カート・ハーン「ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点」シネリーブル神戸 予告編とチラシを見て、レッド・ベリーの名前にはピンとこないというか、反応できなかったのですが、ピ-ト・シーガーとかジョーン・バエズとかの登場の可能性に期待して見に行きました。
納得!でした。
アメリカの音楽史において、どうしても記録しておかなくてはならない人物としてレッド・ベリーという1880年代に生まれ、いわば、波乱の人生をおくり、あの、ウディ・ガスリーをして「もっとも偉大なフォーク・シンガー」と称えられたという人物を取り上げ、その歌と生涯をたどったドキュメンタリィーでしたが、映像の中で証言しているのが、今は亡きピート・シーガーであり、B・B・キングであり、ハリー・べラフォンテであり、ふと、映し出される映像に若き日のポール・マッカートニーが左利きでアコースティックギターを弾いていたりするのが、見ている老人には、もう、ただ、それだけでうれしい映画でした。
先だって、ボブ・ディランを若い人たちが演じて、ピート・シーガーとかも、よく似た誰かに演じられて登場していた「名もなき者」という映画を見て心躍ったのですが、こちらの映画のピート・シーガーやジョーン・バエズは本物で、「えっ?誰これ?」
と思ったのが、アーロ・ガスリーだと気づいた時には、さすがに「オー!」
となるドキュメンタリィーでした。
たとえば10年前、2014年だったかに亡くなったピート・シーガーがしゃべっている映像などは、どう見てもこの映画の製作を目的にしたインタビューでの応答だと感じたのですが、映画そのものが10数年がかりで計画、作製されていたのか。映画全体の構成映像自体は、古い映像の編集映画なのですが、インタビューなどは、結構、最近のものらしく、もし、そうであれば、製作には、ちょっと、手間のかかった映画だと思いました。 なにはともあれ、1950年代以降のアメリカン・ポップス、ロックミュージック、ブルースなどの音楽を青春の歌として聞いてきた老人には、なかなかベンキョーになる作品でした(笑)。拍手!
監督 カート・ハーン
字幕監修 ピーター・バラカン 朝日順子
キャスト
レッド・ベリー
ピート・シーガー
ハリー・ベラフォンテ
B・B・キング
ジョーン・バエズ
アンナ・ローマックス・ウッド
アーロ・ガスリー
バーニス・ジョンソン・リーゴン
オスカー・ブランド
クイーン・“タイニー”・ロビンソン
ラリー・リッチモンド
マイケル・タフト
クリストファー・ローネル
ジェフ・プレイス
オデッタ
2021年・80分・G・アメリカ
原題「Lead Belly: Life, Legend, Legacy」
2025・06・02・no082・シネリーブル神戸no313