名ですね。そうです、この作品集は、観光名所としての「京都」の、だから、今や、国内どころか、世界中からやって来る
​「観光名所の京都を見たい人たち」​
​ ​​​​​の視線から、少しずれたところにある京都という町で暮らしている普通の人びとの暮らしを描こうとしている作品です。もう少し言えば、忘れられ、失われていく町の名とともに、そこで暮らした少年を作家に育てたある時代の姿を作品として残そうという意図を感じさせる作品でした。
 内容については、まあ、好き嫌いもあるでしょうが、手に取っていただきたい作品ですね。1960年あたりから、高度経済成長とやらの時代を暮らして大人になり、金だけが価値の尺度のような社会を生きてきて、今、70代に差し掛かっているボクのような年齢になって、ようやく気付くことなのかもしれませんが、京都に限らず、この50年余りの時の経過の中で、いろいろな町や村で、多くの「古い地名」が姿を消したわけですが、
「地名」が失われていくということの意味​
について考えさせられた作品群でした。ただの観光小説ではありません(笑)。
​​​​​

​​​​​


 PVアクセスランキング にほんブログ村


にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ


にほんブログ村 本ブログへ

​​​​​​​​​


ゴジラブログ - にほんブログ村​​




​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

​​


​​​​​​​​​​​​​​​​​ 追記
 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)​​​​

​​​​​
 
​​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2025.06.01 18:23:44
コメント(1) | コメントを書く
[読書案内「鶴見俊輔・黒川創・岡部伊都子・小田実 べ平連・思想の科学あたり」] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X