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内藤正典・三牧聖子「自壊する欧米」(集英社新書)
![]() 内藤正典というトルコという国やイスラムの人々の暮らしの専門家と三牧聖子という今のアメリカの社会思想の研究者の対談本で「自壊する欧米」(集英社新書)です。 「ガザ危機が問うダブルスタンダード」という副題がついていますが、イスラエルのガザに対するジェノサイドに対して、例えばアメリカ大統領だったバイデンは口では平和を希求するかの発言をしながら、なぜ、ジェノサイドには目をつむり、武器の援助を続けているのか。あるいは、今年封切られた映画で選挙が話題になっていますが、2023年、バチカンのフランシスコ教皇が、ハマス、イスラエル双方の行為に対して 「戦争ではなくてテロ行為である」と断言し即時停止のアピールをしているにもかかわらず、ヨーロッパのキリスト教諸国が、イスラエルに対して「攻撃中止!」を呼びかけることさえしないのはなぜか。 まあ、そういう、アメリカやヨーロッパ諸国の「二枚舌」政治の現状についての緊急対談というわけで、2024年の4月、ちょうど1年前に出版された本です。 お二人の話からわかってくるのは、第二次大戦後、世界平和の理想によって作られてきたはずの国際連合とか、国際司法裁判所とかいう機関が、作ったはずのアメリカやヨーロッパ先進(?)諸国によって、軽視、無力化されている今の世界の、あまりにも無残な姿に、読みすすめて行くのが、とても疲れる本でした。 大統領がトランプに代わったアメリカで、なぜ、ハーバード大学が弾圧されているのかなんてうことの理由も、まあ、読み取ることができるわけで、うっとうしいですが、世界の現実に興味のある方にはおススメです。 で、ボクが 「ああ、そうなのか!」と納得したところを、まあ、たくさんあるのですが、一つだけ紹介します。 「リベラルが崩壊する時代のモラル・コンパスを求めて」と題された最終章、三牧聖子さんの論評です。 イスラエルのジェノサイドを問う裁判 1948年の意味ですね。第二次世界大戦後の世界の姿を歴史的に見直すことの必要性ですね。シオニズムのイスラエルと、アパルトヘイトの南アフリカ、それぞれの地域で「自由」を奪われている人は誰で、それはそんな理由によるのか。そういう問いを、きちんと考えていくことの大切さです。 皆さん、ハッとしませんか?(笑)
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